株式会社資生堂はアクセンチュア株式会社との合弁会社「資生堂インタラクティブビューティー株式会社」を2021年7月に設立することを発表、報道関係者向けの記者会見をオンラインで開催した。資本金は1億円。社員数は約250名、資生堂とアクセンチュアの社員が中心となる予定だが、その割合やどのような人材で構成するかなどは明らかにしていない。また、売上げ目標等も公開を控えた。
資生堂インタラクティブビューティーでは資生堂およびそのグループ会社に、デジタルマーケティング業務とデジタル・IT関連業務を提供する。
資生堂はなぜアクセンチュアと組むのか。
そこにはデジタルトランスフォーメーション(DX)へと変革する時代の流れに対応していく強い意志表示の表れがあった。(冒頭の写真:左は資生堂 CEO 魚谷雅彦氏、右はアクセンチュア 最高経営責任者 ジュリー・スウィート氏(オンラインで参加))
DXでデジタルマーケティング戦略を強化
アクセンチュア/資生堂 共同記者会見で資生堂CEOの魚谷氏はアクセンチュアとの連携がDXを強くスピーディに推進するためであり、具体的には3つのポイントがあると解説した。
DXが不可欠な3つのポイントとは
DXが不可欠な3つのポイントとは、顧客の「パーソナライズ」、データを活用した「マーケティング」、生産性の高い「新しい働き方」だ。
要約すると、テレビ広告のような巨大な媒体で広くサービスを広告・拡散しれば良いという時代から、ネットやSNSを使って個に対して商品を告知したり、個別にパーソナライズした商品を顧客に届けていく時代に変わっていることを強調した。それには肌や体内データについて個人別の情報管理が重要で、その点でアクセンチュアのプラットフォームを含め、ICTを活用したデータ収集と活用、DX技術に期待していることがうかがえた。
魚谷氏は「もともと資生堂は、お客様ひとりひとりに合わせて健康美や化粧品等をカウンセリングしてきた会社。それがブランドとなっている」と語り、これからはより個人のデータの蓄積と解析を具体的に見える化して提供していく狙いを滲ませた。既にソリューション開発については着手しており、アクセンチュアとの連携でそのソリューション開発を加速したい考えだ。
資生堂のステークホルダーは顧客であり従業員。顧客に最適な提案をするとともに、スタッフの生産性の向上、働き方改革に繋がる、とした。
デジタルを活用した事業モデルへの転換・組織構築
資生堂は中長期経営戦略「WIN 2023 and Beyond」においてスキンビューティー領域をコア事業とする抜本的な経営改革を実行している。その一環として「デジタルを活用した事業モデルへの転換・組織構築」を掲げ、2021年2月にグローバルでのデジタル領域で多くの支援実績を持つアクセンチュア社と戦略的パートナーシップ締結を合意した。今回の新会社「資生堂インタラクティブビューティー」では、変化するユーザーと市場環境に迅速に対応し、DXを加速させ、日本の事業モデルを革新していくことを目的としている。
資生堂インタラクティブビューティーではデジタルを中心とした事業モデル改革、グローバル標準のITインフラとオペレーションの構築、さらにデジタル・IT領域での人材の強化に取り組む。アクセンチュア社からの人材、知見を取り入れ、ビューティー領域に特化したデジタル・ITの戦略機能会社ならではのスピードとイノベーションにより、資生堂のIT機能の拡充だけでなく、さらなるDXの加速によって、新しいデジタルマーケティング戦略を強化していく。
DXによるデジタルマーケティング戦略例
例えば、資生堂だけでは成し得なかった新しいビューティー体験を実現する。ユーザーがオンラインや店頭で行った肌診断やバーチャルメイクアップ履歴をデータベースに蓄積し、その履歴データを購買データや研究開発のデータ等と合わせて分析することで、ユーザーに最適なカウンセリングや商品、レッスンのメニューの提案を可能とする。
その他にも、美容に関する最新のテクノロジーを活用し、ユーザー1人ひとりに合わせてパーソナライズされたサービスを生涯にわたりデジタル、リアル問わずシームレスにかつ様々なコンタクトポイントで提供する。
「クラウドファースト」施策、アクセンチュアのノウハウで社員を育成
また、既存システムのクラウド移行を始めとする「クラウドファースト」の施策を実施する。IT機能の拡充と柔軟なシステム基盤を構築し、資生堂のIT投資およびメンテナンスコストの効率を高めるとともに、事業スピードの向上と、データによる迅速なビジネス判断を実現する。
さらに、アクセンチュア社の人材育成ノウハウを活用し、資生堂が強化したいデジタル・IT人材像のための専用プログラムを共同で開発・提供することで、デジタル・IT専門分野での高度なスキルを持つ社員を育成する。外部からの人材獲得も積極的に行い、資生堂全体のデジタル・IT能力の向上に貢献する。
資生堂インタラクティブビューティー社について
社名 | 資生堂インタラクティブビューティー株式会社 |
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代表者 | 高野篤典氏 |
主な業務 | 資生堂およびそのグループ会社にデジタルマーケティング業務、およびデジタル・IT関連業務を提供 |
所在地 | 東京都中央区銀座7丁目5-5 |
資本金 | 1億円(出資の状況:資生堂が過半を出資) |
社員数 | 約250名 |
会社設立時期 | 2021年7月(予定) |
ミッション | すべての人生を健やかでリッチに。デジタルとテクノロジーを駆使して、一人ひとりの明日のビューティー体験を創造する。 |
ビジョン | 原点を大切にし、デジタルとテクノロジーのプロフェッショナル集団として革新的なビューティー体験を共創し続け、Global No.1 Data Driven Skin Beauty Companyへの変革をけん引する。 |
コアバリュー | Consumer value centric:お客さまの価値を第一に Professional:専門性高く Flat societywithownership:オーナーシップをもち、思ったことが言える関係を築く Be quick and learn:まず動き、ラーニングを得る |
社名の由来 | 資生堂インタラクティブビューティーという社名には、インタラクティブが持つ「双方向の関係性、対話」という意味合いから「繋がる、繋げる」という思いが込められている。「リアルとデジタルのインタラクティブ」、「資生堂とお客さまとのインタラクティブ」、「お客さま同士のインタラクティブ」、「社員同士のインタラクティブ」といった様ざまな繋がりや関係性を、デジタル・テクノロジー×ビューティーの持つ力で革新していく。また、ミッション、ビジョン、コアバリューを通じ、デジタルトランスフォーメーションにより、資生堂の事業革新と新たな美容体験を提供していく。 |
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