ヤマハ発/ドコモ/DENSOら、ORiNと5Gで複数メーカーの産業用ロボットの遠隔操作実験に成功
ヤマハ発動機株式会社、株式会社NTTドコモ、株式会社デンソーウェーブ、カワダロボティクス株式会社、株式会社オフィスエフエイ・コム、ORiN協議会は、高速通信規格「5G」を活用し、複数メーカーの産業用ロボットを統合的に遠隔操作する実証実験に成功したことを発表した。なお、ドコモ5Gを活用した産業用ロボットの遠隔操作実験は日本で初めての成功となる(NTTドコモ調べ)。
実証実験の詳細
同実証は異なるメーカーの産業機器を規格の壁を越えて統合するミドルウェアの「ORiN」(オライン)と、「クラウドダイレクト」を活用し、2021年3月4日~4月7日にドコモオープンイノベーションラボ四ツ谷で実施。
ORiNはさまざまな産業用機器の登場により乱立する「データ通信規格」と「プログラム言語」を一つにすることを目的として、1999年度からNEDOの3か年プロジェクトで日本ロボット工業会が主体となり開発されたソフトウェア。正式名称はOpen Resource interface for the Network。
クラウドダイレクトとは
クラウドダイレクトは伝送遅延の低減とセキュリティーの高い通信を実現する閉域接続サービス。(各種条件により遅延時間は変動するため、ネットワークの伝送遅延は必ず一定以下になるといった保証をするものではない)
複数メーカーのロボットを使い、操作者の入力デバイスからの信号を「ORiN」で変換し、5Gを経由して遠隔側のロボットを操作。「ORiN」を介して、ヤマハ発動機製のスカラロボットと、カワダロボティクス製のヒト型ロボットを接続した。現場でロボットが動く様子は5Gを介して遠隔のロボット操作者に届けられ、操作者がディスプレイに映る高精細の映像を見ながら、二つのロボットの動作を入力デバイスで指示した。
実証では異なるメーカーの産業用ロボットであっても「ORiN」を介することでメーカーの仕様の差分を吸収し、統合的に接続できることが確認できた。また、5Gを使用することで、現場の4K映像をリアルタイムにロボット操作者のディスプレイに表示できることおよび、操作者のロボットへの入力信号のタイムリーな反映ができることを確認できた。その結果、操作者の違和感を軽減し、円滑な操作を実現した。
構築した仕組みを採用することで柔軟なレイアウト変更を実現
現在、製造業の工場ではさまざまなメーカーの機器が稼動している。これらを統合的に制御・監視するためにはソフトウェア側がそれぞれに対応する必要があり、プログラマーの学習コストやメンテナンスコストの増加が懸念されている。また、工場内の機器同士を接続するためにプロトコルごとに大量のケーブルが敷設されており、機器の設置位置の柔軟な変更ができないという課題がある。
今回の実証で構築した仕組みを採用することで、遠隔の環境であったとしてもORiNを介して製造業で使用されている異なるメーカーの機器同士を汎用的な言語で接続し、ケーブルを5Gに置き換えることで工場内をワイヤレスに接続し、柔軟なレイアウト変更を実現することが可能。
今後、ロボットをはじめとして、工場内のさまざまな機器が5Gで接続されることで、工場内のレイアウトフリーの実現や、各工場の設備連携などのさらなる発展が期待される。
各社の役割
同実証はORiN協議会、およびその加入企業である5社が共同で実施した。各社の役割は以下の通り。
NTTドコモ | 5G・クラウドダイレクトの提供、5G端末の提供 |
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デンソーウェーブ | ORiNおよびロボットとの接続インターフェースの開発 |
ヤマハ発動機 | 産業用スカラロボット(YK400XE、RCX340)の提供 |
カワダロボティクス | 産業用ヒト型ロボット(NEXTAGE OPEN)の提供 |
オフィスエフエイ・コム | システムの構築およびORiNを用いた遠隔操作ソフトウェア開発 |
ORiN協議会 | 実証実験の全体統括 |
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。