オフィスの空調をAIで制御 温度ムラの解消と約5割の消費エネルギー削減効果を確認 実証実験を東京建物らが実施

東京建物株式会社、株式会社TOKAIコミュニケーションズ、株式会社内田洋行は東京建物八重洲ビル7階の東京建物ビル事業本部のオフィスフロアにてAIによる空調制御の実証実験を実施したことを発表した。
個別空調を採用しているオフィスビルでの課題
個別空調を採用しているオフィスビルではゾーンごとに空調機が設置され、それぞれの空調機が人によって好みの温度に設定できるようになっている。しかし直近では、在宅勤務やテレワークの進展、フリーアドレスの導入など、オフィスワーカーの働き方の多様性が広がり、ゾーンごとの滞在人数やパソコン等の稼働熱量などは日々異なる。そのため個人による空調温度設定では日々刻々と変化する多様なオフィスワーカーのニーズに即時に合わせることが難しくなっている。また、隣接する空調機がそれぞれに異なる設定温度を維持しようと干渉し合ってしまうと、不要な負荷が発生し、空調費用の増加などの課題が生じてしまうことがある。
実証実験では上記課題を解決するためオフィスフロアに65個の無線センサーを設置し、それらのデータを基にAIがフロアの39台の空調機制御を行った結果、夏期と秋期における温度ムラの解消と秋期における約5割の消費エネルギー削減に至った。
今後は四季を通してAIによる空調制御を実現させるために、冬期から春期における実証実験の実施やオフィスの人口密度などの要素が変わった場合でも、同様の効果が得られるかを検証する予定。加えて、東京建物八重洲ビル内で実証実験対象フロアの拡大も予定している。実証実験の検証結果を踏まえ、AIによる空調制御に用いるパラメータの調整を行い、更なる快適なオフィス空間の提供と省エネルギーの達成を実現していく。
実証実験の結果
今回の実証実験では「夏期における温度ムラの解消」と「秋期における消費エネルギーの削減」を達成している。
「夏期における温度ムラの解消」(7月27日から8月31日まで実証)
AI制御の場合、室内の利用状況の変化等によって、一時的に26±2℃の目標温度帯を外れてしまう箇所が発生したケースでも、目標温度帯に速やかに復帰している。一方で、人が室温設定操作をした場合、暑く感じたオフィスワーカーが20℃に設定したケースでは、長時間にわたり26±2℃から外れたエリアが発生した。
このように、AIが多量のデータを分析し、手動制御よりも高頻度(6分間に1回)での温度変更を行うことで、人が操作することを前提とした従来の空調制御では対応しきれなかったような環境変化にも追従できたものと判断している。
「秋期における消費エネルギーの削減」(10月5日から11月27日まで実証)
下記グラフの通り、10月と11月の秋期において、AIによる空調制御を行った7階の空調消費電力は、東京建物が同規模の面積を利用している8-10階の平均と比べて消費エネルギーを50%程度に抑えることができた。また、早朝以外暖房を使わずほとんどの時間を冷房モードのみで26±2℃の目標温度帯を維持することができた。
各社の取り組み経緯
各社の強みやノウハウを活かして、今回の実証実験を三社協働で推進している。今後は実証実験で得られた成果を活かし、更なる快適なオフィス空間の提供と省エネルギーの達成を目指していく。 (以下、リリースより引用)
・東京建物
本実証実験において、当社のオフィスを実証実験の場として環境整備し、提供するとともに、全体の取りまとめを行うことで、施設管理現場の課題解決・生産性向上に向けた様々なデジタルトランスフォーメーション(DX)活動を更に強化してまいります。
・TOKAIコミュニケーションズ
・内田洋行
ABOUT THE AUTHOR /
山田 航也
横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。