高速道路のひび割れをAIが自動で検出 NEXCO西日本がDX化を推進する構造物点検AIの「ひび割れ」的中率は95%

NEXCO西日本は、構造物点検のDX化(Digital Transformation:進化したデジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革すること)を強力に進めており、すでに点検技術者による近接目視点検は、点検支援技術(同社開発の高解像度カメラを用いた画像撮影システム)を導入し、効率化を図っている。

同社が管理する高速道路の約5割が開通から30年を超え、また、大型車交通量の増加、積雪寒冷地や海岸部の通過延長の増加など、厳しい環境条件下で橋梁などの劣化が顕在化している。
このことより、同社は「インフラ長寿命化基本計画等にもとづく法定点検の確実な実施」「点検対象が増加する中、現有の人員で従来通りの点検を実施することに限界」との課題を踏まえ、点検支援技術を活用した点検の更なる効率化を図るため、高解像度カメラで撮影した画像からひび割れ等の変状をAI技術により自動検出する技術開発を行っていたが、更なるDX化として、NEXCO西日本とNEXCO西日本イノベーションズは、撮影画像から各種変状(ひび割れ・鉄筋露出・はく落跡・エフロレッセンス)をAI技術により自動検出する技術の開発を推進。この度、ひび割れを自動検出できる技術を実用化すると発表した。

構造物点検にAIを導入




ひび割れ等自動検出技術の開発について

NEXCO西日本グループ自社開発のひび割れ等を自動で検出するAIは、以下の手順により構築した。

1. NEXCO西日本が管理している高速道路構造物から得られるひび割れ等の画像を大量に収集(※画像の収集枚数:ひび割れ1万枚、その他の変状3万枚)
2. NEXCO西日本グループの点検スペシャリストが、画像内の変状箇所を特定
3. 変状箇所の画像特徴※をAIが学習(※ひび割れは黒い、コンクリートは白い → AIが自動的に数万~数十万の特徴を設定)
4. 画像内のひび割れ等をAIが自動検出

【ひび割れ等の画像】



■自動検出の例

【Auto CIMA撮影画像】※ひび割れ・鉄筋露出・はく落跡・エフロレッセンス:高速道路構造物の主な変状 ※ひび割れの幅の表示が可能 ※エフロレッセンス:雨水がコンクリート内に浸透し、コンクリート内の石灰分が打継目やひび割れなどから滲みだし、白く盛り上がったように固まる現象



開発状況

■ ひび割れの自動検出:今回完成
・構造物に生じているひび割れを完全自動検出
・検出率※95%、的中率※95%

■ その他の変状の自動検出:精度向上に向け改良中
・現状の精度 検出率93%、的中率57%
・的中率の向上を図るべく、開発を継続
(※その他=鉄筋露出・はく落跡・エフロレッセンスなど)

※検出率:実際のひび割れのうち、本技術で検出できたひび割れの割合
※的中率:本技術で検出したひび割れのうち、実際のひび割れの割合




今後の展開

今後は、NEXCO西日本の橋梁点検へ本格導入し、点検業務の効率化を図るとのことだ。また、鉄筋露出、はく落跡、エフロレッセンスの自動検出の的中率の精度向上や、ひび割れ等の自動検出結果から橋梁の健全性を自動で診断するプログラムの開発等、機能を拡充していくとも述べている。

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ロボスタ編集部

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