ATOUNの着るロボットは腕の負荷を65%軽減 「腕+腰の併用」で疲労度は6割減 鈴与甲信支店の作業員が実験に参加

着用型ロボット「パワードウェア」を開発・提供する株式会社ATOUN(アトウン)は、総合物流事業を営む鈴与株式会社の協力のもと、腕と腰の両方をアシストするパワードウェア「ATOUN MODEL Y + kote」の作業現場における実証実験を実施。その結果、荷物運搬をともなう作業時の腕の筋肉の負担が最大で65%軽減され、さらには作業者の疲労度が約6割減少することが確認されたことを発表した。

腕の筋肉にかかる負荷は筋電の数値によって計測。作業者の疲労度はスポーツ界などでも用いられている疲労感VAS検査によって「Y+kote」の着用時と非着用時の比較により算出。実験に参加した鈴与株式会社甲信支店の作業員は「Y+koteをつけたときは腕が非常に楽だった。あるのとないのとでは、作業後の疲労感が全然ちがった」とコメントした。


腕と腰をアシストする「Y+kote」

「ATOUN MODEL Y + kote」は腰をアシストするパワードウェア「ATOUN MODEL Y」に、腕をアシストするパーツ「+ kote」を搭載したモデルで、着用者の腕と腰をアシストする。腕のアシストは重量物を持つ動きを指先に取り付けたセンサーで感知し、肩付近のモーターによってパワーを調節しながらワイヤーを巻き上げ、手首を引き上げることで実現。フレームレスで人の自由な動きを妨げず、現場の多様な作業に対応している。ワイヤーを用いたフレームレスな腕のアシスト機器の量産化は世界初(ATOUN調べ)。




​筋電位測定による筋肉への負荷比較結果

規定の作業をこなす際の被験者の筋肉の負荷を筋電位によって評価。筋肉の部位ごとに「ATOUN MODEL Y + kote」の着用時と非着用時で比較した。その結果、Y + koteの着用時に、最大で腰方形筋では23%、脊柱起立筋では21%、上腕二頭筋では65%の負担の減少が見られた。

筋電位とは、筋肉が伸縮する際に発生する微弱な電気信号を皮膚表面に貼った電極で記録したもの

【上腕二頭筋】
人間の上肢にある筋肉。「力こぶ」と呼ばれることもある。腕を使って、物を持ち上げる際などに作用する。

【脊柱起立筋】
骨盤から背骨を経て頭部至る、背中で最も大きく長い筋肉。腸肋筋、最長筋、棘筋の3つの筋肉からなる。背骨を立てる作用を担い、姿勢の維持には最も重要な筋肉のひとつとされる。

【腰方形筋】
腰椎を両側から支える筋肉。身体の傾きの調整に作用することから、腰痛の主要な原因になりやすいと言われている。

実験条件 被験者人数=2人。規定作業を10回測定。(筋電位が最も下がった数値を抽出)
規定作業 パレットから12kgの段ボール箱を1回持ち上げる。
測定部位 左右それぞれの上腕二頭筋、脊柱起立筋、腰方形筋


疲労感VAS検査による疲労度の比較結果

規定の作業をこなした直後に疲労感VAS検査によって、被験者自身が疲労の実感値を用紙に記入。「ATOUN MODEL Y + kote」の着用時と非着用時で結果を比較した。その結果、3人の作業者それぞれについて、66%、64%、64%の疲労度減少が確認された。


疲労感VAS検査とは、VAS(Visual Analogue Scale)とよばれる線分上に被験者自身が疲労の実感値を割合として表記して行う検査
実験条件 被験者人数=3人。非装着と装着でそれぞれ規定作業後に記入。
規定作業 パレットに積まれた12kgの段ボール箱を30分間、1m離れた別のパレットに積み替える作業(運搬するスピードは作業者にゆだねた。)

ABOUT THE AUTHOR / 

山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

PR

連載・コラム