無人配送ロボットで宿泊療養施設の食事配送やゴミ回収業務を全自動化
FIG株式会社とFIGグループ4社(ciRobotics株式会社、モバイルクリエイト株式会社、株式会社石井工作研究所、株式会社ケイティーエス)、大分県は、大分県の運営する宿泊療養施設において無人配送ロボットの開発及び導入に係る実証実験を行い、2021年3月4日から2021年4月23日の間、宿泊療養施設に入所する療養者への食事配送やゴミ回収の業務で運用し、運用実績を公開したことを発表した。
同取組は宿泊療養業務に従事する職員の業務負担軽減や感染リスクの低減という課題に、県内企業グループの技術を結集しその融合を図り、課題解決を目指したもの。なお、宿泊療養施設内で無人配送ロボットを活用し、運搬業務をフルオートメーション化した取組は国内初(ciRobotics調べ)の試みとなる。
取組みの背景
大分県では「先端技術への挑戦」として、IoTやロボット、ドローン、アバターなどの先端技術を活用することで、地域課題の解決や、新しい産業分野に取り入れ、県内産業の振興を目指している。特に昨今のコロナ禍においては感染拡大で落ち込んだ大分県の社会経済を再活性化させるため、感染拡大の防止を図るとともに、あらゆる分野の事業者の「新しい生活様式」の実践など、変化への対応・挑戦を民間企業と行政関係者が一丸となって取り組んでいる。
新型コロナウイルス感染症の療養者を受け入れる宿泊療養施設では、業務に従事する職員等が療養者の食事配送やゴミ回収を行わなければならず、また、それぞれの業務では療養者の部屋の前まで訪問する必要があり、宿泊療養業務に従事する職員の業務負担軽減や感染リスク低減は課題となっていた。そのため、同取組に先立ち、2020年5月には県内で初めて開設した宿泊療養施設において、テープ上を走行する無人配送ロボットを弁当配送やゴミ回収に用いる試験的な取組を県とciRobotics株式会社などで行い、実際の業務で活用するための課題の洗い出し等を行った。
3つの課題
1. ロボット自体が同一フロア内しか移動できないため、業務のため療養者のフロアには行かなければならない。
2.機体操作の制約上、操作者が電波の到達する同じフロア内でロボットの操作を行わなければならない。
3.受取等を確認するため、ロボットが到着する都度、各部屋に確認の電話連絡をしなければならない。
具体的な業務において活用できるよう、従事する職員の負担軽減と非対面による感染リスクの低減などの効果を高め、それら課題解決を図り、実際に導入し運用を行ったのが今回の取組。
課題解決のため、3つの取組のソリューションを実装
・SLAM技術で走行するロボットにより、ホテル内にライン施工せずに、指定した部屋に自動配送する
・エレベータとロボットを制御し、ロボットが自らエレベータ移動することで、異なる階層へ自動配送
・ホテルの客室にあるテレビシステムと連動し、ロボットの到着及び確認を自動で行えるシステムを導入
上記のソリューションを実装し、2021年3月4日から2021年4月23日の期間では実際に宿泊療養施設に入所する療養者への食事配送やゴミ回収の業務で運用した。なお、同取組の成果として、2021年7月21日にメディア向けに運用デモンストレーションを実施した。
【役割分担】
FIG株式会社 | プロジェクトマネジメント |
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ciRobotics株式会社 | ロボット開発・システム全体管理 |
モバイルクリエイト株式会社 | 自動配送システム等開発 |
株式会社石井工作研究所 | ロボット・付帯設備開発 |
株式会社ケイティーエス | マルチメディアシステムとの情報連携 |
大分県 | 実証フィールド提供 |
今後の展望
今後、「新しい生活様式」に貢献するロボット技術に着目し、新型コロナウイルス感染症対策に資する開発や技術検証等を図るとともに、非接触・非対面型ビジネスなどを実現する新たな産業分野としてサービスロボットの実用化に向けた取り組みを推進していくとしている。
FIG株式会社
ABOUT THE AUTHOR /
山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。