スマート養殖システムでスーパーフード「コオロギ」を増殖 目標は年間250万匹のコオロギを供給 クリケットファーム

長野県でコオロギの養殖事業を展開する株式会社CricketFarm(以下、クリケットファーム)は、本社に併設する岡谷工場にてIoTによるスマート養殖システムを構築したことを発表した。年間250万匹の供給を目標に世界の食糧問題に取り組んでいく。


コオロギのスマート養殖システム

構築したスマート養殖システムは餌やり、水やり、温湿度の管理を実施できる。各飼育ケースにはIoTデバイスが設置され、餌や水を定期的に供給し、その供給量の調整も専用のウェブアプリからスマートフォンにて簡単に行うことが可能。また、温湿度センサーにて工場内の状態を管理し、温度や湿度に敏感なコオロギが成育しやすい環境を整えている。従来になかった次世代型のスマート養殖システムにて、年間250万匹のコオロギを供給可能とし、少ない人員でも高い生産力の獲得を目指していく。


飼育ケースにはそれぞれ個別のQRコードを配置。スマートフォンにて専用のウェブアプリからそのQRコードを読み取ることで、そのケースの飼育開始日や経過日数、個体のサイズ、与えた飼料といった飼育情報を確認できるほか、飼育ログのレポートの送信もできるようになっている。




スーパーフード「コオロギ」を昆虫食文化が根付く諏訪地方から

食用コオロギは低脂質・高タンパクで、牛や豚などの家畜に比べて環境への負荷が少なくこれからの未来を担うスーパーフード。世界では人口増加や家畜の餌となる穀物価格の高騰、また食の欧米化などが進み、近い将来、動物性タンパク質の需要に対して供給が追いつかなくなるという試算が出ており、2019年には国連の機関が「昆虫食は世界の食糧問題を解決する鍵になる」とも発表。これまでゲテモノ扱いされてきた昆虫食が、肉や魚に並ぶ新たな食の選択肢として日常に溶け込む世界を実現すべく、クリケットファームは昆虫食文化の根付く長野県岡谷市にてスタートアップを立ち上げた。


クリケットファームの親会社・株式会社INDETAILは、ドローンやAIを用いて牧草を管理する「スマート酪農」や、過疎地の交通インフラを再生エネルギーと電気自動車で構成し、地域活性化につなげる「ISOU PROJECT」など、衰退する産業や地方が持つ課題を先進技術の活用により解決する取り組みを行ってきた。その活用ノウハウを今度は昆虫食に注ぎ込み、IT企業ならではの発想を活かして従来にない次世代型のスマート養殖をこれからも展開していく。



関連サイト
株式会社CricketFarm

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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