ストラドビジョン 車線維持支援の「AR」技術や自動パーキング向け「サラウンドビューモニタリング」技術を独自動車メーカーに提供

韓国に本社を置くストラドビジョン(StradVision, Inc.）は、ナビゲーションおよび車線維持支援システム向けの「AR」（拡張現実）技術や、自動駐車支援機能をサポートするサラウンド・ビュー・モニタリング・アルゴリズムをOEM提供することで、ドイツの高級自動車メーカー「ティア1」（一次サプライヤーの意）と提携したことを発表した。具体的な提携先の名前は明らかにしていない。

ドイツの高級車メーカーが採用したAR（拡張現実）技術

ドイツの高級車メーカーに提供する同社の「AR」（拡張現実）技術は同メーカーが2022年から世界で量産予定の40車種以上に搭載されているという。このAR機能は、物体認識AIソフトウェア『SVNet』の技術を応用しており、車載情報通信システム（In-Vehicle Infotainment system，IVIシステム） に対するソリューションだとしている。ナビゲーションが表示される自動車のセンタースクリーン内に、ナビゲーションや車線維持補助システムのための各種情報を投影するなど、視覚的情報の品質向上に寄与するもの。

AR技術に含まれる機能

・オクルージョン：信号機や柱などのオブジェクトの位置を把握し補正
・ポジショニング：AR要素のポジショニング改善
・ピッチ補正：あらゆる道路状況でのAR要素の定着

ストラドビジョンのCEO キム・ジュナン氏は次のようにコメントしている。

需要の高まるサラウンドビュー・モニタリングと自動駐車支援技術

ストラドビジョンは2020年10月の『NVIDIA GTC 2020』、11月の『AutoSens 2020』で『SVM（サラウンドビューモニタリング）』を発表した。この技術は、自動車の側面に沿って取り付けられた複数のカメラで収集した広角画像を組み合わせて、360度全方向の物体や状況を認識するもの。この技術は自動駐車機能に活用されることが期待されている。同社は今後数年にわたって高い需要があると予測している。

自動駐車支援APAと自動バレーパーキングAVP

ドライバーの介在の有無にかかわらず駐車を支援する自動駐車支援（Advanced Parking Assist.APA）や、車両が自ら駐車スペースまで運転し、呼び出されたら自ら戻ってくる完全なバレーパーキング（Automated Valet Parking.AVP）などの高度な機能を実現するための物体認識技術を提供する。

■Surround View Monitoring

物体認識AIソフトウェア『SVNet』とは

SVNetは、カメラ映像からディープラーニングによって検知する自動運転車両向けの物体認識AIソフトウェア。特許技術によってネットワークパラメータサイズや必要とする演算量、メモリ使用量を少なくしながら、高い物体検出・認識精度を実現。自動緊急ブレーキ、アダプティブ・クルーズ・コントロール、車線逸脱警報、死角検知などのADAS（Advanced Driver-Assistance Systems,先進運転支援システム）および自動運転機能を提供可能とする。

製品特性に応じたチップ（SoC）への組み込みや、高価なセンサーをカメラに置き換えた利用が可能で、競合他社の製品と比較して、数分の一のコストでADASや量産自動車への提供を可能にする。

現在、ドイツ・中国市場をはじめ9社のパートナーと提携し、51種類のADASおよび自動運転向け車両に採用され、世界中で1300万台の量産車に導入される予定。また、欧州でのレベル4自律走行バスプロジェクトをはじめ、欧州と中国で複数の生産プロジェクトに取り組んでおり、すでに中国の道路でADAS車両を展開しているという。

日本市場においては、2020年8月には大手システムオンチップ（SoC）ソリューション企業である株式会社ソシオネクストと、日本市場へのSVNetの供給を拡大するための協業契約を締結している。

なお、ストラドビジョンは、ADASおよび自律走行技術における競争力が評価され、2020年にルネサスのR-Carコンソーシアムのプロアクティブ・パートナー・プログラムおよび、NVIDIA Inceptionプログラムのプレミア・パートナーに選出された。

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