2020年秋に発売になった第4世代の「Amazon Echo」と「Amazon Echo Dot」。
球状のデザインが採用されて大きな話題になった。
新型の丸くて小さい「Amazon Echo Dot」についてはロボスタでもレビュー記事を掲載、従来の「Amazon Echo Dot」と比較して格段に音声や楽曲の再生品質が向上したことをお伝えした。(関連記事「新型エコードットは球状デザインになって音質はどう変わった? 「Echo Dot with clock」(第4世代)速攻レビュー 第2世代「Echo Dot」と聴き比べ」)
今回は新型の第4世代スマートスピーカーwith Alexa「Amazon Echo」の音質について第2世代の「Amazon Echo」と比較しての違い等を解説したい。
ちなみにスピーカーの音質については個人の好みが大きく左右するので、第2世代の「Amazon Echo」と比較した印象でのインプレットョンを優先に、更にはYouTube動画でも紹介したい。第4世代Amazon EchoについてはSNSや製品レビューで厳しい評価をしているものもあり、どうしてそのような評価になってしまうのか、その理由にも触れたい。
球状デザインで指向性が強くなり「こもり」感がなくなった
写真を見ていただくと解ると思うが、球状デザインになって第2世代Echoよりも占有面積はやや大きくなった。わずかな差だが置き場所に苦労しているユーザーはより大きなスペースの確保が必要だ。
第4世代の「Echo」のキャッチコピーは「プレミアムサウンド」&「スマートホームハブ」。従来通り、音声アシスタント「Alexa」を使ってニュースや天気予報を聞いたり、様々な情報を得たり、タイマーやアラームの設定、Alexaスキルを使って環境音を楽しんだり、なぞなぞやクイズなどで楽しむこともできる。
3機種は会話の音声比較でも違いがわかる。ただ、第2世代の「Echo」は下記の動画から受ける印象よりも、実際には低音がもう少し強く、よい響きで聞こえるが、第4世代と比較すると「こもり」感が強調される点は否めない。ちなみに「Echo Dot」はスピーカーが小さい分、音声に厚みがないことがわかると思う(それでも従来の「Echo Dotより音質は明らかに向上している」)。
■第4世代 vs 第2世代 vs Echo Dot
スマートホームハブを装備
また、「スマートホームハブ」というのは、本体に「Zigbee対応のハブ」が内蔵されていて、スマートホームデバイスの設定や制御が高度でかつ簡単に利用することができる。「スマートホームハブ」は以前は「Amazon Echo Plus」や「Echo Show」など上位機種に装備されている機能だったが、第4世代の「Echo」はしっかり搭載されている。対応のスマートホーム機器(Philips Hueなどのハブを必要する機器)を使いたい人、それらをAlexaで制御したい人にはうれしい機能だ。また、温度センサーも搭載されている。
スピーカーのコンセプトが異なる
音質についての話題に戻そう。
Amazonは第4世代Echoの音質について「クリアな高音、ダイナミックな中音、そして深みのある低音で、リッチで細やかなサウンドを、設置場所に合わせてパワフルなスピーカーがお届け」と解説している。実際にサイズで比較すると第4世代Echoのスペックは向上している。
第2世代 2.5インチウーファー、0.6インチツイーター×1
ちなみに第3世代は3.0インチウーファー、0.8インチツイーター×1の構成となっている。
実は、第2世代Echoは部屋のどこに置いても楽曲の再生がきれいに聞こえる360度音響を重視している。ウーファーとツイーターが各1個にも関わらずそれを実現するために音が反響するしくみを取り入れていて、それによって「こもり」がちになる。しかし、そのしくみも相まって、第2世代Echoの低音が効いた音質を著者は気に入っていて、”単体のスマートスピーカー”で実現している音としてトップクラスだと評価している。
一方の第4世代のEchoはウーファーのサイズを大きくして上向きに設置、ツイーター2基を前面に向けて搭載している。360度の反響を使わず、直接的にリスナーに届けるタイプに変更している。
この構造と方式の違いが、第2世代(第3世代)と球状の第4世代の好みを分ける結果に繋がっている、と感じている。いつものようにAlexaによる「君の名前」を聴き比べた動画を紹介しよう。YouTubeでは音質の違いを明確に表現することができないが、参考にはなると思う。動画では第2世代Echoのこもる感じが強調されているが、実際の耳で聴いた感じでは第2世代Echoは低音が強く(良い意味で)、重みのある音質が感じられる。それに対して第4世代はこもらずクリアな音質が拡がる。
なお、全ての端末はボリュームレベルを中間の「50」に設定してある。
■ Alexaソング「君の名前」 Echo Dot、第2世代Echo、第4世代Echo、聴き比べ
もう一曲、Alexaのオリジナル「ゴーゴーソング」を聴き比べてみよう。こちらもタイプ(方式)の違いがわかり、第4世代Echoの方がクリアな音質に感じられると思う。ただ、第2世代EchoはYouTube動画より実際の方が魅力的な音質で聴こえる、と筆者は感じている。
■ Alexaオリジナル「ゴーゴーソング」 第2世代Echo、第4世代Echo、聴き比べ
結果を言えば、第4世代Echoは機構的に確実に音質がアップしているが、第2世代Echoの反響型がとても良いため、比較するとユーザーの好みによって評価が別れる。実際にロボスタ編集部でも好みが割れた。
空間の音響特性を自動で感知し、最適な音質で楽曲再生
また、第4世代Echoは「Echo Studio」と同様、自動的にデバイスを設置した空間の音響特性を感知し、最適な音質でオーディオ再生する機能も装備されている。これによって、設置する場所によってもレビュー結果が左右される可能性もある。
もしも第2世代Echoや第3世代Echoの音質が気に入っている読者は必ずしも第4世代Echoはアップグレード感がないものになるかもしれない。一方で旧型の「こもっている」感が気になっている読者には第4世代Echoへの買い換えをオススメしたい。
曖昧な評点で恐縮だが、読者には参考になるとうれしい。
ABOUT THE AUTHOR /
神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。