日本発の最先端技術を発信する『Society 5.0科学博』が本日、7月15日(木)に開幕。日本が想い描く「2030年の社会」を世界へ向けて発信する博覧会イベントだ。
会場は東京スカイツリータウン、入場料は無料。主催は内閣府と海洋研究開発機構(共催)。メイン展示の期間は28日(水)までの14日間。
報道関係者向けに内覧会が開催されたので、写真を中心に会場の様子と見どころを紹介していこう。
「Society 5.0」(ソサエティ)とは「みらい社会」という意味で使われていて、AI、ロボティクス、ビッグデータ、ドローン、自動運転などICT技術を活用して人間中心の社会を創る未来の姿を提唱したもの。今の最先端と、少し先の未来を体験できるイベントとなっている。
■ 会場の様子
自動運転や空飛ぶクルマ、未知への挑戦
一般の人が普段はまだ、あまり見る機会のない自動運転バス、自動運転対応のロボットトラクター、空飛ぶクルマ、はやぶさ2のレプリカ、しんかい6500、ポリマー素材で開発されたクルマなどを見ることができる。
宇宙への挑戦
小惑星「りゅうぐう」へ旅をした「はやぶさ2」のレプリカを展示。更には2020年12月オーストラリアのウーメラ砂漠に着地し、「りゅうぐう」から多くの物質を持ち帰ったはやぶさ2のカプセルも展示。宇宙を旅してきた実物のパーツ類も展示されている(一部、同等品やレプリカ含む)。
宇宙ビジネスの展示ブースも。宇宙機の安全航行の確保を目指し、次世代へ持続可能な軌道を継承する為、スペースデブリ(宇宙ごみ)除去サービスに取り組む世界初の民間企業アストロスケール社の活動に触れられる。
社会課題への挑戦
「Society 5.0」も「SDGs」(エスディージーズ)も、地球環境/災害/社会/高齢社会/エネルギーなどのさまざまな社会課題に向き合い、解決していくことが重要視されている。東京スカイツリータウン4階のスカイアリーナ特設パビリオンでは、最先端のICT技術だけでなく、それら課題を解決するソリューションを身近に見ることができる。
脳神経系の病気等による身体機能を改善する装着型サイボーグ
サイバーダインが開発する「HAL」シリーズは筋ジストロフィー等の病気を治療・再起するための装着型サイボーグ。保険適用となって費用が抑えられ、普及が進んでいる。脳からの生体信号を活用し、脳神経系の機能を改善していく。
被災状況を電波でスキャンする技術
9~10GHzの周波数帯の電波を使って、地形や建物等の状況を把握する「Pi-SARのアンテナポッド」を展示。災害緊急時に航空機などに搭載して、被災状況を電波でスキャンして見える化する。夜間や雨天、霧など、天候や気象状況に左右されずスキャンすることができる。東日本大震災の時にも活用され、火山噴火時には噴煙があっても火口の状況を把握することができる。
災害現場を調査するロボット
人が入ることが困難な災害現場では、遠隔操作ロボットが活躍する。科学博では、放射施量が高い福島第一原子力発電所の建屋内でも探査に活用された「キャタピラ型最大対応ロボット」が展示されている。このロボット開発の根底には世界的なロボット競技大会「ロボカップ」のレスキュー部門で培われた技術が息づいている。
高速道路や地下鉄のトンネルの劣化を調査するロボット
笹子トンネルの天井崩落事故のような悲劇を未然に防ぐために開発されたフォトンラボの「インフラ点検ロボット」。LiDARによるレーザー計測と、カメラによる画像計測とAI解析技術を組合せ、高速道路や地下鉄などのトンネルを点検、劣化や破損をチェックする。怪しい箇所を見つけた場合、人の作業ではハンマーで叩いて確認するが、このロボットはレーザーで衝撃を与えて振動を計測、危険度を自動判定する。
Society5.0への軌跡 天望回廊
東京スカイツリーの地上450mに位置する「展望回廊」(350mの展望搭のさらに上)では、「Society5.0 科学博」と連携した企画として、科学技術と人々の連帯により、その時々の困難を克服しSociety 1.0から4.0までの社会を築いてきた歴史がパネル展示されている。(展望塔/天望回廊への入場は有料)
宇宙に近い場所で、街を一望しながら未来について考えることができるという趣向になっている(パネル展示が中心)。
球体とプロジェクションマッピングを組合せた「ダジック・アース」。
東京スカイツリーの特別ライティング
『Society 5.0科学博』公式サイト
ロボット、AI、スマートスピーカー、ビッグデータ、自動運転、xR、ドローンなど最新情報が満載
ロボットスタート「ロボスタ」 Facebbok公式ページ
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。