製造現場における近未来のDX「AI/ロボット/IoT/5Gによる人を超える自働化」とは? オムロンが「i-Automation!」未来形を発表

オムロン株式会社は、イノベーションでモノづくり現場の課題を解決する独自コンセプト「i-Automation!」で構築してきた「3つの i」のオートメーションを基盤に、多様化・複雑化する市場環境の変化を踏まえ、今後5年を見据えたモノづくりの進化の方向性として「i-Automation!」の未来形を発表した。

オムロンは次世代のモノづくり革新を実現する拠点として「オートメーションセンタ KUSATSU」(滋賀県草津市)のリニューアルオープンも同時に発表しており、2022年1月12日に記者説明会を開催した。この記事では製造現場における近未来の自動化のポイントや同社が提唱する「AI/ロボット/IoT/5Gによる人を超える自働化」についてレポートする。

オムロン株式会社 執行役員常務 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 社長 辻永順太氏


「i-Automation!」の未来形(i-Automation!-Next)

「i-Automation!」の未来形では、3つの近未来のオートメーションとして「人を超える自働化」「人と機械の高度協調」「デジタルエンジニアリング革新」による現場革新を目指すことを強調した。


なお、3つの「i」のオートメーションとは、「integrated(制御進化)」「intelligent(知能化)」「interactive(人と機械の新しい協調)」。

「i-Automation!」の「i」はもの作り現場でイノベーションを起こす意も込められている

「integrated(制御進化)」は、これまで熟練工に頼っていた匠の技を、誰もが簡単に実現できるようにオートメーション技術を進化させること。
「intelligent(知能化)」は、幅広い制御機器と AI を活用し、機械が自ら学習して状態を保全するなど、進化し続ける装置や生産ラインを実現する。
「interactive(人と機械の新しい協調)」は、同じワークスペースで人と機械が共に働き、機械が人の動きや考えを理解しアシストするなど、人と機械の新しい協調関係を提供すること、と定義している。


i-Automation!は確かな手ごたえ、約2倍の売上げ向上

説明会の冒頭で辻永氏は、オムロンの創業者の立石一真氏の「機械にできることは機械にまかせ、人間はより創造的な分野での活動を楽しむべきである」という言葉を紹介し、価値創造に活かしていることを説明した。


更に、オムロンの強みについては、小さなセンサーからロボットまで20万点の製品を持っていて、製造現場に必要とされているI(インプット)、L(ロジック)、O(アウトプット)、R(ロボット)、そしてS(セーフティ)のすべての技術と製品「ILOR+S」を兼ね備えている企業はほかにない、とした。


そして、これらの技術と製品を制御するアプリケーションを数多く開発してきたこと、そこで掲げてきた”社会課題を製造現場で解決するモノづくり革新コンセプト”が「i-Automation!」だとした。


同社は、2016年より、独自のモノづくり革新コンセプト「i-Automation!」を通じて、顧客の製造現場の課題解決に取り組んできた。辻永氏は「2016年に開始して以来、230以上のアプリケーションを製造現場に向けて提供し、約2倍の売上げ実績の向上を達成した。われわれが注力した製造現場において、i-Automation!の取り組みに対して、大きな手ごたえを感じている」と語った。


製造業の現場に新たな変化

そして今、製造業の現場では「ポストコロナ」に向けて、モノづくりを刷新したり、自動化による進化への取り組みが世界中で加速していることを感じているという。また、モノづくりの技術革新や作り方の変化への対応に加えて、SDGsに代表されような地球環境や人の価値観の多様化、働く人々の幸せに配慮したモノづくりの高度化が重視されている、とした。



近未来のモノづくりにおける3つのオートメーションの姿

今回発表した「i-Automation!」の未来形は「地球環境との共存」と「働きがい」を実現する独自のオートメーション技術で取り組む意思が込められている。


1.機械にできることは機械に任せる、「人を超える自働化」

多くの製造業の現場では、少子高齢化による人材不足、困難な人材確保に直面しながら供給責任を果たしつつ、競争力をも維持・強化するため、継続的な生産効率の改善に迫られている。同社は、高速・高精度の制御アプリケーション技術を基盤に、IoT、AI、ロボティックス技術、5Gなどの先進技術を使って、人に頼っていた作業も機械に分担する「人を超える自働化」を目指す。これにより、人が安心して創造的な業務に従事できる現場の革新に繋げたい考えだ。


今までのロボットでは難しい、フレキの部品をスムーズに挿入する器用な作業を動画で紹介

オムロンは最近、製造プロセスに必要なロボットから制御機器までをシームレスに統合できる「ロボット統合コントローラー」を発表した。ユニークな技術で自動化の範囲を大きく拡大するとしている。


また、生産性とエネルギー効率を両立した自働化で、地球環境に配慮しながらも変化の激しい製品ニーズに合致した新たなモノづくりの実現にも貢献したいとしている。



2.人が可能性を最大限に発揮できる「人と機械の高度協調」

予てより同社が掲げている「人と機械の協調」に「高度」が加えられた。
製品ニーズの多様化やパーソナル化に対応したモノづくりには特に、人の器用さや創造性が必須であり、機会による自動化のみならず「人の能力を最大限に引き出すモノづくりの進化」も求められているという。
同社は、人から機械への代替えを進めながらも、その上でも残る人を主役にして、人が可能性を最大発揮し、成長と働きがいを実感できるモノづくりを目指す、とする。


例えば、重労働で単純な繰り返し作業はロボットに任せつつ、機械が人の習熟を支援し、突発的な事態には人とロボットがお互いをカバーし合う、「人と機械の高度協調」の実現によって、人が働きがい・モノづくりの喜びを得られ、生産性とも両立するモノづくり現場の実現を目指したい考えだ。




3.「デジタルエンジニアリング革新」

コロナ禍で直面した移動制限や現場への立ち入り制限では、バーチャル技術を使ったシミュレーションやリモートモニタリングが弊社の商品開発、そして製造現場の維持・メンテナンスに大きな役割を果たした。


同社は、ポストコロナにおいても、こういった DX による現場革新がモノづくりの高度化に必須だと考え、モノづくり現場の DX 化を加速する技術・ソリューションの開発を強化する。


「IIFES」「iREX2022」に出展

同社はこれらの技術をより具体的に説明したり、デモやPoCが行える環境としても「オートメーションセンタ KUSATSU」をリニューアル、更には敷地内に「POC-KUSATSU」も新しく設置した。また、1月と3月に東京で開催される展示会「IIFES」や「iREX2022」に出展することも告知。同社の技術を実際に見て、体感して欲しいと語った。

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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