NVIDIAは株式会社クボタがNVIDIAのエンドツーエンド AIプラットフォームを採用し、農業機械のスマート化を加速させるために協業することを、「GTC 2020」に伴って発表した。(上の画像は2020年1月に公開されたクボタコンセプトトラクタ)
■ Concept tractor presented by Kubota
NVIDIA Jetsonを活用して研究開発を進めていく
日本の農業は高齢化に伴う離農が進む一方で、農作業の委託、経営効率化のための農地集積などにより、営農規模の拡大が進んでいる。大規模プロ農家が抱える人手不足や作業効率の向上、省力化などの課題解決のため、スマート農業の活用が急務になっている。クボタは国内農機メーカーに先駆けて、スマート農業の本格的な研究を開始しており、「農機の自動化・無人化による超省力化」や「データ活用による精密農業」の普及を目指している。
その中でも「農機の自動化・無人化による超省力化」の実現にあたり、クボタはNVIDIAのエンドツーエンドAIプラットフォームを導入。これまでクボタはコンピュータービジョンの実装で自動運転・無人化農機の開発を試みていたが、天候や生育状況などのデータから適切な農作業を判断し、これまで実現できていない作物の収穫などの作業まで適時に実行する完全無人農機の実現に向けて、今後はNVIDIAのエッジデバイス向けの組み込みAIプラットフォーム、NVIDIA Jetsonを活用して研究開発を進めていく。
NVIDIA Jetsonは高い計算処理能力、精度、電力効率に優れ、また産業向けNVIDIA Jetsonは高耐久設計のため、農業機械の過酷な環境に求められる要件を満たしている。さらにエッジ側では、高精細なスクリーンスティッチングやエッジ検出において、リアルタイムでスムーズな処理が求められるため、NVIDIA Jetsonは最適であると評価された。
AIの学習環境にはNVIDIA DGX AIシステムを導入
AIの学習側の環境として、クボタは卓越したコンピューティングパフォーマンスのNVIDIA DGX AIシステムを導入し、研究開発を進めている。DGXシステムはGPU向けに最適化されたディープラーニングソフトウェアのハブであるNGCをサポートしている。開発者はディープラーニングの開発に必要とされる、統合済みのフレームワークコンテナーを使用することで、AIモデルの設計やトレーニング、実験、展開を容易に実施することができるため、研究開発から製品の市場導入までの時間を短縮することができる。クボタは最適な推論パフォーマンスを引き出すための鍵となるライブラリ、NVIDIA TensorRTを活用し、高性能な推論用のAIモデルの開発に取り組んでいる。
このように、クボタは同一のコンピューティングアーキテクチャを持つNVIDIAのエンドツーエンド AIプラットフォームを学習から推論(エッジ)まで導入し、開発を効率化することで市場投入の短期化を図る。例えばDGXシステムで農機に搭載された多数のカメラから入力される情報を解析し、AIモデルの学習を重ね、その結果をNVIDIA Jetsonに戻すことでモデルの精度を高めていくことができる。
現在、クボタは日本において従来型農機の自動化・無人化を推進中だが、今後は、次世代の完全無人農機の実現を目指すとともに、海外展開や作物展開を推進していく予定。
株式会社クボタ 取締役専務執行役員 研究開発本部長 佐々木 真治氏は次のように述べている。
NVIDIAの日本代表 兼 米国副社長である大崎真孝氏は次のように述べている。
1月にコンセプトトラクタを展示
クボタは130周年、夢のトラクタを公開と題して、クボタグループ製品展示会場でコンセプトトラクタの実物大モデルを展示した(冒頭の写真)。コンセプトトラクタには次のような特長がある。
コンセプトトラクタの主な特長
(1)未来を感じさせるデザイン
人が乗らない無人仕様のレイアウトと電動化技術によって新たなトラクタとしてのスタイリングが可能となり、実用性と先進感を兼ね備えたデザインを実現。
クボタトラクタのアイデンティティを感じる最新デザインとともに、環境や自然との調和を意識したなめらかな造形に仕上げた。
(2)人工知能による完全無人作業が可能に
人工知能(AI)が、天候や生育状況などのデータから、適切な農作業を判断し、適時に実行に移す。人が運転することのない、完全無人の超省力化を実現。
農作業時にトラクタが獲得した、農地の環境データなどを、他の作業を担う機械にも自動で共有し、一貫管理された効率性の高い農作業を実現。
(3)完全電動で環境に優しい農作業
リチウム電池とソーラーバッテリーを併用することで、全ての電力を電気で賄う。
完全電動で、排気ガスを一切出さず環境負荷低減に貢献。
(4)1台で多様な作業に対応
四輪クローラを採用することで湿田や不整地でも安定した無人作業行うことが可能。
四輪のクローラが変形し、車高を最適な位置に調整。牽引力が必要な作業では車高を低くすることで重心を下げ、地面との接地面を大きくする。また、作物を跨ぐような管理作業では、車高を高くして地面からの距離を長く取るなど、1台でさまざまな作業に対応できる。
インホイールモータを採用することで、前後左右のクローラの回転数を任意に変化させ小旋回を可能とし、様々な圃場で無人作業ができるようにする。
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。