ロボティクスプラットフォームを提供するRapyuta Robotics株式会社は、UPSサプライチェーン ソリューション・ ジャパン 株式会社(以下、UPS)との物流倉庫向け協働型ピッキングアシストロボット(AMR)の導入に向けた覚書の締結をしたことを発表した。
協働型ピッキングアシストロボットとは、例えば巨大な物流倉庫内でスタッフを追尾して移動し、出荷するための商品をスタッフが保管棚からピックアップしてロボットのカゴに入れ、出荷分の商品をすべて収納すると自律移動で梱包コーナーに運ぶなどの機能がある。スタッフとロボットとが協働で出荷のための商品のピッキング作業を行う。
これまでの経緯と今後の展開
Rapyuta Roboticsが提供する協働型ピッキングロボット(以下、AMR)は、自社開発のロボティクス・プラットフォーム「rapyuta.io」により開発・制御された柔軟性と拡張性を備えた製品。2020年7月に物流倉庫向けに日本で初めて商用化して以降、複数の物流事業者が利用している。
物流倉庫向けロボティクスソリューションはその大半が大規模な導入工事や環境構築を必要とするが、AMRは既存の棚、人を活かした形で導入が可能。また、ロボティクスプラットフォーム「rapyuta.io」との連携により棚のレイアウト変更や扱う商材の変化に対する柔軟性と、需要の増大に対する拡張性が提供されることも物流事業者にメリットとなる。
UPSはかねてより、柔軟性を備えた効率的な倉庫オペレーションの仕組みを構築すべく検討を進めていたが、Rapyuta Roboticsが持つ技術力、ビジョン、及びAMRの機能がそれに適合する可能性が高く、2021年度のAMRの導入に向けた検討を本格的に開始する運びとなった。
1907年設立のUPSは世界最大の小口貨物輸送会社であり、輸送およびロジスティクスサービスをグローバルに展開している。220を超える国と地域、国内40か所に構築されたロジスティクスネットワークを活用し、国際輸送・保管・検査・加工・梱包・返品処理・緊急配送を含む国内配送といった、様々な物流形態が最適化されたサプライチェーンを提案する。
既に第一歩として、Rapyuta Roboticsが提供するシミュレーターに、導入候補先の出荷情報、商品情報、レイアウト図等を入力し、AMRを導入する際の動線や期待生産性を分析する作業を開始している。今後、両者は日本初の新しい事例を構築すべく、緊密に連携を進めていく。
AMRのシミュレーターについて
ベルトコンベヤー等の一定の動きを固定環境で行う従来のマテハン機器と比較して、AMRは走行ルートの自由度が高く、動きのパターンが多くなり生産性予測の難易度が高い傾向にある。Rapyuta Roboticsのシミュレーターは実際のAMRに搭載されているものと同じソフトウェアを活用し人の動きも含めて現場を再現することで、稼働するロボットの台数と協働するスタッフの人数に応じた期待生産性の試算や、想定されるオーダーに対して出荷期限までにピッキング作業を完了出来るかを詳細に検証することが可能。
また、特定の要素を変えてシナリオ分析を行うことで、レイアウト(棚の配置や通路幅等)や棚割りの変更を行うとどの程度の生産性が改善するかを検証したり、作業のボトルネックがどこに存在するのか、を調査することが可能。
UPS コントラクトロジスティクス プログラムマネージャー 久保氏からのコメント
Rapyuta Roboticsについて
Rapyuta Robotics株式会社はアインシュタインを始め数々の著名研究者を輩出しているチューリッヒ工科大学(ETH Zürich)からスピンオフした大学発ベンチャー。「ロボットを便利で身近に」をビジョンに掲げ、世界でも最先端の制御技術及び人工知能技術を活用した次世代クラウドロボティクス・プラットフォーム「rapyuta.io」の開発を行っている。
rapyuta.ioを活用することで、多種多様な複数ロボットの中央管理・中央制御が、直感的かつ容易にできる。また、rapyuta.ioにより、システム構成要素を一から作り上げる必要は無くなり、ユーザーが得意とする技術分野の開発に集中できる。日本に本社を置き、主に大手事業会社様にロボットを活用した自動化ソリューションの提供を行っている。
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。