マンガのグローバル対応のポイントはカラー化!? AI技術によるマンガの自動着色サービスにピクシブとPFNが挑む

現在、海外の新たなマンガ文化ではカラーマンガがスタンダードであり、デジタル化とともに、カラーリング市況が活発化している。日本のマンガ産業においても、国際化と海外展開が本格化する中、カラーリング作業に求められる専門スキルの高さ、費用等が課題となっている。

この課題に対応すべく、登録ユーザー数6400万人を超えるSNS「pixiv」を中心に、クリエイターを支援する様々なサービスを提供しているピクシブ株式会社と、深層学習技術とロボティクスなどの先端技術を実用化することを目的とした株式会社Preferred Networks(PFN)は、AI技術によるマンガの自動着色サービス「Petalica Paint for Manga(ペタリカ・ペイント・フォー・マンガ)」を2021年5月28日より法人向けに試験提供した。

両社は、この自動着色サービスの導入により、作品の魅力向上や海外展開を含む新たなユーザー層の開拓を進める事業者が、カラーマンガの制作時間やコストを削減し、制作者が高付加価値業務に注力する時間を増やすことを可能にすべく、創作活動を楽しくする新サービスの開発を目的に、2019年11月よりイラスト自動着色分野で業務提携契約を締結。AI技術のひとつである深層学習(ディープラーニング)を用いた線画自動着色サービス「Petalica Paint」の共同運営を行っており、「Petalica Paint for Manga」は、同サービスの新モデルとして開発された。



Petalica Paint for Mangaの特長

同サービスでは、色のついたキャラクター画像を参考に、自動でモノクロ原稿上のキャラクターの着色ができる。また、「カラーヒント機能」を使うことで、自動着色の結果に細かく調整を加えることが可能だ。自動着色後には「髪・服・肌・目・背景」などの要素をレイヤー分けし、業界標準であるPSD形式データとして書き出しする機能が搭載。下塗りに自動着色を導入し、仕上げに各クリエィティブの制作・編集ソフトでハイライトや影を入れるなどの処理もできるため、同サービスを利用することで、手作業での着色と比べて50%以上の作業時間短縮(※ピクシブ社内での比較)ができる。加えて、作業品質の均一化が促進されるため、クリエイターは作品の品質を上げる作業に集中して取り組めるようになる。


Petalica Paint for Mangaの詳細

参照画像を元に着色する技術に加えて、背景・肌・髪などのレイヤー領域分けの技術により、他のグラフィックソフトで修正・加工しやすい形で出力する機能も備えており、従来の自動着色よりも更に効率性を上げている。




■【動画】ピクシブとPFN、AI技術によるマンガの自動着色サービス「Petalica Paint for Manga」

【Petalica Paintとは 】
PFNが開発し、2017年1月に提供を開始したオンライン線画自動着色サービス。白黒等で描かれた線画ファイルをアップロードするだけで、深層学習の技術を使って完全自動着色または色指定の自動着色をすることができます。ピクシブのお絵描きコミュニケーションアプリ「pixiv Sketch」に導入され、国内外において多くのユーザーが利用している。




今後の展開について

将来的には、正式版のリリースを経た後、培った技術を生かし、個人ユーザー向けの提供を目指している。また、両社は、ピクシブとPFNは、日本のマンガ産業の発展に向け、日本で作られたマンガを地域・言語を超えて展開する環境の実現を目指すと述べている。

現在、2021年5月次点での試験的な導入を開始している企業
Petalica Paint公式サイト:https://petalica-paint.pixiv.dev/

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ロボスタ編集部

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