アクセンチュア AIが業務の決定や判断を支援する「AI Powerdサービス」を拡充 経営/営業/サポート/総務/メンテ/製品企画などAIが支援

グローバルにコンサルティングサービスを展開する大手企業のアクセンチュアは、AI技術を活用した「AI Poweredサービス」(エーアイパワード)を拡充し、幅広い業務分野をAIで支援していくことを10月21日に発表した。従来からある同サービス4つに、6種類のサービスを新たに追加。経営/営業/サポート/総務/メンテ/製品企画/サプライチェーン/人事・求人などの多くの分野で、データ解析と業務のさまざまな意思決定にAIの支援を導入、普及させたい考えだ。

同社のビジネスコンサルティング本部 AIグループ日本統括 AIセンター長 マネジング・ディレクター 保科学世氏によるプレゼンテーション


世界的なベスト10企業のうち8社がAI先進企業

保科氏は「DIGITAL IS EVERYWHERE から AI IS EVERYWHERへ」と語り、ニューノーマルはDigitalの時代であることはもちろん、AIの時代であることを強調した。それを裏付ける比較情報として、世界の企業時価総額ランキング10位を2000年と2020年で比べた一覧を紹介し、ベスト10企業のうち8社がAI先進企業であることを示した。




AIをビジネス全体で活用しない場合は倒産も

アクセンチュアらしく、グローバル経営者1500人に対するAIについてのアンケートの結果も公開した。「成長目標を達成するためにAIを活用すべき」と回答した経営者は84%、「次の5年間にAIをビジネス全体で活用しない場合、倒産するリスクがある」と回答した経営者は75%にのぼった。一方で「AIをビジネス全体で活用させることに苦労している」との回答も76%となった。


これらから、自社のビジネスにAIの活用は不可欠と考えると同時に、具体的な活用の方法については模索している最中である、というグローバル経営者が多いことがうかがえる。




AI導入の成功要素

保科氏は、AI導入の成功要素として3つを掲げた。業務・システムに深い知見、AIとヒトの協調、AI技術群の最適配置だ。業界の業務やしくみに詳しいメンバーが必ず介入してコンサルティングの役割を果たすこと、AIと人間のそれぞれ得意な領域をそれぞれが分担して対応することが重要だとした。


それをアクセンチュアは「AI Hubプラットフォーム」で具現化した。初期バージョンを発表したのが2018年1月。いろいろな業務に活用する特化型AIを集積・組み合わせて、サービスを提供する。扱うデータがすべて「AI Hubプラットフォーム」を経由することで、情報の一元化にも寄与する。更には学習データが蓄積していくこともできるのも特徴のひとつとなっている。


「AI Hubプラットフォーム」を用いて、業務に合わせたサービスとして提供するのが「AIPoweredサービス」だ。




AIPoweredサービスとは

アクセンチュアはまず、昨年6月に4分野のサービス「コンタクトセンター」「バックオフィス」「コンシェルジュ」「サプライチェーンマネジメント(SCM)」(下画像の左4つ)を発表した(緑枠は今回追加されたサービス)。




コンタクトセンター

コールセンターを含む、コンタクトセンターにおいて、AIによる自動応答とスタッフによる柔軟な対応を組み合わせることで、顧客体験と満足度の向上、業務の効率化を実現する。



バックオフィス

AI社員と専門スタッフを組み合わせてバックオフィス業務の効率化を実現する。



コンシェルジュ

対面接客の場で接客の音声を認識、理解し、AIが会話内容に応じた適切な回答を随時表示して接客スタッフを支援、効率化する。



サプライチェーンマネジメント(SCM)

需要予測・自動発注・生産最適化・故障予測などのアルゴリズムを作成、バリューチェーン全体を最適化、高速化する。無駄な在庫を最小化し、顧客向けにパーソナライズされた製品を届けることを実現する。





追加された6つのAIPoweredサービス

更に今回、6つのサービスを追加することになった(下画像の緑部分:再掲)。




マネジメントコックピット

客観的な予測や推奨シナリオをベースに、AIが成り行きを予測、修正オプション等を提示する。KPIの一元管理と見える化だけでなく、AIが予測して修正案も提示する点がポイント。


デモも公開された。主なデモの内容は、マネジメントコックピットに表示された売上達成率、営業利益率、キャッシュコンバージョンサイクルを経営陣やマネージャーが閲覧、AI理予測によると売上は目標の未達に終わりそうだということを予測、テコ入れが必要なカテゴリーをAIが提示して施策も提案するというもの。

マネジメントコックピットが現状のKPIを可視化、更にはこのままの成り行きだと、売上げ目標の88%にしか達成できないことをAIが示唆

その対策をAI自身が提案。売上げ目標を達成するための施策を示す。この施策を選択するとAI予測では100&の達成率となる



プロダクツ&サービス

様々な製品やサービスがネットに接続される時代。その自体に合わせた顧客ごとのパーソナライズやアップデートなど一貫したサービスをAIが提案していく。エッジからクラウドまで横断したIoTプラットフォームとAIによってユーザーを理解し、提案、価値が向上するサービスを実現する




セールス

営業活動をサポートしてくれる同僚の営業AI。「これから○×商事に訪問するんだ」と問いかけるとAIが前回までの経緯や関連のドキュメント、有効な提案のヒントなどを返してくれる。
セールス業務において、AIが情報の管理・分析、社内のコミュニケーションをサホート。定型作業の実現化もはかる。売上達成だけを目標にした活動から、クライアントとの長期的な関係構築を起点にしたビジネス価値の創出をめざす。




アセットメンテナンス

例えばドローンが決められたルートを飛行して画像やデータを収集し、AIがそれを解析することで管理運営を自動化・効率化、高所点検の事故リスクの軽減をはかる。
設備や構造物のメンテナンス・管理業務において、IoTセンサーやドローン等とAIを活用して効率化・高度化・自動化を行う。IoTで集積したデータをAIが解析、安定稼働と運営、故障やトラブルの予知等を行う。




ナレッジシェアリング

企業が蓄積している多くのデータを最大活用する。問いや状況を適切に理解したAIが情報を検索する人の意図を正確に理解し、瞬時に必要な情報を見つけ出す。高度な意思決定のサポートに繋げるもの。情報や検索履歴をAIが分析・学習することで長期的なデータ活用を行う。




タレントイノベーション

データを基に、従業員体験を向上させ、経営者が求める最適で優秀な人材を確保・維持に繋げるることで、企業の人気度の向上、業績アップと成長を実現する。HRデータハブと呼ばれるシステムに蓄積・解析する。





コロナ禍におけるAI Poweredサービスの有用性は

新型コロナ禍におけるニューノーマルな生活や働き方が注目される中、このAI Poweredサービスはどのよう役立つのだろうか。
この質問に保科氏は「AIPoweredセールスはリモートセールスの知見も持っていて、実際に訪問しない営業の方法とチーミングのしくみもあるので、コロナ禍でも役立つと確信している。アセットメンテナンスのドローン活用もスタッフの代わりに自動化を推進するなど、これからの働き方に準じたものになっている。また、マネジメントコックピットは日々、新しく見直される働き方や社会状況に対応するために開発したと言っても過言ではないシステムとなっている。更に言えば、タレントイノベーションでは、コロナ禍で落ち込んでいる社員や求人のモチベーションをいかにして向上させるかを提案していくもの」と語った。

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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