神奈川県では豚の飼養戸数が減少傾向にある一方で、一戸あたりの飼養頭数は1,000頭以上に増加しており、効率的な豚の飼育が求められている。
NTT東日本は、豚の飼育において豚舎環境の把握は重要であることより、2019年より神奈川県養豚協会、神奈川県畜産技術センターと連携して、既存設備へ導入が容易なIoTを活用したシステムを構築し、「飼養環境の見える化」(温湿度データや豚の衛生環境等監視)の実現に取り組んできた。
2021年4月より県内の有限会社臼井農産と連携し、CO2濃度センサーを用いて適切なCO2濃度を維持・管理方法を見極める、品質・生産性向上を目指した実証実験を実施。
今回、両社は、株式会社コーンテックと共に、養豚業界における生産の効率化・省力化および知見の継承に向けて、AIカメラを活用した養豚の体重・体格・肉質計測の実証実験の取り組みを開始することを2021年6月7日に発表した。(冒頭の画像:コーンテック公式サイトより)
同実証実験の概要
深度センサー付きAIカメラにより、最大50頭の肥育豚を同時に体重および体格による肉質を計測。あわせて、豚舎管理として温湿度・CO2濃度も計測する。また計測したデータは、クラウド上のサーバーにデータ蓄積し、飼育・出荷判断時に有効活用する。蓄積された計測データと飼育・出荷判断データの相関性を導くことで、熟練作業員のノウハウを見える化した知見の継承、適切な時期での出荷を可能にする。なお、深度センサーを使用して飼養豚を最大50頭同時に計測することはNTT東日本として初の試みとなる。
実施期間 | 2021年6月7日から2022年3月末まで(予定) |
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実施場所 | 有限会社臼井農産・豚舎(神奈川県厚木市飯山3575) |
各社の役割
臼井農産 | 実験フィールドの提供、豚衡機計測による肥育豚体重情報提供、AIカメラ利用評価、体格(肉質)に関する評価・アドバイス |
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NTT東日本 | 通信機器の設置・管理、実証実験の遂行における総合的な支援 |
株式会社コーンテック | AIカメラによるデータ収集・蓄積、体重・体格・肉質の解析・精度向上、実体重との差異確認および教師データ化、機器検証情報の提供 |
今後の予定
同取り組みにて集積したデータを活用(AI等による分析、活用等)し、臼井農産は最高品質の豚肉の提供を目指していくとともに、NTT東日本とコーンテックは、神奈川県内における養豚業へのIoTサービス導入のサポートを実施していくほか、各種連携等により養豚業の発展に向けた新たな仕組みづくりを検討して行く予定だ。
コーンテック社は、AI/IoT/ICTをフル活用することで、飼育中の豚の「体重」「外気温」「CO2」などをデータとして収集これまで経験や勘に基づいていた良質な肉になる豚の特徴や病気発生の予測など人に頼る現状を変え、人手不足という問題を解決して良質な豚を飼育する為の省力化・効率化、病気の早期発見を実現し、持続可能な養豚を目指している。また、「自家配合プラントの構築」と「飼料マネジメント」を畜産農家ごとにコンサルティングし、畜産における「手間」と「コスト」の削減も行っている。