現在、アプリケーション使用時におけるユーザ認証は必須の機能になりつつあるが、従来のユーザIDとパスワードを用いた認証だけでは、必要な情報さえあれば本人以外でもログインできてしまうため、不正アクセスなどセキュリティ面で脆弱性があった。そのため「ユーザ認証」と、なりすましのリスクが低い「生体認証」など、二つの要素を組み合わせて本人を認証する二要素認証が推奨されている。
一方で、生体認証の一つである静脈認証や虹彩認証などは、導入に特別な機器が必要となりシステム自体の費用が高額になる上、持ち運びに困難なものが多いのが現状だ。また、スマートフォンでも用いられている顔認証は、認証に写真などの2次元(平面)のデータを用いるものが多いため、登録された画像データや本人の正面からの写真などをかざせば認証できてしまうケースも見られる。
立体的な特徴や対象の動きを捉える多焦点カメラやIRカメラと併用する技術を用いることで精度を高めるものの、対応していないカメラでは認証できないこと、加えて昨今のコロナ禍の影響を受け、非接触、マスク装着時の認証の必要性なども課題となっている。
これらの課題を解決すべく、IT及びエレクトロニクス業界のソリューションベンダーとして、最先端技術・先進的な製品を核とした多彩なソリューションを提供する株式会社理経は、現状の課題点を改善した顔認証技術を開発。同技術を利用し、利用中の既存アプリケーションのユーザ認証を二要素で行うための、なりすまし防止に有効なプラットフォームの開発・販売を開始したことを発表した。
新製品の概要
同製品は、使用時の認証を一要素のみで行っている既存アプリケーションに対し、顔認証技術を用いて二要素認証にするためのプラットフォームだ。アプリケーションの起動時または認証操作時に、ユーザIDに加え顔認証を連携してユーザ認証を行う。ユーザID認証と顔認証を一貫して行うため、ログイン時の煩雑さがなく、スピーディかつセキュアな二要素認証を実現できる。また、顔認証に加え、能動的に顔を左右に動かすことで生体認証を行うことも可能。これにより、顔写真をかざすなどのなりすましを効率よく防止する。この認証方式は、PCやスマートフォン、タブレットなどに内蔵されているカメラを用いておこなえるため、生体認証で用いられる特別なカメラなどの機器の導入の必要がなく、これまでの環境を大きく変えずに導入できる。
製品特長 | 【柔軟なインタフェース】:既存アプリケーションから利用するためのAPI(Application Programming Interface)を用意。アプリケーションがAPIに対応できない場合、ログイン画面に自動入力で対応。 【端末に搭載のカメラで認証】:PCやタブレット、スマートフォンに搭載された標準カメラで認証可能。 【マスク対応】:高度なアルゴリズムでマスク装着の有無、認証を判断、マスク装着時の誤認証を極力排除。 【生体認証】:独自開発のジェスチャー認証により、写真やタブレットに表示した動画をかざすなどのなりすまし認証を防止。また生体判定にある程度の時間を要するAI認証に比べ、ジェスチャー認証は確実に一定時間内で判断するため、認証時間が高速。 |
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出荷開始日 | 2021年9月 |
販売価格 | 主要製品:400万円~ |
今後の展開
同社は、顔認証によるユーザ認証は、非接触で認証が行えるため、使いやすさの向上を目的に導入されている事例が多いが、今後はアプリケーション利用者の本人認証を確実に行うために二要素認証の市場が増加すると考えており、業務で検査アプリケーションを使用する際のユーザIDの使いまわしなど、不正利用を防止するためのソリューションとして機能強化を行って行くと述べている。
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株式会社理経