ソフトバンクロボティクスのAI清掃ロボット「Whiz」(ウィズ)は、2018年11月に発表依頼、導入実績を重ねてきた。CMに女優の広瀬すずさんを起用するなど、オフィス向けでありながら一般にも知名度を向上させた。
■Whiz|テレビCM「Whizで隠れダスト清掃」篇
その成果もあってか、2020年6月末時点で世界規模で10,000台以上、総清掃距離は地球20周分に達したことを発表した。また、新型の「Whiz i」を発表し、これまでの「Whiz」と「Whiz i」を併売(サービス提供)していく。今回は「Whiz i」の主な改良点を解説する。
「Whiz i」の改良点
吸塵力が最大1.6倍アップ
「Whiz」は本体底部に設置されたブレードを使って、床のゴミやチリ、ホコリを掻きあげて吸い込むしくみだ。新型の「Whiz i」ではそのブレードの材質を変更した。
従来はプラスチック素材を用いていて、カーペット材から、ゴミやホコリを掻きあげるには優れていたが、床も硬い素材が使われている場合、硬いもの同士で床とプレートの間に隙間ができて、ゴミやホコリを逃してしまうケースがあった。
「Whiz i」ではラバー素材を採用した。更に、ブラシの素材や、収集ダクトの形状を変更するなどして、硬い床で清掃を中心に吸塵力が最大1.6倍アップした。
空気中に存在する見えない浮遊菌の原因のひとつは、清掃では取り切れない床の「隠れダスト」が空気中に舞うことによって拡散されるためだという。清掃スタッフによる作業ではどうしてもムラが出てしまうが、同社の「Whiz」は全面をくまなく清掃することで効率的に除去し、床を清潔に保つことで、隠れダストをなくして舞い上がりも抑え、室内空間を清潔に保つことができることが実験で分かった、と公表している。
その他にも、ごみ収集容量をアップしたこと、バンパーを前左右一体型のものから、前と左右の分離型を採用して、安全性を向上したことなども改良点としてあげられる。
ソフトウェアの改良
ソフトウェアの改良も行い、清掃ルートの利便性が進化した。
ひとつは「スマートルート作成」機能。清掃エリアのルートマップを作成する際、清掃したいエリアの外周をルート設定することで、内側の清掃ルートは自動で生成することができるようになった。清掃ルートのティーチングを外周だけで済ませることができ、短時間で簡単に行うことができる。
もうひとつは「複数ルート選択」。従来から、3次元コード(ホームロケーション)を読み込ませることで6ルート作成できたが、それらを組み合わせて清掃させる機能を追加した。複数ルートを選択して、より効率的に自律清掃することが可能になった。
他には清掃開始を時間指定して自動稼働できる「タイマー機能」や、床の汚染度を測定するダストセンサーが床の汚染度をクラウド経由で知らせてくれる機能(今後の予定)。
WhizとWhiz iのどちらを選ぶか?
「Whiz」と「Whiz i」は併売となる。Whiz iの主な改良点はここまで述べたとおりだが、バッテリーの面で少し違いが出てくる。「Whiz」はバッテリーが交換式で、長時間使用する際には予備のバッテリーを使える利点がある。ただし、バッテリーは充電する際に本体から外して行う必要があり、それを手間だと感じるユーザーもいる。一方「Whiz i」のバッテリーは完全に内蔵式。交換することができない代わりに、本体にケーブルを差し込むだけで充電することができる。交換式の利点と充電の手間か、内蔵式の充電の利便性を取るか、利用予定時間によってユーザーは選択することになる。ちなみに内蔵式にしたことで稼働時間が伸びている。「Whiz i」は約3時間40分、「Whiz」の約3時間となっている。
現在、同社では新型の「Whiz i」を無料で試せるキャンペーン「Whiz i モニターキャンペーン」を実施中だ。
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。