一般財団法人トヨタ・モビリティ基金(Toyota Mobility Foundation:TMF)は、下肢麻痺者の移動の自由に貢献する革新的な補装具の実現に向けたコンテスト「モビリティ・アンリミテッド・チャレンジ」において、Phoenix Instinct社(英国)の自律制御電動車椅子を最優秀作品として選定した。2020年12月17日に最優秀作品の発表イベントが開催され、TMFは同社に対して作品の製品化に向けた活動資金100万ドルを授与し、支援を継続することを約束した。
最優秀作品発表イベントにて、プレセンターとして登壇した国際パラリンピック委員会前会長であるフィリップ・クレイヴァン氏(トヨタ自動車取締役)は以下のようにコメントしている。
国際パラリンピック委員会前会長/トヨタ自動車株式会社 取締役 フィリップ・クレイヴァン氏
モビリティは人生における様々な制約から人々を解放し、自由をもたらす。移動の自由を実現することによって、全ての人が社会において活躍することが可能になる。
一般財団法人トヨタ・モビリティ基金(TMF)について
トヨタ・モビリティ基金は、より移動のし易い社会を創造するために、2014年8月に設立され、大学や政府、非営利団体、研究機関、その他の団体とノウハウを共有し、連携して活動している。
技術、安全、環境に関するトヨタの専門知識を活用して、都市交通問題を解決し、誰もが自由に移動できるモビリティ社会の実現に向け、幅広いプロジェクトを通じて世界中の移動課題の解決に取り組んでおり、今後もTMFは、同社グループが事業活動を通じて培った技術やノウハウを活用し、多様なパートナーとの協働を通して、国連が定めるSDGs(持続可能な開発目標)の考え方にも沿った活動を進めながら、人々が心豊かに暮らせる社会の実現に向けて貢献していくと述べている。
■【動画】Toyota Mobility Foundation Video – Japanese
「モビリティ・アンリミテッド・チャレンジ」の選考について
2017年11月から開始した「モビリティ・アンリミテッド・チャレンジ」には、世界28か国、80以上のチームから画期的なアイデアが寄せられ、昨年1月に最終候補として選定した5チームが、同プログラムのテクニカルアドバイザーであるピッツバーグ大学人間工学研究所や英国NPOのNESTA、トヨタ自動車の関連部門等から製品化に向けたアドバイスを受けながら試作品の制作を進めてきた。専門家からなる審査委員会が、技術の革新性、実用性、品質・安全性、製品化の可能性、社会への影響を基準に5チームの試作品を評価した結果、Phoenix Instinct社の自律制御電動車椅子を最優秀作品に選定した。
同作品は、前輪搭載のパワーアシストとAIを活用した重心制御を組合せて車体の制御を容易にするとともに乗り心地を改善し、また下り坂を検知してブレーキシステムが作動する機構を搭載することで安全面での性能を向上させた。TMFでは、最優秀作品以外のファイナリスト4チームの作品についても、専門家とのネットワーキングやアドバイス等による支援を継続し、技術革新を通じて、全ての人々が自由に移動できる社会の実現に向けた活動を進めていくと述べている。
【NESTA】:英国国立科学技術芸術基金を母体としたNPO。科学・技術・芸術における個人および団体による先駆的なプロジェクトや人材育成を支えるイノベーション推進機関。
ファイナリスト5チームの概要
▼『Phoenix i』(最優秀作品)
開発団体 | Phoenix Instinct(英国) |
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作品概要 | 前輪搭載のパワーアシストとAIを活用した姿勢制御を組み合わせた自律制御機能付き電動車椅子 |
▼『The Evowalk』
開発団体 | Evolution Devices(米国) |
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作品概要 | 筋電気刺激を活用した下垂足(足首の麻痺)者向け歩行支援装置 |
▼『Qolo』
開発団体 | 筑波大学(日本) |
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作品概要 | 利用者一人で移乗・着座の移行を可能にし、立位状態で走行できる電動車椅子 |
▼『Quix』
開発団体 | IHMC、MYOLYN(米国) |
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作品概要 | 路面感知、姿勢制御機能を付加した電動式の外骨格 |
▼『Wheem-i』
開発団体 | Italdesign(イタリア) |
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作品概要 | 車椅子ごと移乗可能な車椅子電動化ユニット |
■【動画】Mobility Unlimited Challenge Finalist Journey(英語)