三菱地所株式会社は、「三菱地所デジタルビジョン」を策定し、オフラインとオンラインが融合する新しい暮らしとまちづくりに取り組んでいる。
その実現に向けたインフラ整備として、今後、第5世代移動通信システム(5G)の構築を推進しており、第1弾として、三菱電機株式会社と協働して丸の内エリアの屋内外の複数拠点に「ローカル 5G」を構築し、さまざまな企業や大学、団体との共同実証実験を通じて、ロボットの遠隔操作やxR技術による高性能会議、美術館の遠隔鑑賞やeスポーツ、遠隔ショッピング体験などにおける活用を検討していることを、2021年7月20日に発表した。
なお、同一エリア内の複数用途・複数施設にローカル5Gが全面的に導入されるのは国内初(同社調べ)となる。
同社の第5世代移動通信システムへの取り組み
5G はこれまでの移動通信規格(4G)と比較し、高速大容量・低遅延・同時多数接続という性質を持つ移動通信システムで、機器の遠隔操作や高精細な映像コンテンツ伝送等への活用が見込まれている。また、今回導入するローカル5GはSIM認証による独自回線であることからセキュリティが高く、安定した通信環境が整備できることに加え、アップロード・ダウンロードの速度を柔軟に変更可能だ。同社は、今後、ローカル5Gの整備拠点をテナント企業だけではなく、TMIP(Tokyo Marunouchi Innovation Platform)等の会員組織をはじめ、企業や大学、団体などと連携して実証実験を実施するなど、開かれた実証拠点としていくと述べている。また、5Gの整備・活用検討を通じて、新しいオフィスサービスや来街者サービス、災害時のインフラやビルの効率的な管理など、まちづくりの未来を探っていくとのことだ。
TMIP は、一般社団法人 大丸有環境共生型まちづくり推進協会が運営する組織で、丸の内エリア(大手町・丸の内・有楽町)のイノベーション・エコシステム形成に向けて、大企業とスタートアップ・官・ 学が連携して社会課題を解決することでグローバルなマーケットに向けたイノベーションの創出を目指すプラットフォームだ。会員、パートナーを含めると100社を超える組織になる。
5Gの特徴
高速大容量 | 4K・8K などの高精細な動画の送受信が可能 |
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低遅延 | 基地局から端末までの通信タイムラグが 0.001秒に(4Gの10分の1) |
同時多数接続 | 1㎢あたり100万台の端末が接続可能(4Gの10分の1) |
ローカル5Gの整備について
設置時期(予定) | 2021年12月~2022年11月 |
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敷設エリア(予定) | 大手町パークビル/三菱地所(株)本社内、丸の内仲通りビル/三菱地所プロパティマネジメント(株)本社内、東京ビル /ガレリア、丸の内ビル /マルキューブ、三菱一号館美術館、大手町仲通り、TOKYO TORCH Park |
整備方法 | 一般的にローカル 5G 整備にあたっては、基地局の親局・子局等各種機器を各拠点に設置する必要があるが、丸の内エリアは丸の内ダイレクトアクセス株式会社(MDA)によって高密度な光ファイバーネットワークがすでに構築されているため、MDAのデータセンターに設置した親局を共有し、各拠点には子局のみを設置することが可能となる。丸の内の特徴を生かした効率的で広範囲な整備によって、堅牢で安定した実証拠点を構築する。今回の整備にあたっては、ローカル5Gへの高い知見と技術力を有する三菱電機株式会社に環境構築のほかローカル5Gの免許取得を支援してもらう。 |
ローカル5Gを活用した実証実験の協業先とテーマ(想定)
「高速大容量・低遅延・同時多数接続」といったローカル 5G の特性を活かし、以下の実証を検討する。なお、それぞれの写真・イラストはイメージとなっている。
凸版印刷株式会社/新たな遠隔鑑賞やオフィス・会議像の検討
・遠隔からの臨場感のある鑑賞・イベント参加体験の提供
・遠隔地とのリアルな空間や五感の共有を通じた、就労環境・遠隔会議の高度化
・リアルタイム画像やコンテンツ情報と連携した、高機能なサイネージの検討
デロイト トーマツ グループ/位置情報解析やドローン制御に関する検討
・位置情報を活用した避難行動の最適化
・脅威・脆弱性分析とセキュリティ対策の効果検証
・ドローン制御コンテストを通じたローカル5G遠隔操作技術検証
株式会社野村総合研究所/4K高画質通信の利活用やVR会議の検討
・遠隔からの臨場感のある鑑賞体験
・高精細映像と店員との双方向コミュニケーションによる遠隔ショッピング体験
・高精細映像、VR技術による、没入感を高めた遠隔会議
・高精細映像とAI技術による人流解析とマーケティングへの活用
・他拠点ローカル5Gインフラとの遠隔接続・技術検証・性能検証
株式会社CG/スポーツ大会開催等の検討
・新たなデジタルエンターテインメントとして注目される e スポーツ分野において、5G技術を活用した大会運営配信の検証や、企業間 e スポーツイベントの開催等を実施
三菱電機株式会社/多用途ロボット・遠隔操作機器等の検証
・搬送・テレプレゼンス等の多用途ロボットの遠隔制御・遠隔操作
・機器の遠隔操作による、人的精密作業の代替検討
SEQSENSE(シークセンス)株式会社/警備ロボット「SQ-2(エスキューツー)」の性能向上の検討
・5G ネットワークを活用した警備ロボットサービスの機能向上に関する検討を実施>
三菱一号館美術館 /遠隔鑑賞の検討
・学校等の遠隔地から美術鑑賞体験ができるプログラムや教育普及活動の現場で活用の検討。その他、運搬用ロボットの遠隔制御や大規模イベントのリアルタイム・高精細映像による配信等、ローカル5Gの特性を活かした多種多様な実証を検討。
三菱地所株式会社
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