氷点下4.8度で自動運転バス「NAVYA ARMA」の運行実験 雪が自動運転に与える影響や路面凍結対策など確認 北海道上士幌町で

ソフトバンク株式会社の子会社であるBOLDLY株式会社(ボードリー)は、2021年12月15日~19日に北海道上士幌町で自動運転バスの冬季運行を実施することを発表した。

自動運転バスの乗車を希望する人はLINE経由で予約可能。雪や氷点下の環境において、行政と連携して除雪や凍結防止などの道路環境の整備を行った上で、ハンドルがない自動運転バスを運行するのは国内で初めて。今回の冬季運行では積雪による周辺環境の変化やぼたん雪などの降雪が自動運転バスのセンサーに与える影響や、氷点下の環境における車両の走破性および路面凍結への対策の有効性などを確認する。


冬季運行について

上士幌町では町役場から半径1キロメートル以内に主要施設や住宅が密集したコンパクトな町づくりが推進され、低速の自動運転バスが高頻度で巡回して人や物を輸送するのに適した町。全国的にバスの運転手不足が課題となる中、上士幌町では持続可能な町内循環バスの実用化に向けて、「NAVYA ARMA」(ナビヤ アルマ)を使った自動運転バスの実証運行が2017年から過去3回実施され、BOLDLYはその全てに参画した。BOLDLYが上士幌町で自動運転バスを運行するのは、今回が4回となる。

上士幌町の公道を走行する自動運転バス「NAVYA ARMA」

今回の冬季運行では、自動運転バス1台で1日に20便運行する。町内で新たに整備されたシェアオフィスやホテル、道の駅、交通ターミナルなどの拠点を循環し、住民の日常的な移動手段や、ワーケーションや観光を目的とする来訪者の2次交通として活用できる見込み。一部の停留所では、町外を含む広い地域で運行される既存の路線バスと接続する利便性の高い運行ダイヤを構築する他、既存の路線バス運行事業者と一部の停留所を共用することで、町内を循環する自動運転バスと町外にアクセスする路線バスの間のスムーズな乗り換えを実現する。

【運行ルート】
停留所6カ所 ※うち4カ所は既存バス停・タクシー乗り場と共用
走行距離:全長6.4キロメートル(片道約 3.2 キロメートル) ※全区間自動運転
所要時間:片道約20分 ※各バス停に必ず停車
速度:時速20キロメートル未満


雪や氷点下の環境への対応

積雪が想定される地域では自動運転バスが安全に走行できる環境を整備するために除雪作業が重要。今回は上士幌町の協力により、自動運転バスの走行路の路肩白線まで除雪する。

除雪範囲のイメージ

上士幌町では10センチメートルの積雪を目安に午前8時30分までに除雪作業が行われている。交差点や停止線付近に凍結防止剤をまくことで路面の凍結を防ぎ、自動運転バスが安全に走行できる環境を整備する。

雪や氷点下の環境で自動運転バスを安全に運行するための取り組み

積雪による周辺環境の変化や、ぼたん雪などの降雪が自動運転バスのセンサーに与える影響や、氷点下の環境が車両および車両の走行に与える影響を確認する。

1.積雪
・自動運転バスの運行を前提とした適切な除雪作業の実現
・積雪などによる周辺環境の変化が、自動運転バスのセンサーによる自己位置推定機能
に与える影響度合いを把握

2.降雪
・ぼたん雪などが自動運転バスのセンサーにより障害物として検知される度合いを把握

3.氷点下
・氷点下における車両の基本的な動作性能の確認
※「NAVYA ARMA」の動作保証条件は気温が氷点下10度以上
※上士幌町の12月平均気温は氷点下4.8度(出所:気象庁ホームページ)

4.路面凍結 ・スタッドレスタイヤでの走破性を確認
・凍結防止剤によるスリップ防止の有効性を確認


各社・団体の役割分担
BOLDLY 株式会社 ・今回の冬季運行に関する行政と連携した規制緩和手続き
・運行ルートの設定や、3D マップデータの収集、障害物検知センサーや車両の
設定など、車両のソフトおよびハードへのインテグレーションに関する技術提供
・「Dispatcher」による遠隔監視、運行状況の記録および把握など
上士幌町 ・実証実験運営支援、除雪支援、関係者調整など
株式会社 TKF ・自動運転バスの保管場所の提供および自動運転バスの給電など
株式会社マクニカ ・自動運転バスのメンテナンス支援
上士幌自動車工業株式会社 ・自動運転バスのメンテナンスサポート
十勝バス株式会社・北海道拓殖バス株式会社 ・バス停の共用への協力
BOLDLYは十勝バス株式会社および北海道拓殖バス株式会社とそれぞれ「自動運転バスの運行に係るバス停の共用に関する協定」を締結した。これにより警察庁の規制緩和の対象となり、自家用無償運行を行う「NAVYA ARMA」が路線バスの停留所に停車する運用を実現した。


一般乗車予約と運行ダイヤ

自動運転バスへの乗車を希望する人は、下記の注意事項を確認した上でLINE経由で予約ください。
【注意事項】
・予約には「LINE アプリ」が必要。(BOLDLYの専用アカウントを「友だち」に追加する)

・片道ずつの予約となる。往復の乗車を希望される場合には、往路と復路をそれぞれ予約ください。

・2つの経路(1.かみしほろシェア OFFICE 発、2.道の駅かみしほろ発)があるため、間違いのないように注意ください。

・途中のバス停での乗降は可能。途中のバス停での乗降を希望される場合には、その乗降時間が含まれる便をお選びください。
(例:9:13にカミシホロホテルで乗車を希望する場合は、かみしほろシェア OFFICE 発 9:00~9:20 の便を予約ください)


【運行ダイヤ】


例「帯広▶13:08」は帯広方面からのバスを降車した後、13:08発の自動運転バスに接続する。「時刻▶地名」は自動運転バスが記載の方面へ到着する路線バスと接続する。


同時期開催中のイベントについて

上士幌町では、ワーケーションや観光地としての魅力を訴求するさまざまな施策やイベントが行われている。具体的にはワーケーション誘致を目的に「かみしほろシェア OFFICE」や「かみしほろワーケーションパック」などが用意されている他、12月16日~25日には「カミシホロホテル presents クリスマスドローンショー 2021 in 上士幌」が開催される。

関連サイト
上士幌町

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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