デリバリー&配膳ロボット最前線 スタジアム内のレストランやVIPルームで新機能の実証実験 Echoと連携も【ARX レポート(3)】

豊田スタジアムには、窓側の席からサッカー場のピッチが見えるレストラン 「ヴェルデロッソ」がある。そのレストランでは、運搬・配膳をメイン機能とした自律走行型ロボット「Lanky Porter」(ランキー ポーター)による配膳作業が行われた。


愛知県が主催するサービスロボット社会実装推進事業「あいちロボットトランスフォーメーション(ARX)」第3弾はいま話題の「配膳ロボット」の実証実験を紹介しよう。配膳やデリバリーロボットは自動搬送するだけでなく、プラスアルファの機能が求められるフェーズに入ったようだ。




レストランで「Lanky Porter」(キングソフト)が配膳と商品のPR業務

サッカー場のピッチが見えるレストラン 「ヴェルデロッソ」で、しゃべる配膳ロボットを報道陣の前で体験したのは愛知県知事。「Lanky Porter」はスムーズな動きでコーヒーを運んできた。県知事は「Lanky Porter」からコーヒーを受け取って温かいコーヒーを楽しんだ。



「Lanky Porter」は機体の頭部にタッチパネルを装備。

「配膳」「案内誘導」「広告宣伝」「巡回」などの作業を指示できる。また、最大3つのトレイを装備でき、そこにモノを乗せて目的の場所まで品物を運ぶことができる。


今回のようにレストランや飲食店での配膳の際には、モード選択により「誕生日を祝いながら配膳をおこなう」などのシチュエーション作りにも対応できるという。

■動画 スタジアムのレストランで「Lanky Porter」の実証実験

この日、「Lanky Porter」は配膳作業以外の時間を利用して、名古屋グランパスのサポーターに向けて応援ドリンクのPRもおこなった。


■動画「Lanky Porter」の公式紹介動画(キングソフト)


「SAKURA」がドリンクを個室ドア前に自動搬送、Echoとも連携

スタジアムにはピッチが見えるVIPルーム(個室:スーパールーム)が設けられている。


そこからオーダーを受けて、ドリンクなどをパントリーから個室のドアまで自動搬送する実証実験がおこなわれた。

自律走行でデリバリーを行う「SAKURA」を見守る 愛知県知事

エイム・テクノロジーズの自動搬送ロボット「AIサービスロボット AIM Robots SAKURA」

ロボットは配膳ロボット「SAKURA」(AIサービスロボット AIM Robots SAKURA)。ロボット本体の配膳収納部分には扉を配置、誤配や誤作動が起きにくい構造を採用している。

デリバリーする商品はカバー扉の内部に収納することができる

また、前面のディスプレイは顧客が座ったまま、受取のオペレーションができるほか、キャラクターアニメーションなどの様々な演出や告知にも利用できるという。また、背面扉を観音開きやロールアップタイプに変更でき、トップにオープントレイを取り付けることも可能。

自律走行で注文があったVIPルームのドア先まで搬送する

■「SAKURA」とEchoが連携してドリンクをVIPルームにデリバリー

今回の実証実験で興味深かったのは、配膳ロボット「SAKURA」がドアの前に到着すると、個室内のスマートスピーカー「Amazon Echo Show」と連動し、ドリンクが到着したことをAI音声エージェントの「Alexa」が声で知らせるというしくみを実現していた。


■ エイム・テクノロジーズ 公式動画

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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