AIが獣害被害から果実を守る ばとんと三重大学が共同でデータセンシングを開始

南あわじ市灘地区では枇杷やみかんなどの柑橘類の栽培が盛んなことで知られている。しかし、近年は相次ぐ獣害被害によって栽培そのものを諦めてしまう農家が増えている現状がある。

人と自然が調和する「あわじのむらづくり」を進める合同会社ばとんは、南あわじ市灘エリアでの獣害被害軽減のため、三重大学大学院生物資源学研究科 内藤啓貴助教と共同で独自の獣害対策システムを開発するためのデータセンシングを開始したことを発表した。


野生動物のデータを採集し「自動追払いシステム」を開発

今回のデータセンシングは野生動物の「熱画像」「音」等のデータを採集し、AIに学習させることを目的としている。今回得られたデータを基にAIが野生動物の種類を特定し、AIによる「野生動物の自動検知」ならびに検知したデータに基づく「野生動物の自動追払いシステム」開発を見込む。将来的には同システムをパッケージ化し、獣害被害に悩みを持つあらゆる人に販売することも計画している。

開発にあたっては、かねてより三重大学の生物資源学部にて『データに基づいてフードシステムを持続的かつ豊かに』というコンセプトで、センシング・データサイエンス研究を行ってきた国立三重大学の内藤啓貴助教と、三重大学「令和3年度三重大学中小企業との共同研究スタートアップ促進事業」として実施する。

南あわじ市灘白崎に設置したセンサー類

熱画像計測の様子

実際に撮影された動物の様子

合同会社ばとんは「自然と調和し感性が解放されることで人と自然にとって持続可能な経済活動を行う場所」=「あわじのむら」を、圧倒的な景観と荘厳な雰囲気が魅力的な兵庫県南あわじ市灘白崎に創ることを目標としている。昨今、日本各地で野生動物による農作物への被害が相次ぎ、当地でも農産物への獣害被害が深刻な状況になっている。そこで、「あわじのむらづくり」の第一歩として、獣害対策システムを開発する運びとなった。

■三重大学生物資源学部生物資源研究 内藤啓貴助教のコメント

今回、「害獣」を「自然の恵み」として価値に転化することができれば食の持続性と豊かさの双方を高めることになると考え、獣害対策を目的とした共同研究を実施しています。複雑な自然環境の中でセンシング・データサイエンスといったテクノロジーを適用していくことは一筋縄ではありません。しかし、畜産動物の生体計測技術を研究してきた経験を活かして、野生動物との共生関係を築くためのヒントを少しでも見つけられればと考え、日々研究に取り組んでいます。
関連サイト
合同会社ばとん

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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