「聴く」意識を高め、耳の感覚を研ぎ澄ます「KIKIMIMI」(キキミミ)とは? コロナ禍で「話し声が聞こえづらくなった」人などにも

「KIKIMIMI」(キキミミ)は「聴く」意識を高め、耳の感覚を研ぎ澄ますことを目的としたアクセサリー。
2020年1月12日にテレビ東京の番組『ワールドビジネスサテライト』の「トレンドたまご」コーナーで「聞こえ方が変わる耳」「耳に装着すると正面の人の声が聞こえやすくなる」と紹介されたことで反響を呼んだ。当初の販売分は即完売となり、今回、ユーザーからの要望として多かった「日常使いに合わせやすい」色として「クリア」(半透明)と「グレー」の2色が追加で生産された。


Webやアプリなどの制作を行うハイジ・インターフェイス株式会社とUNNeutral(アンニュートラル)は、聴覚を拡張するアクセサリー「KIKIMIMI」(キキミミ)の新色となる「クリア(半透明)」「グレー」の二色を含むセットを販売開始したことを発表した。同セットの価格は2,980円(税抜)。公式サイトのほかヤマダデンキが運営するヤマダモールなどで販売する。


「話し声が聞こえづらくなった」コロナ禍において注目されている商品

「KIKIMIMI」(キキミミ)は「聴く」意識を高め、耳の感覚を研ぎ澄ますことを目的としたアクセサリー。ポリプロピレン(PP)樹脂でできたシートを折り紙のように折って留めることで組み立てるため、軽量で持ち運びやすく、手軽に携帯しやすい形状となっている。着用すると「両手で耳を覆ったような形」となることから、特に顔の正面からの音にフォーカスされ、何も付けていないときよりも話し声や音楽などが聞き取りやすくなることが特徴。(無響室での実験において、特定の周波数(500〜2,000Hz)にて無着用時に比べて着用時の方が集音効果が高いとの測定結果が得られたという)


組み立てたときのデザイン形状には平行面がないため、フラッターエコーと呼ばる音響障害の発生を抑えられる。これにより、いわゆる「カクテルパーティ効果」に近い聞こえをもたらすとされている。(カクテルパーティ効果とは、、カクテルパーティーのように大勢の人がそれぞれに雑談している環境において、自分が興味のある人の会話や自分の名前などは自然と聞き取ることができる。このように人は「音声情報を無意識に選択して聞き取る」処理をしていると考えられている。)

コロナ禍において大声で話すことが自粛され、マスクの着用やアクリル版で仕切られるなど「話し声が聞こえづらくなった」日常において、目の前の人の声をよく聞くための補聴機能を持つ同商品が注目されている。


自宅でTVの音声をよく聞きたい時や、オンライン会議で集中して会話に向き合いたい時に着用するアクセサリーとしても利用されており、家庭内における高齢者の聞こえの補聴といった、様々な場面で「聞き耳」を立てたい瞬間での需要が高まっている。自宅以外でも映画館や劇場で臨場感とともに音声を楽しみたいとき、屋外やキャンプ場で自然の音を楽しみたいシーンでの利用も報告されている。また、騒がしいコンビニ店内やカウンター越しの対応など、対面での接客に悩む従業員に向けた商用での活用の検討も始まっている。




同商品は「モノトーンセット」(クリア×2セット、グレー×1セットの3セット、合計6枚入り)が2,980円(税抜)となっている。また、既存の「カラー3色セット」(スカイブルー、レモンイエロー、クリアピンク、合計6枚入り)も同価格で再販売されており、株式会社ヤマダデンキが運営する「ヤマダモール」などのECサイトでも販売を開始している。


「KIKIMIMI」誕生の経緯とオープン型プロジェクト

「KIKIMIMI」はインターフェイスとしての耳の機能を考える「PlayEar」(プレイイヤー)プロジェクトの一つとして、ハイジ・インターフェイス社内外のメンバーによるラボラトリー型R&Dの形で開発がスタート。3Dプリンターでのプロトタイピングを経て、金型開発にあたっては次世代型知育パズル「ovov」(オブオブ)などのオリジナルプロダクトを手掛ける株式会社室島精工と協力し、繰り返し折り曲げても耐久性を保てる本体素材や留め具の強度を検証し、熟練の技術で最適な形状に落とし込んだ。販売に向けた商品名やロゴ開発を含むブランディングは、企業のコンセプトメイキングやキャラクターデザインなどを手がけるSTUDIO HOLIDAYが担当した。

■PlayEar – Image Movie @ GAMPEKI MUSIC FES 2019 / 岩壁音楽祭

近年、耳を取り巻くアイテムとしてのイヤフォンの進化は著しく、ノイズキャンセリング機能や耳を塞がないオープンイヤー型イヤフォンなどがトレンドとなっているが、デジタル技術を使わずにカジュアルに補聴を行うアイテムはあまり存在しないことから、アコースティックタイプの補聴アイテムとしての市場創出を目指してリリースされた。将来的には同プロジェクトをベースに様々なセンサーやBluetooth通信などによるIoT化も検討しており、既にジャイロセンサーや加速度センサーを搭載し、周囲の音や着用者の動きに合わせて様々な色に発光する「LEDバージョン」の試作品開発も行っている。

今後もオープン型のコラボレーションとして、音響メーカーや素材メーカー、各種センサーを扱う会社などと、この取り組みに賛同するパートナーを広く求めながらプロトタイプ開発や実証実験を行っていく予定。

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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