高知県四万十町 物流・防災・調査・測量にドローンを活用 実用化を目指した実証実験 A.L.I.と共同で

株式会社A.L.I. Technologies(以下、A.L.I.)は2021年4月にKDDI株式会社とパーソルプロセス&テクノロジー株式会社が国立研究開発法人であるNEDOから受託した事業「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト/地域特性・拡張性を考慮した運航管理システムの実証事業」(以下、地域実証)に係る公募に採択され、高知県四万十町と共同で、地域性から年間を通じてドローンの活用可能性が高いと思われるユースケース例の実証実験を実施し、物流・防災・調査・測量すべてのドローン活用実証実験に成功したことを発表した。


物流・防災・調査・測量でドローンを活用

高知県四万十町は中山間地域が多い上に高齢化に伴う免許返納が進んでいることを背景に、災害対策並びに安定的に物資を中山間地域へと届ける事が可能なドローン配送システムなどの生活インフラの強化が求められている。

地域実証では継続的な運航管理システムの活用における安全面、コスト構造、オペレーションフロー、地元の方々の受け止め方など、ドローンが社会実装される上での様々な要素および課題を検証した。また、検証を通して無人航空機およびUAV向けの空のインフラの運用方法の確立を達成するため、レベル4(目視外飛行)時代の新たなドローン物流システムの在り方を地元企業である株式会社エレパ、公益財団法人四万十公社の協力のもと、四万十町の地域住民に提案した。




物流ユースケースによるドローン実証実験

高齢化に伴い免許を返納した交通弱者が多く発生している山間部において、生活物資のドローン輸送を行なった。地元の人に親しまれている「ライフショップまつした」から山間地域に転々と存在する集落同士を結んだ生活必要物資のドローンによる定期配送を実施した。




防災ユースケースによるドローン実証実験

四万十町で災害時の津波被害が想定されている興津地区と東又地区には県道52号線のみが山間部を繋げており、震災時に土砂崩れが発生し興津地区が陸の孤島となる可能性が高いと言われている。有事の際の避難場所となっている四万十町B&G海洋センターを災害支援物資運搬の出発点として、山を超えて興津ヘリポートへ災害支援物資のドローン運搬を実施した。




測量ユースケースによるドローン実証実験

四万十町立七里小学校の裏手に広がる森林約5haを対象に、GPS情報をもつ写真撮影が可能な一眼レフカメラを搭載したドローンを航行させ森林の測量を実施した。測量にドローンを活用することで県のインフラ点検計画をより効果が高いものとし、土砂崩れのリスクから住民の安全を守るために必要な現状把握のためのデータ利用、コスト削減、時間短縮等においてドローン活用の有効性を証明した。




調査ユースケースによるドローン実証実験

大正中津川集落民の生活道路である成川橋は老朽化が進んでいるため、大規模な修繕設計の対象になっており拡幅工事が予定されている。今回の実証実験において、工事区域内の成川橋の半径100mの範囲においてドローンを活用した上空からの事前調査を実施した。




実証実験の検証結果と今後の展望

同社独自のドローン管制システム「C.O.S.M.O.S.」(コスモス)と運航管理統合機能(FIMS)を連携させる事で空間と飛行の緻密な一元管理が可能となる。同実証ではC.O.S.M.O.S.及びFIMSを活用し、オペレーションの現場拠点、東京にあるA.L.I.Technologies本社、四万十町に仮設した管理センターの3拠点からリアルタイムにドローンの運航管理を行うことに成功。また、C.O.S.M.O.S.で空間及び飛行を一元管理することが、ドローン飛行の安全性担保、現場のオペレーションコストの削減に繋がることが立証された。

四万十町は町の取り組みとして2019年2月6日に「四万十町ドローン推進協議会」を設立し、高知県の他の市町村に先駆けて操縦士の育成や産官学の連携構築に力を入れている。また、四万十町役場の職員など複数名は、崩落した道路の状況把握、地籍調査など日常業務の中でドローンを積極的に活用している。今回の複数の実証実験の内容は、実験だけに終わらせるのではなく、今後実際に四万十町において実用化を目指した取り組み。A.L.I.は今後も包括連携協定に基づき、地域の方と連携、協力しながら地域住民の課題やニーズに沿ったドローン活用システムの社会実装に貢献していくとしている。

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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