ソフトバンク子会社のHAPSモバイルが成層圏の通信プラットフォームHAPS向け「全樹脂電池」の開発に向けてAPBと基本合意

HAPSモバイル株式会社とAPB株式会社は、HAPSモバイルが開発する成層圏の通信プラットフォーム(High Altitude Platform Station、以下「HAPS」)向けに、高いエネルギー密度の蓄電池「全樹脂電池」を共同で開発することに基本合意した。

HAPSとは、成層圏に飛行させた航空機などの無人機体を通信基地局のように運用するシステム。山岳部や離島、発展途上国など、通信ネットワークの整備が困難な場所や地域にも、安定したインターネット接続環境が構築できる成層圏プラットフォーム。成層圏からLTEや5G(第5世代移動通信システム)などのモバイルインターネットを提供することができる。(関連記事「ソフトバンク子会社がFacebookの飛行実証デモに参加 地上から4km高度の航空機から電波を受信 HAPSモバイルが発表」)

HAPSモバイルが開発しているHAPS向け無人航空機「Sunglider」(サングライダー)は、大型の無線機を搭載して長期間サービスを提供することを想定し、大容量かつ軽量化された蓄電池の改良が期待されている。現在は通常LiB(リチウムイオン二次電池)が使用されている。

HAPS向け無人航空機「Sunglider」(サングライダー)のイメージ

「全樹脂電池」は、APBの代表取締役である堀江英明氏と三洋化成工業株式会社が共同で開発したバイポーラ積層型のリチウムイオン電池。現状より軽く(wh/kg)、かつコンパクト(wh/l)なバッテリーを開発したい意向だ。
三洋化成は高分子設計・界面制御技術を持っていて、新開発した樹脂を用いて、活物質に樹脂被覆を行い、樹脂集電体に塗布をすることで電極を形成するという。

全樹脂電池(外観イメージ)

このような独自の製造プロセスにより、従来のリチウムイオン電池よりも工程を短縮することで、製造コスト・リードタイムの削減を実現するとともに、これまでにない高い異常時信頼性とエネルギー密度を実現する。部品点数が少なくて済むバイポーラ積層型で、樹脂で構成しているため、電極の厚膜化が容易に行え、セルの大型化が可能で形状自由度が高いことも特長。
HAPS向けの開発はこれからとなるが、HAPSに搭載することで、機体全体のエネルギー収支の向上が見込めるとしている。
全樹脂電池の高いエネルギー密度によってバッテリーの軽量化を実現し、Sungliderの長期間にわたる成層圏での飛行を支えられるようになる可能性が高い。バイポーラ構造の特長を生かし、高電圧化に必要な配線パーツや金属製電池ケースを削減する他、構成部材の樹脂比率を高めたり、異常時の信頼性を生かした高いエネルギー密度化に寄与する次世代の電極材を採用したりすることによって、全樹脂電池のエネルギー密度の向上を実現すると語っている。

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ロボスタ編集部

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