物流ロボットのギークプラスがデルを選択した理由 デルが中小企業向けソリューションを展開

デル・テクノロジーズ株式会社は、中小企業の3種類のIT課題を解消するために「今すぐ始められる中小企業向け6つのITソリューション」を6月4日から提供開始すると発表した。オンラインで行われた会見には導入事例の一つとして、ロボットによる物流ソリューションを提供する株式会社ギークプラスの代表取締役社長の佐藤智裕氏も登壇し、同社の事業を紹介した。


6つの中小企業向けITソリューション

デル・テクノロジーズ株式会社 常務執行役員 コンシューマー&ビジネス事業統括本部長の渡邊義成氏は「2021年第一四半期はPC、サーバ共に中小企業向けシェア1位と好調。我々の強みは3つ。顧客の要望に即した製品・サポートの拡充、プロ人材の育成、人・組織、マーケティング投資の強化だ。より一層中小企業の顧客の希望に応えられるよう努力していく。営業体制も地域別の営業担当者をおくことでより充実したものにしていく」と述べた。特に「デルテクノロジーズアドバイザー」により、顧客ニーズをよりピンポイントにサポートできるソリューションにフォーカスしていくという。

デル・テクノロジーズの中小企業向けビジネス

6つの中小企業向けITソリューションについては、デル・テクノロジーズ株式会社 ビジネス営業統括本部 営業部長の井上孝宏氏が解説した。同社のリサーチによれば中小企業経営者・IT担当者の関心・経営課題は、セキュリティ、BCP/災害対策、テレワーク環境整備だとし、それぞれに二つのユースケースを設定。合計6個のソリューションパッケージを設定したと紹介した。

3つの課題に対する6つのソリューションパッケージ

たとえば「テレワーク環境を整備したい」という要望に対しては「セキュリティすぐ始められるソリューション」、「テレワーク保守・運用お手伝いソリューション」「ネットワークセキュリティ見直し支援ソリューション」を組み合わせて、顧客が望む構成、リモートでも電源オンオフや保守が可能な環境、各種デバイスからのアクセス・セキュリティを確保することができるという。

導入事例。複数パッケージを適宜組み合わせて提案




200社に累計15,000台以上の物流ロボットを導入したギークプラス

ギークプラス佐藤智裕氏とデル・テクノロジーズ渡邊義成氏との対談

そのあと、導入事例として株式会社ギークプラスが紹介された。事例紹介はデル・テクノロジーズの渡邊義成氏と、ギークプラス代表取締役社長の佐藤智裕氏の対談形式で行われた。ギークプラスはスマートロジスティクス分野で自動化を推進するロボットメーカー。棚の下に潜り込んで棚を搬送するタイプのロボットを販売している。ギークプラス(Geek+)は中国・北京で2015年に創業。グローバルで200社、累計15,000台以上の物流ロボットの導入を行なっている。日本市場では2017年に日本法人を設立。物流ロボットの販売、導入、24時間365日対応のメンテナンス、生産性改善コンサルティングを行なっている。現在の社員数は2021年5月現在で50名以上。グローバルにアメリカやヨーロッパにも販売を拡大している。

ギークプラスのロボット。ピッキング向けロボットのほかソーティングロボットも

ギークプラスの棚を運ぶロボットは、主に通販業者のピッキング作業に用いられている。ロボットは床面のQRコードを読みながら棚を持ち上げて移動する。搬送重量は500kg-1000kg。ロボットが棚を運んでくるので、ピッキング作業者は定点に止まったままで作業ができる。必要な棚が届けられるので、来た棚に対してピッキング作業を行えばいい。

■ 動画

物を人のところまで持ってくる「Goods to Person(GTP)」と呼ばれる方式だ。これによって作業者が歩く作業がなくなる。ピッキング作業者の作業の7割が歩行と言われているので、その部分がなくなることで、作業効率が向上する。

ギークプラスでは、ピッキング効率は3-5倍、約7割の省人化効果があるとしている。これまで人が歩いて商品を取っていたときには1時間あたり100個しか取れなかったところ400個取れるようになり、20人の作業者が必要だったところが6人に、棚を密集保管することで削減できる通路スペース分の保管効率が3割増すとしている。

ピッキング効率は3-5倍、約7割の省人化効果

現在ギークプラスが開発を進めているのは自動フォークリフトと搬送ロボットとの連携。フォークリフトの運転は通常であれば資格免許を持った人が必要だが、これを自動化する。これによって積み下ろしを自動化することができる。ギークプラスの佐藤氏は「自動搬送ロボットと自動フォークリフトの連携を一社でできるのは我々だけ」と語った。同社のプラットフォームを活用することで他のマテハン機器との連携も容易だという。

■動画

また千葉県に遠隔サポート/システムメンテナンスができるテクニカルセンターを設置している。これによって24時間365日対応が全て日本国内でできると語った。同社のロボットシステムの事例も紹介された。アスクルの「ASKUL Value Center関西」(導入面積約2,500平米)では2020年6月から100台のロボットが1300棚を、NIKEの「ERS市川倉庫」(導入面積約10,000平米)では2019年6月から6,000棚を200台のロボットが動かしている。そのほか同社のロボットは国内でもビックカメラ、トヨタ、三菱電機、佐川、クロネコヤマト、ダイワハウス、日本通運、日立物流など各社が採用しており、様々な商品に導入可能だ。

アスクル倉庫の導入事例

ナイキ倉庫の導入事例


サーバーの信頼性と専任アドバイザーの価格・提案力・レスポンスでデルを選択

創業当初のギークプラスは、サーバーやモニターはコストを考えて複数メーカーから調達していた。また中国本社から調達していた製品については、中国サプライヤーの商品は例えばケーブルが日本仕様になっていなかったり説明書がない、品質に課題があった。そこで日本法人設立から一年が経過した時期に商品を探し始めた。

顧客の増加と多様化する要求に対してより素早く応えるため、きめ細かく、かつ迅速に提案から納品まで対応してくれるビジネスパートナーの模索を始めるなかで、デルのタッチ式モニター「Dell P2418HT 23.8インチワイドモニター」を採用。そのときに「まずはレスポンスの良さで好きになった」という。ギークプラス佐藤氏は当時を振り返り「まだ創業したばかりだったがデルテクノロジーズアドバイザーズからは価格やスペックなどを要求通りに、しかも、その日のうちに提案してもらった。価格・提案力・レスポンスに満足して付き合いを決めた」と語った。特に「オールインワンで相談が完結する。運用も効率化している」点を評価しているという。

ギークプラスでは2018年11月に、まず操作端末のデスクトップパソコンの導入を開始。その後ノートパソコン、そしてサーバー、ネットワーク機器へと取引は拡大。現在では「Dell P2418HT 23.8インチワイドモニター」 232台、「OptiPlex 3000シリーズ」214台をはじめ、「PowerEdge R440ラック サーバー」62台、「Dell Networking Xシリーズ・スマート・マネージド・スイッチ」を33台、「デルスイッチ DELL NETWORKING N-SERIES」15台と複数のデル・テクノロジーズ製品を導入している。

ギークプラス佐藤氏は「搬送ロボットを含むロボットは24時間連続稼働。サーバーの信頼性と対応性は絶対に譲れない条件。複数サーバーを検証した結果、デルを標準機として選んだ。これまで顧客による導入後に処理の遅延が発生したことは一度もないない。信頼性の高いデルのシステムは我々の物流ソリューションの評価、価値の向上にも繋がっている」と語った。そして「我々はリモートで24時間サポートを展開している。ロボットが止まったら物流が滞るので、デルのプロサポートを契約している。サーバーそのものの信頼性が高いのでこれまで利用したことはないが、顧客の安心感・我々の商品力にも繋がっている」と述べた。

ギークプラスでは調達および保守窓口の一本化と専任のデル・テクノロジーズ アドバイザーによる包括提案により、調達および保守運用にかかる時間を3年前と比較して大幅に削減できたとしている。今後も顧客からの要望の多様化に対して迅速に対応していくために欠かせないビジネスパートナーとして、デル・テクノロジーズからの積極的な提案に期待しているという。

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森山 和道

フリーランスのサイエンスライター。1970年生。愛媛県宇和島市出身。1993年に広島大学理学部地質学科卒業。同年、NHKにディレクターとして入局。教育番組、芸能系生放送番組、ポップな科学番組等の制作に従事する。1997年8月末日退職。フリーライターになる。現在、科学技術分野全般を対象に取材執筆を行う。特に脳科学、ロボティクス、インターフェースデザイン分野。研究者インタビューを得意とする。WEB:http://moriyama.com/ Twitter:https://twitter.com/kmoriyama 著書:ロボットパークは大さわぎ! (学研まんが科学ふしぎクエスト)が好評発売中!

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