奈良市の国営平城宮跡歴史公園は、国営公園を舞台としてAI やIoT などの新技術を活用し、公園の抱える課題の抜本的な解決や、公園利用者サービスの創出などによる一層の魅力向上を目指す“パークスマートチャレンジ”に取り組んでおり、平成31年3月から「平城宮跡歴史公園スマートチャレンジ」をスタートしている。
ニーズが高い「自動運転車を音声で呼びたい」
同チャレンジにおいて、PerceptIn Japan合同会社(パーセプティン)と株式会社マクニカは、来場者の回遊性の促進やアトラクションとしての集客力の検証および商用サービス提供としての運用面や技術面の課題抽出を目的に、2019年11月から2020年3月まで合計16日間の自動運転のモビリティの実証実験を実施し、600人以上の公園来場者が試乗。その試乗者のアンケートから、路線バスのように時刻表に基づいて定められたルートを運行するのではなく、オンデマンドで利用できるモビリティサービスへのニーズが大きいものの、特に、超低コストの自動運転ソリューションを活用した「マイクロ・ロボットタクシー Mopi」のメインターゲットである高齢者にとっては、スマートフォンのアプリでの呼び出し操作が難しいとの課題が明らかになった。
そこで、両社は、指示を受けたMopiが自動的にユーザーの待つ場所に向かえるよう、株式会社コトバデザインのクラウドAPIサービスを取り入れ、対話エージェントとの自然な会話で、誰でも簡単に呼び出しができる仕組みを開発。2021年1⽉28⽇から31⽇まで「スマートチャレンジ」にて、3社合同で「音声によるマイクロ・ロボットタクシー Mopiの呼び出し」の社会実験を実施することを同年1月21日に発表した。
目的地までの最適なルートを選択して走行
パーセプティンは、高精度GPSやコンピュータビジョンなどのセンサー情報を統合する独自のソフトウェア技術によって、LiDARや高精度3Dマップを使用しない、超低コストの自動運転ソリューションを開発。同自動運転ソリューションを活用した「マイクロ・ロボットタクシー Mopi」は、地方の地域住民の生活交通や観光スポット間の移動手段としての、まったく新しいコンセプトのマイクロモビリティ(短距離の移動手段)で、目的地までの最適なルートを選択して走行する。
同社会実験の概要
平城宮跡歴史公園の朱雀門ひろば(朱雀大路)に、病院やスーパーや駅などの仮想のスポットを設定し会話端末を設置。その端末と会話して呼び出すことにより、利用者が待つスポットにMopiが迎えに行く。利用者が乗車し、車内のタッチパネルで認証を行うと、Mopiは指定した目的地に向かう。
● コーン・バーで実証区域を囲ったうえで、セイフティドライバーが同乗し、安全を最大限確保した形で走行する
● 乗車後にアンケートを実施
● ドライバーと試乗者の検温、乗車前の車内アルコール消毒など、十分な新型コロナウイルス感染症対策に留意して実施
● 来場の際はマスク着用を推奨している
⽇時 | 1月28日(木)から31日(日) 午前10時から午後3時まで/雨天時などは中止となる場合がある。 |
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場所 | 国営平城宮跡歴史公園朱雀⾨ひろば ⼤宮通り寄りのスペース |
検証内容 | ・会話での呼び出しの体験価値(アンケート) ・⾃動での迎⾞を含む⾃動運転⾞の乗⾞体験の価値(アンケート) ・対話エージェントの認識精度 |
自動運転車 | macniCAR-01:二人乗りの超小型モビリティ(セイフティドライバーが同乗するため試乗は1人となる) |
COTOBA Agentは産業分野向けに対話AI実行環境を提供するクラウドAPIサービスだ。従来の対話システムと異なり、IoTからのセンサー情報を取り込んだ対話制御や、自由なシナリオ作成、意図解釈モデル のカスタマイズも可能な高い自由度と運用の容易さを両立させた対話システムの基盤サービスとなっている。AI業界標準言語のAIMLとPythonをサポートし、充実した開発支援ツールや運用支援ツールと高い信頼性を備えている。同サービスのコアとなる対話エンジンはOSSとして公開されており、高い透明性が確保されると同時に、COTOBA AgentとOSS環境間で開発したコードのポータビリティが確保されるため、OSS利用拡大に伴って開発コード資産の利用価値が増すと言う利点がある。なお、同サービスには総務省からの委託研究テーマ「高度対話エージェント技術の研究開発・実証」の成果が活用されている。
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