ロボット・宇宙開発ベンチャーの株式会社ダイモンは米国Astrobotic社とのペイロード契約により、2021年秋、民間企業としては世界で初めて世界最小最軽量の月面探査車「YAOKI」で月面に行く「Project YAOKI」をスタートすることを発表した。
同プロジェクトの推進にあたり、現在までに「株式会社日本ユニスト」「UNIT株式会社」「株式会社ピクシーズ」「株式会社UCHIDA」「国光施設工業株式会社」から総額1億円の協賛資金を提供されている。
わずか0.6kgの月面探査車「YAOKI」
月面探査車「YAOKI」は二輪方式を採用し、特許技術を駆使する事で超軽量小型化を可能にした。従来の小型探査車に対し、重量で10分の1(0.6 kg)、大きさで50分の1(15×15x10cm)を達成した。これにより1kgあたり1億円かかるといわれる月への輸送費を大幅に節減する。転んでも倒れても、走り続ける設計。100Gの衝撃に耐え、洞窟への投げ込み探査も可能。
「YAOKI」は各国各社が開発するキューブ型の月面探査車のパイオニアとして「YAOKI System」(2020年11月26日「重力天体着陸探査シンポジウム」(JAXA主催)で、英国・宇宙ベンチャーSpacebit社のChuck Lauer氏 (CBDO)発言)と呼ばれている。
【動画】
米国フロリダ州ケープカナベラル空軍基地で打上げ予定
アメリカ航空宇宙局(NASA)は人類初の有人月着陸「アポロ」計画の後継プロジェクトとして、2024年有人月面着陸、2028年までに月面基地の建設を開始するという「アルテミス」計画を2017年に発表した。同時に商用月運送サービス「CLPS」(Commercial Lunar Payload Services)を導入し、月輸送を民間企業に公募選定している。
Astrobotic社は月面着陸船「ペレグリン」(Peregrine)で月への輸送をする契約実施事業社としてNASAから選定された。ダイモン社はAstrobotic社と2019年10月にペイロード契約を締結することに成功。
現在は、Astrobotic社のペイロード技術書類認証を取得し、開発・試験・製作を継続中。今後のスケジュールは2021年6月にフライトモデル完成、その後、米国での試験などを経て、2021年秋に米国フロリダ州ケープカナベラル空軍基地での打上げを予定している。なお、同プロジェクトの推進にあたり、現在までに「株式会社日本ユニスト」「UNIT株式会社」 「株式会社ピクシーズ」「株式会社UCHIDA」「国光施設工業株式会社」から総額1億円の協賛資金が提供されている。
プロジェクト名 | Project YAOKI |
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打上げ日時 | 2021年秋 |
打上げ場所 | アメリカ合衆国フロリダ州ケープカナベラル空軍基地 |
ミッション | 月面「Lacus Mortis(古代地層)」の探査 |
月面活動日時 | 打上げから30日後、月面で6時間の活動を想定 |
月への運搬 | ULA社のロケット、Astrobotic社の着陸船、ダイモン社の探査車 |
株式会社ダイモンについて
株式会社ダイモンは「Principal & Will」、「Sustainable & Symbiosis」と「Challenge & Respect」を理念に、宇宙レベルの視点、技術と品質によって、地球のひとりひとりの価値を向上させるロボット・宇宙開発ベンチャー。
同社は「今回より始まる月への挑戦が、地上での工場などの遠隔メンテナンス利用、災害支援や原発廃炉などの産業利用、宇宙をテーマにした技術、哲学、科学などの教育プログラム開発等、YAOKI事業を深化・拡大していくとともに、皆様の幸せや事業に貢献できることを強く願っています。」とコメントしている。
協賛・提携企業からのコメント
株式会社 日本ユニスト 代表取締役 今村 亙忠 氏
宿不足による「熊野古道離れ」を食い止めるべく立ち上げたのが「SEN.」です。我々は数日かけて歩く熊野古道のルートに合わせて手配できる4つの宿を建設しています。宿泊施設の建設は、旅行者を受け入れ、地域の観光を活性化させるだけではありません。地域に事業の継続や雇用を生み出す効果も期待できます。私たちは、地域に根差したビジネスを創造することが、本来あるべき地方創生だと考えています。
YAOKIと一緒に月面探査に挑戦することで、多くの人に「SEN.」を知ってもらえるきっかけになることを期待しています。YAOKIの活動は日本にとって希望です。目標達成することを期待しています。
会社ホームページ
https://www.nunist.co.jp/
UNIT 株式会社 代表取締役 石原 幸一 氏
当サービスの目的は、ハードウェアの製造ではなく事業構築そのものにあります。法務や特許、知財、マーケティングの専門家と共にものづくりを行うことで事業化を推進します。
UNIT代表を務める私とDymon代表の中島さんは、奇跡的な出会いをしました。それは、忘れもしない東日本大震災が発生した2011年3月11日。私は、その日、大田区の展示会で新しいモノづくりネットワーク(発電会議)の紹介のため、登壇者としてその壇上にいました。その聴講者として参加した一人が中島さんでした。
その後、中島さんがダイモン社を設立し、津波観測ブイの開発をスタートに、風力発電や電線点検ロボットの技術開発など、継続して連携を進めてきました。中島さんが独自に、月面探査車を開発され、2019年に、NASAの月輸送と契約したことをきっかけに、サポートしてきました。月面探査ロボットYAOKIは、UNITの第1号支援プロジェクトと言えます。YAOKIが世界へ、そして宇宙へ羽ばたく事業として、共に発展していきたいと思っています。
【会社ホームページ】
https://www.toshin-ss.co.jp/start-up-d/
株式会社 ピクシーズ 代表取締役 北山 和樹 氏
そのような時代を先取りしてきた私たちは、YAOKIの月面への挑戦を応援します。これから、民間事業者が月面で社会インフラや基地建築をする時代が到来します。その初年度にあたる2021年に月探査を行うYAOKIに無限の可能性を感じています。
コロナ禍で閉塞している昨今、日本だけでなく地球全体のためにもYAOKIの技術が必要になるでしょう。新しい素材、永続的なエネルギーの創造、持続性の高い月面インフラ技術など、様々な発見と開発に貢献していくことを確信しています。YAOKIが月面事業のフロンテアとして、常に未来への挑戦し、各国の高い技術を持つ企業や宇宙ベンチャーとの業務提携を進めていくことを期待しています!
【会社ホームページ】
https://pyxis.ne.jp/
株式会社 UCHIDA 代表取締役社長 内田 敏一 氏
その挑戦を掲げるプロジェクトとして、月面探査ロボットYAOKIに多くの魅力を感じています。私たちは「ものづくり屋」として、楽しいことをやりたいと常に思っています。YAOKIは、そのワクワクする夢と、沢山の可能性を持っています。私たちは試行錯誤しながら「無理だ」と言われていたことを少しずつ前に進め実現してきました。これから、UCHIDAもYAOKIメンバーに仲間入りして、挑戦し、実現していくことを考えるとワクワクしています。
今後、沢山の良い仲間が集まり、挑戦していくことを期待しています!
【会社ホームページ】
http://uchida-k.co.jp/
国光施設工業 株式会社 代表取締役社長 坂西 章 氏
実は、弊社国光施設工業も97年前に、長野県生まれで創業者の曾祖父が、長野県産の【国光リンゴ】から社名を命名、当時はベンチャー企業でした。以来、七転び八起きを繰り返しながら4代目の私に至っております。現在、地球規模でコロナウイルスの脅威に晒されている状況ではありますが、是非、月面探査を成功させて、100年後には“あの時代は世界中がコロナ禍であったが、ダイモンが月面探査を成功させた時代でもあった“と語り継がれる事を願っております。
その頃には、弊社も月面での電気工事を請け負う時代になっておりますでしょうか。ダイモンの活躍を期待しております!!
【会社ホームページ】
https://kokko-shisetsu.co.jp/
月面探査車「YAOKI」
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。