凸版印刷とANAグループのavatarinは、アバター技術を中心とする最先端技術を用いた新たな宇宙開発・利用関連事業の創出を目指し、国際宇宙ステーション(以下、ISS)日本実験棟「きぼう」に設置された「space avatar」を世界で初めて一般の人が街なかから操作する技術実証と、アバターロボット「newme」や「IoANeck」を用いた遠隔によるJAXA施設見学を行う事業実証の2つの実証を2020年11月19日(木)〜22日(日)まで実施することを発表した。
上記期間の内、11月21日(土)、22日(日)には「AVATAR X space avatar 宇宙を身近に感じよう」として一般公開が行われ、一般ユーザーがspace avatar操作体験、JAXA展示施設の遠隔見学、「newme」操作体験を行うことが可能。参加にはWEBサイトから予約が必要。(上の画像はspace avatarが設置されたISSきぼう JAXA提供)
遠隔操作で街中から、宇宙や地球を眺める世界初の試み
avatarinは地上400km上空を秒速8kmで周回する「きぼう」に宇宙アバター「space avatar」(スペースアバター)を設置し、その操作体験を提供する。世界初の試みとして、一般ユーザーが街なかから、「きぼう」に設置される「space avatar」をリアルタイムで直接動かし、「きぼう」船内から宇宙や地球を眺めることが可能(虎ノ門ヒルズビジネスタワー会場から体験できる)。
体験できる時間は、21日(土)は17:00 – 20:00、22日(日)は17:00 – 19:00 の時間帯の回のみ。
「space avatar」はJAXAの「きぼう」の有償利用制度を利用し、宇宙ステーション補給機「こうのとり」9号機に搭載され、2020年5月に「きぼう」へ到着した。「space avatar」にはJAXA施設外から「きぼう」と通信する技術を利用している。
「space avatar」はJAXAの「きぼう」の有償利用制度を利用し、宇宙ステーション補給機「こうのとり」9号機に搭載され、2020年5月に「きぼう」へ到着した。「space avatar」にはJAXA施設外から「きぼう」と通信する技術を利用している。
国内の民間企業等を主な対象として、利用者が独自の目的で「きぼう」を有償で利用し、利用成果を独占的に取得・使用することが可能なJAXAの制度。
JAXA施設外から「きぼう」と通信する技術
極限環境でのデータ通信の環境構築・技術開発を行うことで、今後災害時や通信インフラ未整備のエリアにおいてもアバターの利用を可能にすることを目的としている。リアルタイムでJAXA施設外から「きぼう」内装置を遠隔操作できるコマンド送信システムの技術を活用して、世界初の「きぼう」でアバター体験ができるシステムを構築した。
「space avatar」操作体験はANAホールディングスと国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)により2018年9月に開始した、共創型研究開発プログラム・宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)“AVATAR X Program”(アバターエックスプログラム 以下、AVATAR X)における宇宙でのアバター利用の実証となる。
「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ」(J-SPARC)とは、宇宙ビジネスを目指す民間事業者等とJAXAとの対話から始まり、事業化に向けた双方のコミットメントを得て、共同で事業コンセプト検討や出口志向の技術開発・実証等を行い、新しい事業を創出するプログラム。2018年5月から始動し、現在、約20プロジェクトが進行している。
AVATAR X program
「AVATAR X」は今後の宇宙関連市場の大幅な拡大を見据え、宇宙関連事業への参入を目指す企業・団体、自治体約30社と、ANA・JAXAが連携し、「アバター(avatarinが描く瞬間移動手段)」を活用した、宇宙関連事業の立ち上げを目指すプログラム。「ANA AVATAR VISION」と新たな発想の宇宙関連事業の創出を目指す「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)」における「人類の活動領域を拡げるテーマ群」の一環として、事業コンセプトの共創を行っている。
「newme」や「IoANeck」を用いたJAXA展示施設の遠隔見学
「newme」や「IoANeck」を用いたJAXA施設の遠隔見学体験は文化庁の募集する「文化芸術収益力強化事業」に採択され、凸版印刷が取りまとめ、NTTドコモによるJAXA展示施設の通信環境の整備の協力のもと実施する。21日(土)、22日(日)の一般公開「AVATAR X space avatar 宇宙を身近に感じよう」は森ビルによる会場提供の協力のもと、虎ノ門ヒルズビジネスタワーにて実施。
・「newme」による筑波宇宙センター遠隔見学ツアー
筑波宇宙センターに「newme」を配置し、虎ノ門会場や自宅などから1回30分の遠隔見学を実施。「文化芸術収益力強化事業」の一環として自宅等虎ノ門の会場外からの見学を1回500円(通信・機器利用費)と設定し、収益の費用対効果を確認する。専門家ガイドの説明を聞きながら自分でアバターロボットを遠隔操作し、自由に施設内を移動することが可能。
・「IoANeck」による種子島宇宙センター遠隔見学ツアー
種子島宇宙センターの専門家ガイドが「IoANeck」を装着し、虎ノ門会場の参加者向けに説明を行う見学ツアーを実施する。「IoANeck」は凸版印刷のIoA仮想テレポーテーション技術を用いた遠隔地にいる人と体験を共有できるウェアラブルデバイス。会場内ではツアーの様子を映像と音声で配信する。
【動画 newmeによる遠隔見学ツアー】
今後の展開
avatarinは今回の実証で得られた地上-宇宙間の遠隔操作技術含めた宇宙におけるアバター活用ノウハウを今後の宇宙アバターを活用した事業化に向けた取り組みの礎とし、宇宙ステーション船内/船外における宇宙飛行士作業支援、月面及び月周回有人拠点における宇宙アバター利用に発展させていく。また、極限環境でのデータ通信の環境構築・技術開発を行うことで、今後災害時や通信インフラ未整備のエリアにおいてもアバターの利用を可能にすることを目的としている。
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。