準天頂衛星システム「みちびき」を利用して電動キックボードの走行位置を把握 Luupが実証を開始

株式会社Luupは電動キックボードサービス走行位置把握実証事業が、内閣府及び準天頂衛星システムサービス株式会社が2021年4月12日から5月28日にかけて公募した「みちびきを利用した実証事業」において採択されたことを発表した。これを受け、準天頂衛星システム「みちびき」のサブメータ級測位補強サービスを用いて、高精度な機体の走行場所検知のための実証を開始する。


採択の背景

Luupは2021年4月より経済産業省の「新事業特例制度」の認定を受け、電動キックボードシェアリングサービスの実証実験を行っている。サービス開始以降、多くのユーザーに利用される中で電動キックボードのシェアリングサービスで一般的に活用されているGPSでは、車道と歩道の区別など機体の正確な走行位置が測位しきれないという課題があった。安全かつ正しい走行ルールで電動キックボードを利用するためには位置情報をより精緻に把握できる体制も求められる。その実現に向けた検証の必要性が評価され「みちびきを利用した実証事業」に採択された。




「みちびき」を利用した実証について

準天頂衛星システム「みちびき」とは、準天頂軌道の衛星が主体となって構成されている日本の衛星測位システムのことで、「日本版GPS」と呼ばれることもある。これまでの衛星測位サービスは米国が運用するGPS衛星を利用していたが、都市部や山間部ではビルや樹木などに電波が遮られて位置情報が安定的に得られないことがあった。そこで、GPSを補完し、高精度で安定した衛星測位サービスを実現するみちびきの運用が2018年11月より開始。その優位性から、地理空間情報を高度に活用した位置情報ビジネスの発展が期待されている。

みちびきのイメージ 出典:qzss.go.jp

今回Luupはみちびきを利用した電動キックボードサービス走行位置把握実証事業が採択されたことにより、サブメータ級測位補強サービスを用いて、精度の高い走行場所検知の実現に向けた実証を行っていく。

サブメータ級測位補強サービスのイメージ 出典:qzss.go.jp
サブメータ級測位補強サービスについて
衛星測位による誤差を減らすために、電離圏(電子やイオンが分離したまま漂う空間)遅延や軌道、クロック(時刻)等の誤差の軽減に活用できる情報をみちびきから送信する。一般にGPSなどによる1周波の衛星測位では誤差は10m程度になると言われているが、サブメータ級測位補強により、誤差1m以下で測位を行うことが可能となる。


実証内容及びスケジュールについて

実証は以下の内容を予定している。

1.サブメータ級測位補強サービス対応受信機 QZ1を電動キックボードに取り付け、走行データの収集と定期的な分析を実施

2.歩道走行/車道走行を判定(歩道走行を判定する際は押し歩きをする)可能か検証し、今後の実用化に向けた指針を作成

サブメータ級測位補強サービス対応受信機 QZ1

【スケジュール】
2021年7月〜2021年11月:実証用電動キックボードの調達及び受信機装着のための改造(※実施済み)
2022年1月〜2022年2月:都内エリアでの走行を通じて、位置情報測位データを収集
2022年3月〜:走行データの分析を行い、走行箇所判定の精度を検証

Luupは電動キックボードの安全な走行環境の整備に向けた取り組みを通じて、人と乗り物と街、それらすべてが共生できる社会の実現を目指していくとしている。

関連サイト
株式会社Luup

ABOUT THE AUTHOR / 

山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

PR

連載・コラム