現在、日本やアジアの介護事業において、職員不足は顕著な社会課題となっており、介護職員の目が届かない場所や時間帯等に誤嚥や転倒、不適切ケア、徘徊などのインシデント・アクシデントが起きる可能性があることから、介護職員にかかる負担は増す一方の状況にある。
こうした背景のなか、不意の事態への迅速な対応や不慮の事故を防止するため、リアルタイムに介護現場のカメラ映像を解析する技術はますます重要となってきており、需要が高まっている。
Genki Groupの株式会社メディクルード、EDGEMATRIX株式会社と株式会社NTTドコモ、パナソニックi-PROセンシングソリューションズ株式会社は、現場(エッジ)でカメラ映像などをAI処理する「映像エッジAI」を活用した介護AIソリューションの実際の介護現場への導入に向けた検証環境の構築および実証実験を開始することを2021年1月14日に発表した。
今回の協業を通じて、Genki Groupが運営する介護施設(社会福祉法人元気村グループ、株式会社サンガジャパン)に、カメラおよび、NVIDIA CorporationのGPUを搭載したエッジデバイス「Edge AI Box」を設置。「映像エッジAI」を簡単に導入、管理可能なプラットフォームサービスである「EDGEMATRIX」を活用したAI分析、各種アプリケーションの検証環境の構築および実証による効果検証を行う。4社は、これにより、さまざまなAIアルゴリズムや、技術を保有するベンチャー企業のAIアプリを実際の介護現場で検証することで、介護現場が本当に必要としている最適なアプリケーションの開発につなげ、介護品質の向上や介護業務のデジタルトランスフォーメーションを進めていけるとしている。
(上記画像は“介護現場での「映像エッジAI」によるソリューション活用イメージ”)
転倒・徘徊・異常行動などをAIが迅速に検知
同実証実験の第一弾として、社会福祉法人元気村が運営する介護施設「かわぐち翔裕園」内にカメラおよび「Edge AI Box」を導入し、「EDGEMATRIX」サービスで提供している徘徊者検知や侵入検知のAIアプリを活用することによる効果の検証および現場の利用環境に合わせたカスタマイズを進めるとともに、医療・介護向けの新たなAIの開発および検証を行う。
「映像エッジAI」の活用により、映像データをクラウドにアップロードすることなく、現場に設置する「Edge AI Box」内でAI処理を行ったデータから異常の検知などを行うことが可能となるため、介護を受ける方や職員のプライバシーを保護しながら映像ソリューションを利用することが可能だ。
なお、実験では、以下複数の「映像エッジAI」の介護現場での検証を予定しており、介護機能に限らず、防犯など施設のセキュリティ強化も見据えて「映像エッジAI」の活用を検討する。
・徘徊などの検知(動体分析による異常行動アラート)
・高齢者転倒検知
・侵入検知
・職員メンタルチェック(顔認証と勤怠データベース)
・夜間、昼間時見守りシステム
・誤薬検知
各社の役割
4社は各社の強みを生かして、未来型の介護ソリューション創出に取り組み、介護業界の業務を効率化することで職員の負担軽減やより安全・安心な環境づくりをめざすとしている。
メディクルード | 全国に拠点を持つ医療・福祉領域の企業グループであり、介護施設において安全に効率的に実証実験を進められる環境を用意し、協力各社と共に介護の未来を構築していく。 |
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EDGEMATRIX | 映像エッジAIデバイスとアプリ、そしてプラットフォーム(アプリの開発から運用までを効率的に進める統合環境)を提供。今回のプロジェクトでは技術面での課題解決に尽力する。 |
NTT ドコモ | 同社は、デジタルトランスフォーメーションによる新たな価値創出と社会課題解決に取り組んでおり、映像エッジAIや5Gを活用したソリューション提供により、介護現場における業務効率化や安心安全に貢献する。 |
i-PRO | 国内IP監視カメラトップシェアメーカーとして60年以上培った撮像技術を活かし、AI画像解析に最適なカメラとセンシング技術を提供し、介護現場における最先端の「目」の役割を担っていく。 |
https://edgematrix.com/business/platform/