【ビデオリサーチ×Spotify】若者(Z世代)に拡がる「音声メディア」、音楽配信を6割が利用 音声メディアの分析調査結果を発表

日本国内で唯一のテレビ視聴率データを提供する調査機関の株式会社ビデオリサーチは、スポティファイジャパン株式会社と共同で「Z世代と音声メディア」についての調査と分析研究を行い、その結果を2021年6月に発表した。Z世代は1996~2015年生まれ(25歳前後まで)。

「Z世代」は、サブスクリプションの音楽配信サービスが登場した頃、音楽や音声コンテンツに意識的に接触し始めた世代=2020年時点で15~23歳を指しており、同研究から、Z世代は他世代に比べ「音楽」への接触機会が多く、「音楽配信サービス」の利用率が高いことが判明した。

また、デジタル配信ラジオやポッドキャストなどの音声サービスも3割近くが利用している。”耳”を有効活用して他メディアとうまく使い分けたり、特に女性では、コロナ禍で気軽に人に会うことができなくなったこともあり、音声メディアや音声でのコミュニケーションによって寂しさを紛らわせたり、ストレスを発散したり、勇気づけられている様子が多くみられた。

同研究では、同社の「ACR/ex」データによって若年層における音声メディアの浸透状況を把握し、くわえてWEB調査とインタビュー調査を組み合わせ、音声メディアユーザーの意識・実態を深堀。音声メディアにフォーカスした分析を行うため、音楽や音声コンテンツを意識的に接触し始めたであろう”多感な年代”において、中心的に利用していたと考えられる音楽デバイスによって、世代を分類している。なお、同研究結果は6月29日開催のスポティファイジャパン主催ビジネスオーディエンス向けウェビナー「loveAudio June 2021」でも発表された。



主なポイント

今回の主な調査結果のポイントは以下の通りだ。

■ Z世代は「音楽」への接触機会が多い。「定期的に音楽を聴く」7割、「音楽配信サービス利用」6割。
■ Z世代の”耳”はマルチタスク。半数以上が、音の出るメディアを2つ同時に利用する『W音声』を体験。
■ Z世代の半数が「テキストチャットやメールより通話の方が楽」。
■ 特に女性は”人の話し声”(ラジオ・ポッドキャスト等)で寂しさを紛らわす、音楽を流しながら通話して会話のネタとしてシェアするなど、コロナ禍による対面コミュニケーションへの飢餓感も音声メディアの需要を後押し。



Z世代は「音楽」への接触機会が多い。

「音楽」「音声サービス」の接触状況

音楽配信・デジタル配信ラジオプラットフォーム利用状況(データソース:ビデオリサーチ「ACR/ex」2020年4-6月調査 15-69歳全体n=10,906(うちZ世代n=1,464))

Z世代は、「定期的に音楽を聴く」が7割、「音楽配信サービス利用」は6割と、音楽に触れる機会が他世代より多いことがわかった。サブスクリプション、無料、問わず音楽配信プラットフォームの利用率は年々増加。特に2019年から20年にかけては2割強から4割強と伸長した。また、デジタル配信ラジオやポッドキャスト、音声アシスタントサービスなど「音声サービス」のZ世代の利用率は約3割。ラジオユーザーの多い他世代には及ばないものの、Z世代のラジオのデジタル配信聴取も伸びている。音声メディアがよりシームレスに使いやすくなってきていることに加え、コロナ禍で在宅時間が増えたことも、Z世代の接触チャンス創出につながったと考えられる。


Z世代の”耳”はマルチタスク。

『W音声』の種類別経験率(データソース:ビデオリサーチ&スポティファイジャパン 「音声メディアに関するWEB調査」 15-49歳全体n=743)

Z世代の音声メディアユーザーのうち、音楽を流しながら「音を出してテレビを見た」は6割、また、3人に2人が音楽を流しながら「音を出して動画を見た」経験があり、音の出る複数のメディアに同時に接触することへの抵抗感が少ないことが明らかになった。他世代でも音楽はBGMとして流しながら、他の音声サービスの利用や生活行動をするということはあるが、Z世代に特徴的だったのは、音楽を共有しながらの通話、音声をダブルで流す場合も、その時々でより聞きたい方に耳を傾けるといった、音声ならではの特性やニーズに合わせて上手に使い分ける、耳をマルチタスクに使いこなす様子が多くみられたことだ。今までにはない新しい音声メディアの楽しみ方が生まれてきているようだ。


Z世代の半数が「チャットやメールより通話の方が楽」。

音声情報・コミュニケーションに関する意識(データソース:ビデオリサーチ&スポティファイジャパン 「音声メディアに関するWEB調査」 15-49歳全体n=743)

Z世代は、「通話の方が文字での会話より楽」という回答が男女とも約半数。また、女性Z世代の45%が「読む」より「聞く」ほうが頭に入りやすいと答え、他世代より10pt以上高くなっていた。テレビの操作やタブレット、スマホなどの音声入力機能の進化とともに育ち、キーボードよりも先に音声入力を覚えた人も少なくないため、音声でのコミュニケーションや情報収集に親和性が高く、好意的な世代であることがうかがえる。
また、インタビュー調査を通じて、気軽に人と会えないコロナ禍で、音声メディアによって気が紛れたり勇気づけられたりした、というZ世代の声も多く聞かれた。特に女性にその傾向が強く、「(深夜ラジオを聴いていると)世の中はまだ人が動いているんだ、と寂しさを紛らわすことができた(20歳大学生)」「雑談配信を聴くと寂しさがやわらいだりするし、暇な時間が暇じゃなくなる(19歳大学生)」など、ラジオコンテンツやポッドキャスト、音声SNSに対する受容性がみられた。



同研究の生活者分類の定義

音楽や音声に意識的に接触し始めた”多感な年代”は、主に以下のデバイスが登場した際の年齢上限18歳までと捉え、分類している。なお、同研究では「音声メディア」を、音楽配信サービス・ラジオ(電波・配信問わず)・ポッドキャスト・音声SNS・オーディオブック等、「音」のみで成立するメディアと定義している。

ストリーミング世代 サブスクリプションの音楽配信サービスが登場した2015年に18歳以下(2020年時点の年齢:15−23歳)
ダウンロード世代 iPodなどのダウンロードサービスが登場した2003−2014年に18歳以下(2020年時点の年齢:24−35歳)
CD・MD世代 CD・MDプレーヤーがポータブルになった(CDウォークマン等)0−2014年に18歳以下(2020年時点の年齢:36−51歳)<
カセット・レコード世代 音楽やラジオの持ち歩きが難しく、ダビングなど一手間必要だったころ18歳以下




同研究の調査概要

同研究の調査は、以下の3つの調査をもとにしている。なお、ACR/ex調査は同社によるものであり、「音声メディア」に関するWEB調査とオンラインデプスインタビューじは、同社とスポティファイジャパンによる共同調査となっている。

▼ACR/ex調査概要

調査手法 訪問による調査協力依頼、回答専用タブレットを用いた電子調査票による調査
対象者抽出方法 ARS(エリア・ランダム・サンプリング) ※調査対象者の無作為抽出
調査地区 全国7地区(東京50Km圏、関西地区、名古屋地区、北部九州地区、札幌地区、仙台地区、広島地区)
調査対象者 12~69歳男女(同研究では対象を15~69歳に絞って分析)
サンプル数 計11,328サンプル(※同研究では対象を15~69歳の10,906サンプルに絞って分析)

▼「音声メディア」に関するWEB調査概要

調査対象者
サンプル数 743サンプル
調査期間 2021年3月

▼「音声メディア」に関するオンラインデプスインタビュー

調査手法 1on1のオンラインインタビュー
調査対象者 デジタル音声メディアのヘビーユーザー(1日1時間以上の音声コンテンツ、または2時間以上の音楽PFユーザー)の全国の18~34歳男女
サンプル数 10サンプル
調査期間 2021年4月



■【動画】ACR/ex(エーシーアール エクス)の紹介動画

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ロボスタ編集部

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