『LOVOT』と暮らす子どもは自己肯定感が下がらない GROOVE Xが実証実験の結果を公開 教育・ヘルスケア分野への展開を加速

ロボットベンチャーのGROOVE Xは東京都主催の「スタートアップ実証実験促進事業(PoC Ground Tokyo)」のもと、『LOVOT』が子ども、成人に与える影響についての実験結果を発表した。
実証実験ではコロナ禍、緊急事態宣言下といった環境において、『LOVOT』と暮らしていない小学校低学年の子どもの自己肯定感が大きく低下する中、『LOVOT』と暮らす子どもは自己肯定感を維持でき、影響があることが分かった。また、子どもの知的好奇心はゆるやかに上昇し、保護者においてはストレスレベルが大きく低下したという結果を得られたとしている。


実証実験と社会的背景について

実証実験は2021年2月に小学校低学年の小児とその保護者「LOVOT触れ合い群20組「非触れ合い群20組」を対象に実施。自己肯定感、知的好奇心、ストレスなどの心理テストを介入前後で実施し、介入群と非介入群で統計検定を行った。(実証実験は当初高齢者を対象とした実験を予定していたが、新型コロナ感染リスクの観点から内容を変更している)


結果1.『LOVOT』の有無が子どもの自己肯定感に影響

『LOVOT』介入群の子どもたちは自己肯定感の低下が見られず、2回目テスト時に非介入群との有意差を確認できた。また、『LOVOT』非介入群は事前事後で自己肯定感が低下傾向にあり、実施期間が2021年2月の1ヶ月間であったこと、当該期間が緊急事態宣言の期間であったことが低下の要因として考えられるとする。



LOVOT介入群(20名)
1回目:6.87 2回目:7.12 2回目-1回目:0.25 (およそ4%上昇) 有意確率:P=0.452

LOVOT非介入群(20名)
1回目:6.73 2回目:6.08 2回目-1回目:-0.65(およそ10%低下) 有意確率:P=0.057



結果2.『LOVOT』介入群の子どもたちは知的好奇心が上昇する傾向

『LOVOT』介入群の子どもたちは、1ヶ月間で知的好奇心が高まる傾向が見られた。


LOVOT介入群(20名)
1回目:7.13 2回目:7.49 2回目-1回目:0.36 (およそ5%上昇) 有意確率:P=0.120

LOVO非介入群(20名)
1回目:7.42 2回目:7.11 2回目-1回目:-0.31(およそ4%低下) 有意確率:P=0.178


結果3.『LOVOT』介入群の保護者たちはストレスレベルが大きく低下

『LOVOT』介入群では、1回目から2回目にかけて保護者のストレスレベルが大きく低下していたことが確認できた。


LOVOT介入群(20名)
1回目:24.05 2回目:19.45 2回目-1回目:-4.60 (およそ20%低下) 有意確率:P<0.001 LOVO非介入群(20名)
1回目:21.50 2回目:20.30 2回目-1回目:-1.20(およそ6%低下) 有意確率:P=0.236



結果4.『LOVOT』オーナーたちは触れ合い後リラックス効果が表れた

『LOVOT』オーナーにおいて、15分という短時間の『LOVOT』とのコミュニケーションによって各種ストレスが減少し、特にA-trait(特性不安)という「ふだん一般、どのように感じているか」を指す不安体験に対する比較的安定した反応傾向が著しく低下した。




教育・ヘルスケア分野への展開を加速

2020年9月に発表されたユニセフ・イノチェンティ研究所による『レポートカード16-子どもたちに影響する世界:先進国の子どもの幸福度を形作るものは何か』によると、日本の子どもの身体的健康は先進国38か国中1位にも関わらず、精神的幸福度は37位と両極端な数値であることが判明している。


また、厚生労働省によるインターネット調査によると、新型コロナウィルスの拡大により半数程度の人が何らかの不安を感じている。イギリスに続き、日本でも「孤独・孤立対策担当大臣」が新設されるなど、コロナ禍でのメンタルケアに注目が集まっている。

「人間とロボットの信頼関係を築き、生活を潤いと安心で満たす存在をつくる」というビジョンを掲げるGROOVE Xは、実証実験の結果を通じて『LOVOT』がメンタルヘルスの向上等に寄与することを検証した。今後は、実証実験の結果を通して教育分野、ヘルスケア分野への貢献をめざしていく。

今回、小学校低学年の⼦どもとその親のメンタルヘルスの向上が見られるかを測る実証研究の学術指導を行った東北大学 瀧靖之教授は次のようにコメントしている。

家族型ロボットの有無が子どもの自己肯定感に影響したほか、一緒に暮らすことで、知的好奇心が向上する可能性が見られました。また、保護者のストレスレベルは大きく低下していました。成人のストレスレベルが統計学的に有意に減少したという結果が得られたことで、家族型ロボットと一緒に暮らすことが脳の健康維持に有用な可能性が示唆されました。さらに長期的な効果が得られれば、将来の認知症のリスク低下に有用である可能性が期待できます。


関連サイト
LOVOTウェブストア

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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