会話ロボット「Sota」と5Gを活用、オンラインでも対面授業のような双方向の対話教育を実践

株式会社WEとMXモバイリング株式会社はNTT東日本クラウド型ロボットプラットフォームサービス及び次世代コミュニケーションロボット「Sota」を活用した遠隔教育の共同研究を開始することを発表した。同研究を通じて、WEとMXモバイリングは、遠隔教育におけるオンライン対話型授業における臨場感と学習の質の向上、心理的な効果の分析、多様な学びの場の創造を目指していく。


共同研究の背景

近年、GIGAスクール構想に代表されるようにICTを活用した教育が推進され、学校が外部機関と連携したり、地域を超えた交流を行ったりすることが可能になってきている。どのような場所でも繋がることができるICT活用の教育の必要性は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により急速に高まっている。このような環境のもと、現在、より主体的な学びの実現を目的として、双方向対話型授業の必要性が高まっている。

WEは2020年4月の創業以来、主たる事業としてオンライン対話型教育プログラムの開発・実施を行ってきた。昨年度のみで年間約120回、累計約3,000名を超える受講生との授業プログラムを通して、オンラインウェブ会議システムを用いた遠隔教育の利点や課題点などを多くの経験から見出している。今後、さらに新しい技術を活用することで、対話の双方向性の質を高め、コミュニケーションをより円滑に行うことができるのではないかとWEは考えている。
 

タブレット活用の授業風景

そこで今回、WEとWE創業時からパートナー企業としてこの遠隔教育に参画しているMXモバイリングが共に、次世代コミュニケーションロボットを活用し、新しい教育スタイルを構築することを目的とした共同研究を実施する運びとなった。同取り組みでは次世代コミュニケーションロボット「Sota」と5Gなど高速モバイル通信を活用し、新たなスタイルでの授業参加環境の提供と共にその有効性分析の研究を実施する。


共同研究で実施する新しい教育スタイルについて

従来型のオンラインウェブ会議システムを用いた授業では遠隔地からも授業に参加できるという利点があるが、画面越しという状況から、学習者が疎外感や授業に参加しているという感覚を得づらいという課題点がある。

共同研究で実施する新しい教育スタイルでは次世代コミュニケーションロボットSotaを使用することにより、学習者は自分でSotaを動かして意思表示ができ、教師もそれを視覚でとらえることができるため、オンラインでも対面授業のような双方向の対話がしやすい状況を作ることが可能となる。


6〜8月に大学での講義等で実践検証をしたところ、講師の戸田氏は「講話や対話をする際、こちらから遠隔で操作して受講生にSotaの目(視点)を向けることで、受講生の表情やジェスチャー・感情等の確認ができると共に質問などの発言内容も聞きやすくなる。」、講義に参加している受講生からは「Sotaには違和感なく、(ロボットの向こうにいる)戸田講師との対話も自然にできた。」という感想が寄せられ、Sotaを導⼊することによる対話型授業の学習効果が期待できると考えている。

株式会社WE 代表取締役 戸田裕昭氏

ロボットによる遠隔受講の様子


ロボティクスによる遠隔教育用制御システム例


MXモバイリングは長年培ったモバイルネットワーク構築とIoTソリューション領域でのノウハウをもとに、最適なネットワーク(5G/4G・Wi-Fi)、運用環境の構築と提供(ソリューション)、およびその技術検証を行う。具体的にはWEの行う教育プログラムに、5Gの低遅延性能を活かして先端ロボットと遠隔制御技術を融合させることで、遠隔教育においてもその場にいるかのような臨場感のある授業空間の提供と、優しさや温もりのあるコミュニケーションと授業の実現を目指す。

■研究活動の展開スケジュール
2021年 6-10月 仮説生成のためのSota活用方法を検討
11月 遠隔事業でのSota活用・データ収集
12月 データ分析開始
2022年 1-2月 データ検証
3月 実験成果まとめ

■東日本電信電話株式会社 ビジネス開発本部 第三部門(Sotaプロジェクト連携)

NTT東日本では社会的な様々な課題を解決する一つのツールとしてコミュニケーションロボットに大きな可能性を感じ、数年前からクラウド型ロボットプラットフォーム「ロボコネクト」を提供開始し、Sotaを活用した様々なロボットソリューションを提供しております。

例えば、昨年から観光案内チャットボットロボットとして都営地下鉄新橋駅や小田急箱根湯本駅で正式に運用を開始しており、また企業の受付や検温をSotaが無人で行うサービスも始まっています。

教育の世界でも小中学生のプログラミング教育で品川区様を始め多くの自治体での活用が始まっています。今回、株式会社WE様とMXモバイリング株式会社様が教育の現場での新しいコミュニケーションロボットの可能性を共同研究されるとのことで、弊社としても大変嬉しく思います。ぜひ一緒に教育現場かつ社会的な課題解決に向けて引き続き連携してまいりたいと思います。

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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