置き配バッグ『オキッパ』のYperが自動配送ロボットの実証実験を発表 9月下旬に広島県内で走行試験
再配達を無くす置き配バッグ『OKIPPA』(オキッパ)を提供するYper株式会社(読み:イーパー)は、新事業である自動配送ロボット事業の第一弾プロジェクトとして広島県のAI/IoT実証プラットフォームの事業構想「ひろしまサンドボックス」のアクセラレーションプログラム「D-EGGS PROJECT」にて「中山間地域での新たなラストマイルインフラの構築」を提案。今回、2次審査を通過し、実証実験ステージへと進んだことを発表した。
2021年9月下旬を目処に広島県内で走行試験を実施
実証実験では自動配送ロボットを既存システムと融合させ、ロボットによる宅配物と生鮮食品の混載配送をOKIPPA事業で培った経験をフル活用して試験及び検証を実施する。また、ロボットの性能検証にとどまらず、中山間地域での自動配送ロボット運用のための収益モデルの検証も実施する。広島県内での走行試験は、2021年9月下旬をめどに広島県内にて行う予定。Yperは「中山間地域での新たなラストマイルインフラの構築」にて、自動配送ロボットによる無人の物流インフラを構築予定。
中山間地域における課題
中山間地域では過疎化の進行に伴って物流を担う労働人口が減少、また住宅が点在することで物流効率も悪化し、近い将来、現状の物流インフラの維持が困難になることが懸念されている。同時に高齢者の生活における移動の不便さや若年層の都市部への流出などで、過疎化・高齢化にも拍車がかかると予測されている(出典:令和元年度 森林・林業白書)。Yperの自動配送ロボット事業は自動化された新しい物流網を中山間地域に整備し、宅配物だけでなく、将来的には生鮮食品など様々なモノの往来を低コストで人手をかけず、非対面で行うことも目指している。
参考情報:置き配バッグ「OKIPPA」とは
OKIPPAは煩雑な再配達受け取りを不要にするコンパクトな吊り下げ式簡易宅配ボックス。置き配時の盗難や個人情報漏洩対策として、2種の鍵(ドアノブ専用ロックと、シリンダー式南京錠の内鍵)構造を採用。連携可能なアプリでは盗難補償保険に加入できるだけでなく(東京海上日動と共同開発した専用の盗難補償「置き配保険」)、OKIPPA荷物通知を受け取ることができ、いつでもどこにいても荷物の受け取りと到着確認が可能になる。
無料の置き配保険やバッグ・付属品の無償交換が含まれるOKIPPAのサブスクリプション「月額継続コース」(297円(税込)/月、買い切りコースは4,980円(税込))を提供、再生ポリエステル素材「RENU」で製造したサステナブルなOKIPPAも提供している。
広島県が中心となって運営を行う「ひろしまサンドボックス」はAI/IoT、ビックデータ等の最新技術を活用し、これまでにない新しいソリューションを創り出し、技術やノウハウを持つ広島県内外の企業や人材を呼び込み、様々な産業・地域課題の解決をテーマとして共創できるオープンな実証実験の場(=プラットフォーム)を構築する事業構想。
その「ひろしまサンドボックス」のネクストステップとして、2020年11月26日からスタートしたのが「D-EGGS PROJECT」。「D-EGGS PROJECT」はコロナ禍のニューノーマル時代を再定義するアイディア(製品やアプリ・サービスなど)を全国から広く募集。募集したアイデアから最大30件を採択し,県内外のプレーヤーの共創によるプロトタイプ開発から県内フィールドでの実証実験を1件当たり最大1,300万円の支援に加え,県外企業向けには最大1,000万円の滞在経費も支援するアクセラセーション・プラグラム。
全国から応募された391件のアイデアの中から,1次審査を通過した100件について,県内外のユーザーからのパブリック評価(動画の「いいね」数(総投票数8,046))も加味し,最終審査を実施し,最終採択30件が選定された。採択アイディアは今後、県内フィールドでの実証実験を経て、最終的な成果発表会を行う。
2017年に設立した「Yper」の取り組み
Yperは2017年8月に設立、世界中の各分野で「社会インフラ」を創ることをミッションに、2018年3月に、社会課題である再配達削減を実現する簡易宅配ボックス「OKIPPA」サービスを開始。以降3年間にわたり、国土交通省、経済産業省、環境省の協力、また主要配送会社との連携や大手EC事業者からのパートナーシップを得ながら、再配達率削減を目指してOKIPPAの利用普及に取り組んできた。さらに、Yperは2020年夏以降、再配達削減だけでなく、OKIPPAサービス拡充、環境負荷低減、および衣料破棄問題の解決への取り組みも加速している。
Yperはラストマイル配送の自動化を可能にする自動配送ロボットによる屋内外の物流インフラの効率化を実施していく。また、OKIPPAによる再配達削減とはまた別のアプローチで、物流ラストマイルにおける労働力・物流効率・労働環境・生産性などの社会課題の解決に取り組んでいくとしている。
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。