まるで本人「著名人のデジタル分身モデルの第1号は冨永愛」 サイバーエージェント「デジタルツインレーベル」公式3DCG

3Dスキャニングや3DCGコンテンツの企画・制作を行う株式会社CyberHuman Productionsは、著名人の「分身」となるデジタルツインをキャスティングする、サイバーエージェントのサービス「デジタルツインレーベル」において、公式3DCGモデルの制作を担当することを発表した。「デジタルツインレーベル」では2023年までに著名人500人のデジタルツインの制作およびキャスティングを目指すとしている。
公式3DCGモデルの第一号としてモデルの冨永愛を起用する。


■動画 DigitalTwinLabel – Ai Tominaga /Cyberagent


「デジタルツインレーベル」のメリット

コロナ禍の影響によりフィジカルな空間では時間や場所などの物理的な制約が現在も続いている。アーティストのクリエイティブ表現においては、没入感とインタラクティブ性の高いデジタル体験ができる「メタヴァース」(インターネット上の仮想空間)もサードプレイスとして認知され始めている。
さらに現在はアートの世界を中心にNFT(Non-fungible token / 非代替性トークン)と呼ばれる技術を使ったデジタルアートが注目を集め、近年ではデジタル空間がアーティストの新しい活動の場として市場が拡大している。
また、近年はリアルな音声付き動画をAIで制作する「シンセティック・メディア」が注目されAI技術の研究が進むなど、広告やエンタメ、接客など様々な分野でデジタルヒューマンの活用が期待されている。XR技術を用いた映像表現、バーチャル空間でのライブ開催はすでに増加しており、開発がさらに加速化しているARグラスなどのウェアラブル端末やVRデバイスが広く一般化していくことで、AR・VRを活用したデジタル空間のみで完結するコンテンツが今後より一層多く生まれてくることが想定されている。

メタヴァース:インターネット上の仮想空間。利用者はアバターとして仮想空間に入り、他者とコミュニケーションをしたり、その中で経済活動が行ったりすることが可能な場所。

こうしたことを背景にサイバーエージェントは、タレントやアーティストなど著名人の公式3DCGモデルを制作し、著名人の「分身」となるデジタルツインをキャスティングするサービス「デジタルツインレーベル」を、芸能事務所および著名人向けに開始した。このサービスにおいて、フォトグラメトリー技術やデジタルヒューマン等CG制作を強みとするCyberHuman Productionsが公式3DCGモデルの制作など技術担当する。

制作過程では、事前に著名人の全身の3DCGデータを、高精細な3Dスキャン技術を用いて取得し、身体的特徴を捉えるモーションデータ・音声データなどと合わせて、著名人本人の「分身」となる高精細なデジタルツインを制作。また、サイバーエージェントが提供する「デジタルツインレーベル」は公式3DCGデータ制作に加え、広告プロモーションなどへのCGキャスティングや、デジタルツインを起用した企画立案などを実施。フィジカル空間での著名人の活躍に加え、デジタル空間でのデジタルツインのタレント活動が正しく成立する活躍の場を拡大するとともに、新しい価値づくりに取り組む考えだ。



デジタルツイン実現で著名人の活躍のチャンスが拡がる

著名人の方は「分身」となる公式3DCGモデルのデジタルツインを制作することで、本人同士の対談や未来と現在の姿でのドラマやCMなど映像共演ができたり、アスリートは世界中を巡り試合を行っているオンシーズンでもCM撮影ができるなど、物理的な制限から解放された活動が可能になる。また、ダンスや音楽の演奏など本人のスキルを拡張した表現などもCG技術で実現も可能となり、活躍のチャンスが拡がるとしている。

また、サイバーエージェントグループでは健全なマーケット作りを目的に、ディープフェイクの悪用を検知する研究にも積極的に取り組む。公式3DCGモデルはガイドラインに則って制作・管理を実施、著名人の偽物を発見する技術に投資し、フェイクデータの検知・摘発を行うことで、著名人の著作権や肖像権の保護、各メディアの信頼性の確保、技術の正しい社会実装および発展に努めていく考え。


公式3DCGモデル、デジタルツイン一人目に世界的モデル冨永愛を起用

1人目のデジタルツインとして、世界で活躍するモデル、冨永愛さんを起用する。冨永愛さんは世界的トップモデルで、女優、執筆、テレビ、ラジオ、イベントでのパーソナリティーなど幅広く活躍している。
冨永さんの分身となるデジタルツインは、顔だけでなく、冨永さんの全身を3DCGスキャン。表情豊かな静止画だけでなく、バーチャルファッションショーでウォーキングをしたり、冨永さん本人の音声を合成するなど、動きのある映像出演も可能。メタヴァース空間での新たなブランディング構築に挑戦する。



顔や体を高精細に表現するCG技術

これらを高クオリティで実現するには、顔や体を高精細に表現するコンピュータグラフィックス技術(CG/CGI)、コンピュータビジョンによる高品質な人物キャプチャ技術、本人らしい声を自在に再現する音声信号処理技術、映像と音声を一致させて動作を表現するリップシンク技術など、最先端の機械学習手法を取り入れた高度なAI映像表現技術が重要。

「デジタルツインレーベル」の公式3DCGモデルは、サイバーエージェントAI技術研究組織「AI Lab」と、共に制作している。
サイバーエージェントが持つAI技術の研究開発に加え、当社が保有する業界トップクラスの機材を搭載した高精細な3Dフェイシャルスキャン撮影が可能な出張型3DCGスキャンカー「THE AVATAR TRUCK」や、「全身3Dスキャンシステム」、カメラやセンサーによって顔や身体の動きの特徴をとらえる「モーションキャプチャシステム」や、それらで取得した大量の人物データと技術を組み合わせることが鍵、としている。同社は「グループ会社の強味を活かし、多岐にわたる技術資産を活かすことでさらなる高クオリティな表現を目指してまいります」とコメントしている。

なお、CyberHuman Productionsは「デジタルツインレーベル」とは別にこれまでも、山田孝之さん、GACKTさん、桐島ローランドさん達の3DCGモデルを制作、動画を公開して話題になっている。


今後の展開

AI・CG技術の進化によりデジタル空間における活動の幅が今後さらに、拡がると考えられる中、新しい価値を生み出す「人のデジタルツイン」の可能性を追求し関連記事、デジタル空間だからこそ作ることができる表現に挑戦するとともに、企業のマーケティング活動の拡大に貢献していく考えだ。

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ロボスタ編集部

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