「SoftBank World 2021」が本日オンラインで開幕した。テーマは「DXの今を知る。明日のビジョンが見えてくる。」。9月15日(水)から17日(金)まで、3日間にわたって60超のセッションが開催される。また、スポンサー企業によるオンライン展示会も用意されている。
イメージ動画(オープニング動画)は下記。ナレーションには「LINE AiCall」の音声合成技術が使われている。
■SoftBank World 2021 オープニング映像
日本経済の復活の鍵はスマボ
基調講演には、ソフトバンクグループの孫正義会長と、ソフトバンクの宮内会長が登壇した。
孫氏は冒頭でテスラが先日発表したロボットのニュースを紹介し「カッコイイですね。いよいよ本格的なヒューマノイドの世界がやってくる、そんな予感を感じる」「われわれもロボットを既にやっている。Pepper・・今はうなだれている」と自虐的に語った。
孫正義氏は、かつて世界の経済を牽引した日本が、低迷する労働力と生産性の低下について触れ、失われた競争力を再び取り戻す復活の鍵は何か、減りゆく労働人口の問題をどのように解決できるのか、日本の成長戦略等について語った。
「ガラボ」から「スマボ」へ
孫氏は、復活の鍵を「スマボ」(スマートロボット)にあると語った。iPhoneが登場した際の孫氏とスティーブジョブズ氏のやりとりを懐古しつつ、社会が「ガラケー」から「スマホ」に変わったように、「ガラボ」から「スマボ」に変わると解説した。
「スマボ」は「ガラボ」とは異なり、プログラミングなしでAIが学習することで仕事に順応していく世界、「ロボットのような人間」より「人間のようなスマボ」が評価される
ソフトバンクファンドが支援する「スマボ」企業を紹介
ボストンダイナミクスの人型ロボットの「Atlas」(アトラス)がパルクールを行う映像を紹介し、その身体能力を高く評価したあと、物流倉庫で働く「Stretch」(ストレッチ)の動画を観ながら「自分で学習しながら臨機応変に対応していくところが素晴らしい。それがガラボとスマボの違い」と語った。
「2014年にロボットの時代が来ることを予見した。現在では進化したAIがロボットに組み込まれた「スマボ」によって労働力は3倍(24時間労働)、生産性は3.5倍、競争力は10倍に向上するポテンシャルがある」「スマボがもし1億台が導入されれば、労働人口にして10億人」という構想を展開した。
ソフトバンクはビジョンファンドを通じてスマボ関連企業を18社、支援している。それらの中から、力覚制御を開発するドイツ・中国の新興企業アジャイルロボッツ(Agile Robots)の技術やオートストアの「自動倉庫型ピッキングシステム」を紹介した。
AutoStore ロボットストレージシステム日本語ver. (株式会社オカムラ)
孫氏はフォックスコンの製造ラインや、オートストアが公開している導入効果のグラフを提示し、スマボ導入による効果を紹介した。
「スマボ」の製造分野での利用例(デザイン設計/自動生産/自動輸送)。
「スマボ」の医療分野での利用例(診断・治療計画/治療・手術/アフターケア)。
「スマボ」の小売・サービス分野での利用例(需要予測/接客・清掃/決済)。
孫氏は、日本経済の再生の鍵を握るのは”スマボ”だと繰り返し、うなだれていたPepperもスマボ化によって活躍の場が生まれるし、スマボがあらゆる産業に影響を及ぼし、経済を牽引する、と力説した。
100 robots “Pepper” support the SoftBank Hawks baseball team with cheer dance
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。