自動運転AI開発向けにアノテーション済みの「機械学習用教師データ」提供サービスをパーソルR&Dが開始 自動運転車開発の本格化にらむ

総合人材サービス、パーソルグループにおいて技術系エンジニアリング事業を手掛けるパーソルR&D株式会社は、自動運転AI開発に欠かせないアノテーション(画像や音声などのデータに対し情報を注釈として付加すること)を施した機械学習用教師データ提供までの一括したサービスを2021年4月から開始することを発表した。


乗用車に限らず大型トラックにも対応

同サービスでは自動車の開発メーカーやサプライヤーなどに、自動運転AIの機械学習用データを一括で提供する。要望に合わせた走行ルート設定および大型トラックを含む各種車両の実走行を実施し、走行時の道路情報、車両・画像データを計測・取得するとともに、画像データにアノテーションを施した「教師データ」を作成する。サービス内容は要望に応じカスタマイズが可能。

元画像データ

バウンディングボックス(矩形領域で対象物を明示するアノテーション手法)

セマンティック・セグメンテーション(各画素がどのカテゴリーに属するかを明示するアノテーション手法)


サービスの特徴

1.画像データに加え、車両走行データも同時に取得
公道の歩道橋やトンネル、橋などには「高さ制限」や「重量制限」などがあり、トラック特有のデータ取得も必要。画像データ取得に合わせ、走行環境や車両データ取得などの要望にも応える。乗用車に限らず大型トラックの走行も、熟練したドライバーが担当する。

2.既存の画像データへのアノテーション実施も可能
既に所有する画像データにアノテーションを行うことも可能。

3.アノテーション自動化による時間短縮
同サービスではMathWorks社のツールを活用して、アノテーションの自動化を実現しており、手作業での実施よりも作成時間を約60%削減できる。また、MathWorks社のグラウンド トゥルース ラベラーを用いることで、アノテーション自動化結果の、より詳細な修正が可能。

4.自動運転以外への応用
アノテーション手法としては、バウンディングボックスとセマンティック・セグメンテーションが代表的だが、自動車以外の自動走行も近年増加しており、超小型モビリティや電動カート、家電領域などの開発で幅広く利用されている「YOLOv3」を活用したアノテーションへも対応する(YOLOv3は入力された画像から物体の位置と種類を検出するAIプログラム)。


サービス提供の背景

自動車の先進運転支援システムはさらに高度化が進み、2020年11月には世界で初めて自動運転レベル3の型式指定が行われるなど、いよいよ自動運転を目指す開発が本格化している。レベル3の自動運転車では「特定条件下における自動運転」が可能で、高速道路上などでドライバーが行っている「認知」「判断」「操作」を、自動運転AIが「認知」「判断」し、正確な車両「操作」を行える。

自動運転AIには車両周囲を計測・判別するセンサーが収集した情報を基に、認知・判断を行うための機械学習結果が必要となる。この自動運転AI開発に欠かない機械学習用教師データの準備には、膨大な時間と手間を要し、開発の大きな課題となっている。そこでパーソルR&Dは、これまでの「ADAS試験受託」と「モデルベース開発(MBD)」のノウハウと強みを生かし、乗用車のみならず大型トラックにも対応した公道での車両走行から各種データ取得、自動運転AIの機械学習用教師データ提供までの一括サービスを開始する。

関連サイト
パーソルR&D

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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