仏パスカル、1,000量子ビットのQPUを2023年実現目指す「量子技術フラッグシップ計画」汎用量子コンピュータ

欧州の「量子技術フラッグシップ計画」では、2023年から第1世代の汎用量子コンピュータの完全なプロトタイプ実現が目標、としている。

フランスのシリコンバレーと称される「パリ・サクレー」地域にある世界有数の量子研究センター、光学研究所(Institut d’Optique)からスピンアウトし、2019年に設立されたPasqal(パスカル)社は、2021年6月、シリーズAラウンドで2500万ユーロ(約32億円)の資金調達を発表した。

このラウンドは、ベンチャーキャピタルQuantonationと仏国防省の防衛イノベーション部門が率いるもので、これによりアナログ、デジタル量子プロセッサの開発を進め、アプリケーションの共同設計の取り組みを強化し、ハイブリッドクラウドを介した量子コンピューティングサービス構築を加速していく。

Pasqalの創設者、右から:Antoine Browaeys氏、Georges-Olivier Reymond氏、Thierry Lahaye氏、ChristopheJurczak氏(※公式ホームページ内ニュースリリースより)

なお、欧州では2018年10月に「量子技術フラッグシップ計画」が立ち上げられ、これに続き2021年1月、フランスは、18億ユーロ(約2346億円)を投じる量子技術の国家戦略を発表。これにより人材育成、科学研究、技術実験を大幅に強化し、2023年から第1世代の汎用量子コンピュータの完全なプロトタイプ実現を目標に掲げている。



仏スタートアップ Pasqal社について

Pasqal社は、基礎科学から現実世界で産業が果敢に挑む領域まで、複雑な課題に対応できる可能性を秘めた量子処理ユニット(QPU)を開発・構築・販売している。
同社のQPUを構築する中性原子技術は、室温で機能し、スケーラビリティにおいて大きな可能性を秘めている点が特徴だ。中性原子をレーザー光で精巧に操作することで、高い接続性と前例のない規模の量子プロセッサをオンデマンドで実現し、既に100量子ビットのQPUを運用しており、2023年予定で1000量子ビットのしきい値に向けて、エンドユーザーが初めて利用可能とな技術の提供を目指している。
Pasqal社のQPUを搭載した量子コンピューは既に1台が運用中であり、さらに2台を建設中で、2022年初頭には、クラウドベースのアクセス提供を予定している。(現在稼働中の1台の100量子ビットのプロトタイプQPUは、フランス電力(EDF)と共同開発した電気自動車の充電スケジュール最適化など、具体的なユースケースの検討に使用されている。)
また、同社のQPUは、欧州2か所のハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)施設ににオンプレミスで導入されることになっており、導入先は、フランスのGENCI (国内の HPC のニーズへの対応と、欧州のHPCプロジェクトへの参加を目的に設立された仏民間企業。仏高等教育・研究・イノベーション省が49%所有) と、ドイツのユーリッヒ研究所のスーパーコンピューティングセンターで、2023年に納入予定だ。




■【動画】A visit at Quantum Computing startup Pasqal(英語:量子コンピューティングのスタートアップPasqal社を見学)

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