水中のデータを取得して”釣りの秘密”を解き明すIoTルアー「smartLure Model Zero」 4/26からKickstarterで予約販売

株式会社スマートルアーは魚がルアーを認識し食いつくまでのルアーの動きや水中環境をデータ化し、アプリを通じて釣り人に提供するIoTルアー「smartLure Model Zero」を開発したことを発表した。smartLure Model Zeroの予約販売は日本時間の4月26日正午、クラウドファンディングサイトKickstarter上で、日本・米国向けにスタートする。バッカー(予約購入者)向け出荷は、2022年2月から開始する予定。


着水から離水するまでの間データを取得

smartLure Model Zeroは通常のルアーと同じように泳がせるだけで、着水の瞬間から離水するまでの間、魚の生息環境である水中の温度や明るさ、ルアーの動き、水深トレースを高精細にデータ化するセンサーモジュールを搭載している。これらのデータは、ユーザーが要求したタイミングでアプリに転送され、アプリ上で位置情報や日時情報のほか、気象条件、月齢や潮汐など魚の行動、ひいては釣果に影響する情報と統合される。


魚が釣れた時のデータをグラフ化したもの(企業秘密保持のため、画像加工してある)

スマートルアー社は魚がルアーに食いつくまでの過程のデータを世界中の釣り人から収集してビッグデータ化し、環境条件のほか、ルアーのタイプやカラー、動きと釣果との関連性、いわば釣りの秘密を解き明かすことを目指している。


開発中のアプリのデザインラフ

将来、スマートルアー社のIoTルアーが普及すれば、これまで身近にありながら見過ごされてきた水辺環境の変化や、魚の生息数の把握につながるデータが得ることができる。これらのデータは自然状態での魚の行動を知る強力な手がかりになる可能性があり、魚類研究者からはすでに強い関心が寄せられている。釣りは自然環境に依存した営み。スマートルアー社はIoTルアーを通じて得られた知見を水圏の環境保全や、魚の生息数の管理などにつなげていきたいと考えている。


26日正午からKickstarterで予約販売を開始

smartLure Model Zeroの予約販売は日本時間の4月26日正午、クラウドファンディングサイトKickstarter上で、日本・米国向けにスタートする。


スマートルアー社は2017年の創設以来、IoTルアーの開発を進めてきた。2021年1月、商品試作(EVT=Engineer Verification Test)レベルのセンサーモジュール30機が完成。


3月からのフィールドテストでは実際に魚を釣りあげ、魚がルアーに食いつくまでの過程における高精細なデータを安定して取得できることや、電源ボタンを一度押すだけで1日中センシングを続け、釣り人が要求した時にアプリをワンタップするだけで、データを転送、その場で視覚化して表示できることなどを確認した。フィールドテストで商品試作機の性能を確認する一方、ここまでの開発で量産コストも把握できたため、スマートルアー社ではセンサーモジュール量産の目処がついたと判断し、今回のクラウドファンディングを行う。


スマートルアー社はこれまでの釣り人向けインタビューで地図アプリや表計算ソフトなどの既存のITツールを使って自分の釣りの記録を取りためて分析するなど、データを釣りに応用する動きが発生していることがわかっている。また、米国では、釣り人の行動をロッドなどに装着したデバイスで記録するサービスを展開するスタートアップが生まれている。これらのトレンドに敏感な釣り人が、今回のクラウドファンディングの対象。日米同時に実施することで、世界最大の釣り市場である米国で釣果データを確保し、釣果情報をいち早く、大量に集めて、プラットフォーマーとしての成功につなげる狙い。


今後、量産に向けたセンサーモジュールの再設計や耐久性の試験、認証の取得やアプリ/サーバーの開発と並行して、ユーザーテストを進めていく。センサーモジュールの量産には数千万円の投資を伴うODM(Original Design Manufacturing)契約が必須なため、スマートルアー社ではクラウドファンディングとは別に投資家を募り、資金調達を行う予定。

関連サイト
smartLure Model Zero


スマートルアー社のストーリーとミッション

スマートルアー社は代表の岡村氏が冬の札幌で「4か月間、1匹も魚が釣れない」という悲しい釣り体験をしたことをきっかけに2017年3月に設立されたスタートアップ。魚はどのように世界を見ているのだろう、釣りを科学的に捉えたらどのようなことがわかるのだろう、という岡村の疑問が、スタートアップの出発点。

4か月釣れなかったころのファウンダー岡村氏(冬の札幌で)

釣りは先進諸国だけで7兆円の市場規模があり、1億人が楽しんでいるレジャー。「水の中のことはわからない」という石器時代以来、世界の釣り人が共通して直面する課題をテクノロジーで解決することを目指している。スマートルアー社は2021年には「フィッシング支援システム」の特許を取得。経済産業省のJ-Startup Hokkaidoに選定された。

株式会社スマートルアーのロゴ

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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