日本電気株式会社(以下、NEC)は杉並区におけるリアルタイムな河川監視や道路冠水の把握のため、神田川沿いやJR阿佐ヶ谷駅の駅前広場などを対象とした「IoT街路灯システム」を杉並区に納入したことを発表した。同システムは2019年8月から12月までの間に杉並区内で実施した実証実験の評価・検証を踏まえ、2021年8月から運用開始する。
YouTubeチャンネル「杉並区河川ライブカメラ」(8月30日15時から公開)
https://www.youtube.com/channel/UC8oWZuLFc_cBA0LmgWfA2Rw
杉並区へ「IoT街路灯システム」を納入
近年、増加している集中豪雨や大型の台風による急激な河川の増水など都市部における水害対策が課題となっており、杉並区では安全・安心なまちづくりのため、河川の氾濫や道路の冠水などの水害に対するより一層の対策が求められている。
NECはスマート街路灯の開発・提供を通じて培ってきたセンサー技術と無線ネットワーク技術、およびNECのクラウド型スマート街路灯管理システムの活用により、街路灯に設置したカメラや冠水センサーの情報だけでなく、設置場所・年数や設置機器の稼働状況などの情報も合わせてクラウド環境に収集・一元管理できるため、区民の安全確保や区職員の業務効率化に貢献する。
杉並区は「IoT街路灯システム」の活用により、水害発生時における区民の避難など安全確保に有効なリアルタイムでの河川水位の情報提供、区職員による河川の監視や道路冠水箇所に対する迅速な対応を実現する。
「IoT街路灯システム」で区民の安全や区職員の業務効率化に貢献
1.河川の状況をリアルタイムに映像配信
神田川と善福寺川沿いのIoT化した街路灯5基にカメラを設置し、河川水位の状況をリアルタイムにYouTubeで映像の確認ができるようになる。区のホームページにアクセスが集中し繋がりにくい際にも、区民はスマートフォンなどから直接SNS(YouTube)へアクセスすることで河川の状況をスムーズに閲覧できる。また、管理者用カメラを4台設置し、区職員による河川施設の監視も行う。
2.道路の冠水センサーによるアラート発信
JR阿佐ヶ谷駅の駅前広場など、過去に大雨の影響で浸水被害が発生している箇所にはIoT化した街路灯5基に冠水センサーを設置し、道路冠水を監視する。センサーの情報は区職員のパソコンやスマートフォンにアラートメールで届き、リアルタイムに情報収集できる。
3.用途に応じたネットワーク利用による運用コストの削減
通信回線に地域BWAや、低消費電力の長距離無線通信技術LPWAの規格の一つであるSigfoxを活用し、カメラ映像の伝送やセンサー情報の収集などのそれぞれの用途に応じたネットワークにより、低コストでのシステム構築・運用を実現する。
2.5GHz帯の周波数の電波を使用し、地域の公共サービスの向上やデジタル・ディバイド(条件不利地域)の解消等、地域の公共の福祉の増進に寄与することを目的とした電気通信業務用の無線システム。
今後、NECはカメラ、センサー機器などを設置したIoT街路灯を拡充し多面的な活用を推進するとともに、まちの様々な状況をデータ化しリアルタイムに収集・活用することで、住民サービスや住民のQoL向上を支援していく。
2019年8月〜12月に杉並区内で実施した実証実験
「スマート街路灯」は無線通信機を用いた街路灯のネットワーク化により、街路灯の稼働状況を一元管理し、照明切れや搭載機器の故障への迅速・効率的な対応や、季節や天候、エリアに応じた1灯毎のきめ細かな照度設定が可能。また、カメラや各種センサーを装備することで、街に関する様々なデータを効率的に収集し、街の安全・安心や住民・来街者の利便性向上につながる分析が可能。
2019年8月〜12月に杉並区内で実施した実証では既存の街路灯に後付けするだけでスマート化が可能なヘッドモデル型を採用し、照度変更に対応する照明、ネットワークカメラ、マルチセンサー(照度、温湿度、振動・傾斜)、水位センサーを杉並区内の善福寺川周辺など計12灯に設置する。
これにより、照明やカメラ映像からの水位、また各種センサーの状況を区役所内のパソコンから地図上で確認でき、異常時にはアラーム通知することで、早急な対処が出来るよう検証する。この実証実験の評価・検証を踏まえ、2021年8月から杉並区で「IoT街路灯システム」が運用開始する。
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。