NVIDIAが「Jetson AGX Orin」を発表!ロボティクスとエッジ向け超小型AIコンピュータボード、Xavierの6倍の高速性能

NVIDIAは「GTC 2021」を開催し、2021年11月9日に創業者兼CEOのジェンスン・フアン(JENSEN HUANG)氏の基調講演がおこなわれた。それに合わせてJetsonシリーズの新型「NVIDIA Jetson AGX Orin」(オリン)を発表した。最大200TOPS パフォーマンスを発揮する。これは従来の「Jetson AGX Xavier」(エグゼビア)と比べて6倍の高速性能となる。



NVIDIA Ampereアーキテクチャが Jetson に登場

ロボットやドローンなどの自律動作機器、医療機器、AIセキュリティカメラなど、エッジの組み込みコンピューティング向けのGPU搭載コンピュータボード。世界最小で最も強力、かつエネルギー効率の高いAIスーパーコンピュータとなる。
NVIDIA Jetson AGX Orin モジュールと開発者キットは2022年の第1四半期に提供開始予定。価格は未発表。


「Jetson AGX Orin」は、NVIDIA Ampere アーキテクチャに基づいて構築された。従来のJetsonシリーズのフラッグシップ「Jetson AGX Xavier」の6倍の処理能力を持つ。
フォームファクターとピンの互換性を維持しているので、従来版との入れ替えも可能だ。NVIDIAによれば「200TOPS(毎秒200兆回の演算性能)とGPU搭載サーバ並みの処理能力を誇りながら、大きさは手のひらに収まるサイズ」としている。
更に「Jetson AGX Orinは、完全な NVIDIA AIソフトウェア スタックを高速化し、開発者が自然言語理解、3D認識、マルチセンサー・フュージョンなどのエッジAIとロボティクスソリューションのために必要な大規模かつ最も複雑なモデルの展開を可能にしする」と続けている。

Jetson AGX Orin は、NVIDIA Ampere アーキテクチャ GPU と Arm Cortex-A78AE CPU を搭載している。更に、次世代のディープラーニング・アクセラレータとビジョン・アクセラレータも搭載。複数の並列AIアプリケーション・パイプラインにフィードするために、高速インターフェース、より高速なメモリ帯域、多彩なセンサーをサポートする。


エッジAI開発のためのSDKやエコシステムを提供

「Jetson AGX Orin」では「NVIDIA CUDA-X」アクセラレーテッド・コンピューティング・スタック、NVIDIA JetPack SDK、そしてクラウドネイティブな開発ワークフローを含むアプリケーション開発と最適化のための最新の NVIDIAのツールが利用できる。
NVIDIA NGCカタログ内のトレーニング済みモデルは最適化されており、NVIDIA TAOツールキットとユーザのデータセットを使用することでファインチューニングすることもできる。
これによりAIを実践導入するための開発時間とコストが削減され、クラウドネイティブ・テクノロジーによってシームレスな更新も可能になる。

NVIDIAは、Jetsonによる組み込み型コンピューティングのエコシステムを推進している。カメラやその他の多彩なセンサー、キャリアボード、ハードウェア設計サービス、AI およびシステム ソフトウェア、開発者ツール、カスタム ソフトウェア開発など、幅広いサービスと製品を提供している。また、「GTC 2021」の基調講演でも、ロボティクスに関する多くの新しいシステムが発表された。

特定のユースケース向けのソフトウェア・フレームワークには、ロボティクス向け「Omniverse」(オムニバース)で動作する「NVIDIA Isaac Sim」(アイザックシム)、ヘルスケア向けの「NVIDIA Clara Holoscan SDK(クララ・ホロスキャン)、自律走行向けの「NVIDIA DRIVE」などがブラッシュアップされている。
また、最新の Isaac のリリースには、Robot Operating System (ROS) 開発者コミュニティに対してのサポートも強化されている。また、合成データ生成用の新しい「Omniverse Replicator」、および ROS 開発者が Jetson プラットフォームで高性能な AI 対応ロボットを簡単に構築できるようにするハードウェア・アクセラレーテッド・ソフトウェア・パッケージ「Isaac GEMS」もリリースした。

NVIDIA のバイスプレジデント 兼 組み込み及びエッジコンピューティング担当ジェネラルマネージャーのディープゥ タッラ (Deepu Talla)氏は、次のようにコメントしている。
「ロボティクスと組み込みコンピューティングが製造、ヘルスケア、小売、運輸、スマートシティ、その他の経済の重要なセクターを変革するにつれて、処理の需要は急増し続けています。Jetson AGX Orin はこのニーズに対応し、85万人のJetson開発者と、Jetson搭載の商用製品を構築している 6,000以上の企業が、かつては不可能と思われていた自律動作マシンとエッジ AIアプリケーションを開発および展開できるようになるのです」


CEOのジェンスン・フアン氏の基調講演(日本語字幕可)

世界最大級のGPUオンラインカンファレンス「NVIDIA GTC」は11月11日まで開催される。登録は無料。「Jetson AGX Orin」の詳細についても学ぶことができる。としている。
また、CEOのジェンスン・フアン氏の基調講演(日本語字幕可)は11月9 日にストリーミングされ、アーカイブ視聴ができる。

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ロボスタ編集部

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