ダイハツ工業が「AI活用」を開発・生産・事務の現場に積極導入 具体例を公開 全スタッフ職を対象にAI教育プログラムを開始

ダイハツ工業はAI(人工知能)を積極的に活用することで生産性や品質向上を図り、競争力強化を推進することを発表した。

同社はすでに、技術開発や生産、一般事務の現場など、幅広い領域で「AIツール」の活用を進めている。将来的には、誰もが当たり前にAIを活用することができるよう様々なAI教育プログラムを実施、全社的な普及を目指すという。
具体的には2020年12月より、全スタッフ職(開発や生産技術、営業、管理部門などに従事するスタッフ)を対象としたAI啓発研修を開始し、AIに関する基礎知識を習得することで、各職場での普及を目指している。さらに今後、より高度なAI活用を検討する部門に対し、「AI道場」などの専門研修を実施する。これらの取り組みを通じて、順次AIエキスパート人材を養成する。


生産現場でのAI活用

生産や開発の現場では既に先行してAI教育を受けている従業員がおり、様々な領域でAIツールの活用が始まっている。生産現場では現場従業員が中心となり、2021年1月よりAIツールを活用。京都工場では車両に取り付ける部品を物体検出し仕様検査を自動で行うシステムを、本社の池田工場ではプレス部品の精度を検知できるシステムを開発した。今後は検知精度の向上や他工場でのAIツールの活用を進めるとともに、工場の現場従業員がAIの知識を習得することで、身近な改善活動を積極的に行うことが可能となり、生産性や品質の向上を目指す。


技術開発分野でのAI活用

技術開発分野ではエンジンなどのパワートレーン開発現場にて、2020年からAIツールを導入し、従来は経験豊富な従業員のみが行うことができた官能検査や異音検査を機械で代替する取り組みを実施してきた。開発中のエンジンの計測試験中に発生するノッキング(異常燃焼)音をAIに学ばせ機械が異常を自動識別できるようにすることで、計測設備の稼働率を向上させ、開発のスピードアップにつなげる。

エンジン開発現場におけるノッキング判定イメージ

画像はノッキング発生時のエンジン音を可視化したデータで、これらをもとにAOツールが正常かノッキングかを判断する

さらにこのノッキング音認識の技術を活用し、本社(池田)工場の足回り検査工程における打音検査の判定でもAIツールの実装を進めている。


本社(池田)工場における車両の足回り部品打音検査の風景イメージ

打音を収集するマイク

検査員によるハンマリング

グラフ化した打音波形

AIによる判断結果の表示

なお、一般事務の現場ではコールセンターのお問い合わせ対応時の質疑応答システムに活用できるAIツールを開発、導入しており、今後はその他の一般事務でも活用を促進する。ダイハツは今後も“Light you up”の考え方のもと、AIの全社的な普及と活用を通じ、ユーザーに寄り添った「モノづくり」と「コトづくり」を推進するとしている。

関連サイト
ダイハツ工業

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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