東大発AIベンチャーが映像内の個人情報を自動でマスキングする「モザイクAI」のリアルタイム処理を実現

2021年5月25日 By ロボスタ編集部

ドライブレコーダーや防犯カメラ等、企業や自治体が持つ有用なデータはますます増えており、交通事故の記録や処理など、多くの用途で利用されている。

しかし、個人情報保護法の改正をはじめ、プライバシーの保護が重要になっているという背景から、人物の顔や車のナンバープレートが写り込んだ映像・写真は活用しづらいという現状がある。

そこで、東京大学発のベンチャー企業TRUST SMITHグループである、SMITH&MOTORS株式会社は、映像内の個人情報に対して、自動でモザイクをかける「モザイクAI(マスキングAI)」を開発・提供したことを2021年5月23日に発表。これにより、個人情報が写り込んだ写真・映像も活用しやすいデータにすることを可能にした。

【SMITH＆MOTORS】
最先端のAI・ロボティクスの技術を活用したソリューション提供を行うTRUST SMITHグループ傘下の企業として、製造業・運送業の企業様へ、自動運転車(AGV、フォークリフト、トラック)を用いた工場内における事業の自動化支援を行っている。

モザイクAI、マスキングAIとは

同製品は、写真や映像内の人の顔や車のナンバープレートをAIが自動マスキングし個人情報を取り除く。これにより、ドライブレコーダー映像などの個人情報保護規定の解消や人件費の削減、マスキング後の映像データの社外公開など、映像の応用範囲を拡大させる。

個人情報保護規定の解消	ドライブレコーダー映像を、被写体の許可を取らず他社に提供・公開した場合、個人情報保護法への抵触や、プライバシーの問題発生の可能性あるため、同機能でモザイクを処理することにより、ドライブレコーダー映像から個人情報をなくすことができる。
人件費の削減	写真・映像のマスキング作業の自動化により、人件費を大きく削減。人手だけでは困難だった膨大なデータのマスキング処理が可能となる。
映像の応用範囲の拡大	マスキング後の映像データを社外公開することが可能となり、利用範囲を広げることができる。映像データの販売やメディアへのアップロードはもちろん、その映像データを活用した新たなAIの開発にも役立てることも可能だ。

■【動画】マスキングAI

■【動画】マスキングAI デモ動画

モザイクAI対象ユーザーと活用方法の一例

保険会社	自動車保険を扱う同社では、顧客のドライブレコーダー映像内の個人情報を保護するため利用。社内で映像を共有する場合は、モザイク済みの映像を共有することが可能になった。
映像制作会社	一般公開するための動画を作る同社では、映像に映る人々のプライバシーが保護できるだけでなく、自動でモザイク処理ができるため、動画編集コストが削減。
マーケティング・リサーチ会社	映像データを扱う際、定点カメラの映像に映る人物や車のナンバープレートにモザイクをかけることが可能になり、個人情報を保護することができた。
医療法人	治療中の映像内の患者様にモザイクをかけることによって、映像を研修用動画・患者様への説明資料などに利用可能となった。
システム開発会社	AIの学習用データとしてドライブレコーダー映像を利用。作業の一部を他社へ引き渡す際に、映像内の個人情報を保護することができる。

リアルタイム処理開発の背景

従来、映像に写り込んだ個人情報を取り除くことでプライバシー保護を行っていたが、同技術のユーザーの一部から「処理自体には満足しているが、個人情報の保護が厳密に求められるので、リアルタイムでのモザイク処理を実装してほしい」との要望があがったことより、モザイクAIにおいて使用している独自のライブラリを高速化することでリアルタイム処理を実現した。

【リアルタイム処理による応用事例】
・ライブ配信の映像におけるモザイク処理の実現
・ドライブレコーダー映像の迅速な引き渡し・公開
・店舗内の監視カメラ映像の迅速な引き渡し・公開　など