NVIDIAは6月11日(金)に、ウェビナー「NVIDIA DPU Seminar 2」を開催し、NVIDIAのDPUについての特長や技術的な利点などについて解説しました。
このセミナーは、2021年4月に開催された「GTC21」で紹介した「NVIDIA DPUセッション」の詳細説明とアップデートで、オフロード機能、ユースケース、事例等を中心にしたものでした。主に最先端のデータサイエンティスト、エンジニア、最新システムの企画担当者、それらの営業担当者を対象としています。
DPUとは
そもそもDPUとはなんでしょうか? GPUとどう違うのでしょうか。
DPUとは「データ プロセッシング ユニット」の略称で、従来からあるコンピュータの中心的な頭脳「CPU」と、グラフィックやAIの演算等を専門に担当する頭脳「GPU」とは別に、比較的大規模なコンピュータに搭載される第3の頭脳の役割を果たすために開発されたものです。
例えば、データセンターにおいては、AIの導入が盛んに行われていますが、CPUの負荷を軽減するために、「GPU」がAIの演算処理を担当することで、CPUとGPUが役割分担をしています。今後はビックデータ化が加速し、もっともっとCPUの負荷が増大することも予想されます。更には、セキュリティに対する脅威なども増していくので、CPUは大忙しです。
そこで、例えばセキュリティ関連の部分を切り離して「DPU」が担当することによって、本来の業務に「CPU」の処理能力を集中させつつ、セキュリティの機能も向上させよう、という考え方が提唱されています。下はゲームを運用するサーバーの例で、左が従来のシステム、右がDPUを導入したシステムです。青い部分がCPUが担当しているジョブで、セキュリティなどの「インフラストラクチャサービス」は本来のゲームの運用とは別物のソフトウェア群ですが、同じCPUが担当していれば負荷は大きくかかります。そこを分割してDPU(ライトグリーンの部分)に代替させることで、CPUの負荷は軽減されます。その結果、ゲームはよりスムーズに動作し、より多くのユーザーが同時にアクセスしても耐えることができる可能性が高まります。
今の例では、セキュリティの部分を分割しましたが、今後はセキュリティだけでなく、その他の様々なインフラ業務を現状のCPUから分割してDPUが担当するような流れになりそうです。
「DPU」NVIDIA BLUEFIELDとは
NVIDIAのDPU製品の名前が「NVIDIA BLUEFIELD-2」です。既に販売が始まっているのが「NVIDIA BLUEFIELD-2」で、性能を更にアップさせた次期製品「BLUEFIELD-3」の発売もアナウンスされています。
「BLUEFIELD-3」には最新の機能とアーキテクチュアが搭載され、とにかく最高のスペックが組み込まれる、という印象ですね。
ハードとソフト(開発環境)ともに互換性の高いアップデートを将来にわたって約束
NVIDIAでは、GPUのソフトウェア的に開発環境を整え、更には継続的な互換性のあるアップデートを行うことでAI業界の覇者となりましたが、それと同様に「DPU」の世界でも、ハードウェアを「BLUEFIELD-3」「BLUEFIELD-4」と継続的にアップデートするとともに、開発環境「DOCA」(ドーカ)も、GPU開発環境の「CUDA」と同様に、高い互換性を持ってアップデートしていくことを約束しています。
エンジニアにとっては勉強したり開発した技術が将来に渡って無駄にならないように保証することをアピールしています。
NVIDIAは、今後は様々な分野でデータセンターやプラットフォームにDPUが導入されていくことを想定しています。今後の展開にも目が離せませんね。
NVIDIA関連記事(ロボスタ)
ABOUT THE AUTHOR /
神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。