あの「駅そばロボット」がパワーアップして帰ってきた。
駅そば好きとして、そしてロボット好きとして、これは行かないわけにはいかない。
JR中央線東小金井駅の「そばいちnonowa東小金井店」で行われた駅そばロボットの実証実験からちょうど1年。ロボットアームが2本となり、2021年3月10日(水)から、JR京葉線 海浜幕張駅改札外の「そばいちペリエ海浜幕張店」で、新しい「駅そばロボット」が稼働を始めた。
JR東日本スタートアップと「調理ロボットサービス」を開発するコネクテッドロボティクスがJRフーズと協力し開発した駅そばロボットは、大幅に進化した。
新しい「駅そばロボット」はここが進化した
前回との違いは大きくわけて3つ。
1つめは見た目の通り、ロボットアームが2本になったことだ。向かって左側が新しいアームで、今まで人間がやっていた生そばを「パレット」から「てぼ」(網)に入れる作業をこのロボットが行う。この作業をロボットアームに置き換えることで、人員を1人減らすことができる。右側のアームは今までの1本時代と同様、そばが入ったてぼを持って運び、茹でる、洗う、締める、の一連の工程を行う。
2つめは、券売機とロボットの連携。券売機で購入すると同時に厨房のロボットに指示がいき、ロボットアームが動きだす。今までは人間が、注文をモニターで確認し、てぼにそばを入れていた。
茹で上がる時間は今までと同様に100秒。ただ、前回は待っている間に目の前のディスプレイで数字が100からカウントダウン方式で表示されていたが、今回からは、それがなくなった。
3つめは、茹で麺機に温度を自動で調整してくれる「温度調整システム」を導入した。これを入れることで光熱費の削減、省エネになるという。
実際の動きを動画で見るとこんな感じ。右のアームの方がはるかに仕事が多いことがわかる。
■ 動画
1年前の動画と比べると一目瞭然だが、明らかにスピードが速く、スムーズな動きとなっている。1本アームの時は1時間あたりのそば生産量は40食だったが、2本体制では1時間あたり150食のそばを提供できるという。
人と協働する際は、アーム同士、および人に対してセンサーが反応し、ぶつかったりしないようセキュリティが保たれている。
人とロボット、おそばのクオリティは同じ
ロボットが作った「かけそば」。ただし、かけそばの場合、水で締めたあと再度温めなくてはならないので、そこは人間の手を借りる。つゆや具材も最終的に人間が作業することになる。味はもちろん人間が作ったものと変わらない。むしろロボットのほうが作業時間に正確なので、安定した味を供給することができる。
2026年までに30店舗の導入を目指す
デモを見て、かけそばの味を楽しんだ後、報道関係者向けの会見が行われた。
ロボットアーム2本を活用し、人と協働できる調理ロボットの実店舗導入は日本初だ。
千葉ステーションビルの弭間社長は「まずは千葉ステーションビルと連携し、海浜幕張駅の新たな取組として推進していく。ここ海浜幕張駅では、幕張メッセでのイベント開催時などに、かなりの来客数が見込まれる」と語った。
今後は、JRフーズが運営する駅そば店舗へ2026年頃までに30店の導入を目指していくという。ただしある程度、厨房が広めの場所、稼働率が高いところでないと設置が難しいため、まだ具体的な候補店は決まっていない。
コネクテッドロボティクスのCEOの沢登氏によれば、「今回の2本アームタイプは、リース形式で月額25万円から。もちろんメンテナンスなども全て込み」とのこと。
人手不足の解消と、非接触を推進するコロナ禍において、駅そばロボットは時代のニーズに合っている。ロボットアームが作る駅そばがスタンダードになる未来は意外と近いかもしれない。
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YASCORN(やすこーん)漫画家&文筆家。鉄道旅・お酒・温泉・とうもろこし・ロボット・プログレが好き。児童誌から鉄道誌まで幅広く活動している。著書に「おんな鉄道ひとり旅」全2巻(小学館)、「メシ鉄!!!」全3巻(集英社)、「のぞみ、出発進行!!」(小学館ジュニア文庫)、「GOGO♪たまごっち!」シリーズ 全15巻(小学館)など。(アマゾン著者ページ) 東洋経済オンライン・鉄道最前線で「漫画家ヤスコーン☆の鉄道漫遊記」連載中。その他「You Tube「おんな鉄道ひとり旅」チャンネル」「LINEスタンプ おんな鉄道ひとり旅」「オリジナルグッズショップ(ロボクングッズもあります)」など。最新情報はTwitterにて。仕事のご依頼メールは「info@yascorn.com」まで。