株式会社豆蔵は日本電産シンポ株式会社、三井化学株式会社と協業し、新たなヒト協働ロボットの設計手法の共同研究を2020年4月から実施してきた。同社は共同研究の成果を2021年1月20日~1月22日に東京ビッグサイトで開催される「第5回 ロボデックス-ロボット[開発]・[活用]展-」に出展することを発表した。
共同研究について
労働力不足などの背景から、産業用ロボットの市場は拡大を続けている。その中でも、ヒト協働ロボット(以下、協働ロボット)の市場の拡大が著しく、2023年には産業用ロボット市場のうち15%(20万台/年)に達すると予想されている。
ISO/TS 15066:2016で定義された人と協働で作業ができるロボットで、特定の条件下では従来の産業用ロボットで必須であった安全防護柵が不要になるため、これまで産業用ロボットが導入できなかった中小企業が新たなユーザー企業として期待されている。
共同研究では協働ロボットの「軽さ」と「柔らかさ」を設計コンセプトとし、ロボットアームのフレームの樹脂化、減速機の逆駆動性の実現に取り組んだ。スキームとして豆蔵がロボットの設計・制御技術、三井化学が樹脂部品の設計・成形技術、日本電産シンポが新型の高バックドライバビリティ減速機を提供し、10kg可搬の7軸協働ロボットの試作機「Beanus2」を開発した。
共同研究の成果
フレームの樹脂化による「軽さ」
三井化学の樹脂部品の設計・成形技術によりロボットアームのフレームの大部分を樹脂化し、同形状の金属製アームと比べて重量を最大で1/2まで軽くすることが可能となった。金属との接合が必要な個所には金属樹脂一体成形技術を使用し、樹脂でありながらも高い剛性を実現している。また、軽量化によって衝突時の衝撃力の低減、可搬重量の増加、部品コストの削減、省電力化などが期待できる。
高バックドライバビリティ減速機による「柔らかさ」
一般的な波動減速機を採用している協働ロボットではアームに加わる外力をモーター電流値で高精度に検出することは困難であるため、ロボットの各関節にトルクセンサーを搭載する設計が一般的。共同研究では日本電産シンポの高効率・低摩擦な高バックドライバビリティ減速機を使用することにより、モーター電流値で高精度に外力を検出できるようになった。ここに豆蔵の力制御アルゴリズムを融合することで、トルクセンサーなしでロボットアームを柔らかく制御することが可能。トルクセンサーを使用しないことにより、センサーの故障や断線による誤動作抑止、関節部の省スペース・軽量化に貢献できる。
今後の予定
今後は共同研究での成果を新たな協働ロボットの設計手法として、ロボットメーカー企業に提案していく。豆蔵は軽さ・柔らかさを実現するノウハウを加えたロボットシステム開発支援サービスの展開、三井化学はロボットアームへの樹脂部品の適用、日本電産シンポは高バックドライバビリティ減速機の普及に努めていく。また、高バックドライバビリティ減速機を含む駆動部品の樹脂化にも取り組み、更なる軽量化と安全性向上の共同研究を継続してく。
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。