東洋製罐グループはより豊かな社会の実現を目指すプロジェクト「OPEN UP! PROJECT」の一環として、ドローン等に着脱可能な世界初(同社調べ)のロボット用遠隔型スプレー缶噴射装置「SABOT for Drone」の実用化モデルを完成させ、提供を開始することを発表した。
対応機種なら取り付けるだけで使用可能。対応機種は「Matrice 210 V2」「Matrice 210 RTK V2」。対応予定機種は「Matrice 300 RTK」(ドローンに着脱可能な遠隔型のスプレー缶噴射装置として世界初、同社調べ)
約1年半の開発期間を経て、実用化モデルが完成
近年、点検や農業分野への利用等、空撮だけではない新たなドローンの活用が多分野において注目を集め、様々な企業や団体が実証実験・導入等を進めている。ドローンの活用により、危険で人が立ち入ることが困難な場所でのカメラを利用した点検や自動航行による農薬の散布など、安全かつ効率的に作業ができることに加え、近年の人手不足解消にも寄与するものと考えられている。
創業100年を超える東洋製罐グループでは次の新しい100年を創造するべく、様々な課題に向き合うことでイノベーションを起こし、より豊かな社会の実現を目指すプロジェクト「OPEN UP! PROJECT」を2019年より始動、様々なプロジェクトを進行している。そして、多分野において様々な課題解決に寄与する可能性があるドローンに“容器”という側面から新たな付加価値を与えられるプロダクトとして、「SABOT for Drone」の開発を進めてきた。実用化に向けてこれまでにない価値提案を行うべく、約1年半の開発期間を経て、実用化モデルが完成した。
多種多様なドローンの新しい価値を提案する「SABOT for Drone」
「SABOT for Drone」はドローンに殺虫剤や塗料・薬剤等が入ったスプレー缶を着脱することができ、遠隔操作で内容物を噴射することができるスプレー缶噴射装置。従来の農業用ドローンとは異なり、ホバリングした状態から上下左右に散布や噴射が可能で、スプレー缶を取り換えるだけで噴射する内容物を簡単に変更することができる。
これにより従来の見ることが中心のカメラ等による点検や地上に向けた広範囲の農薬散布のみにとどまらず、殺虫剤による蜂の巣駆除や、塗料を使って対象物の特定箇所へのマーキングといった多種多様な活用方法で新たなドローン活用の可能性を広げることができる。現在、SABOTに関する国内特許は登録済み、国際特許は出願中。
今後は薬剤、塗料、建築土木・メンテナンス、ドローン関連のメーカーとの協業はもちろん、行政との取り組みなど幅広い領域において展開を行っていく予定。同社は創業100年で培ってきた技術力とノウハウを活かし、“缶の力”で新たな価値を生み出すサポートを行っていくとしている。
「SABOT for Drone」
「SABOT for Drone」の主な特長
1.上下左右に安定的かつ精度良く散布・噴射が可能
ノズル部分が上下左右に可動するため、操縦者の思い通りの方向に缶の内容物を噴射できるように設計されている。ノズル周辺にはカメラや対象物との距離センサを備え、噴射精度や安全性を高める。また、インターフェースは利用者目線に立った開発を行い、使い勝手が良く自由自在な操作を実現している。
2.缶の交換により、防錆剤の噴射や蛍光塗料でのマーキング等、様々な用途で利用可能
作業中に内容物が無くなってしまった場合や利用用途により内容物の切り替えが必要な場合でも、缶や配管を含めたノズルごと簡単に交換可能。缶の内容物を変えることで洗浄剤で対象物の汚れを落とした後、直ぐに塗料でマーキングしたり、足場作業が必要なほど進行していないサビの補修箇所に対し、ドローンから防サビ剤を使用し初期段階からサビの発生を防止するといった保全作業など、実際の作業現場を想定した様々な使い方が可能。
3.容器、スプレー缶充填製造メーカーだからこそ可能な安全・安心の提供
装着する缶には主に殺虫剤や塗料、室内消臭剤、頭髪用品等で使用されるスプレー(エアゾール)缶を採用。創業100年で培ってきた東洋製罐グループの技術力とノウハウにより、容器を含めた装置全体の安全性や安定噴射が可能な処方やノズル等の開発を実施することで、安心して使用できる仕様を提供。
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。