雪の中「ごはんセット」をドローンが届ける 福井県敦賀市でドローン配送によるスマート物流の実証実験
敦賀市とセイノーホールディングス株式会社、株式会社エアロネクスト、株式会社NEXT DELIVERYは、1月20日~21日に敦賀市愛発(あらち)地区において地域課題の解決に貢献する新スマート物流の構築に向けたドローン配送実証実験を実施し、1月20日に報道関係者に公開したことを発表した。
地元スーパーの食料品の詰め合わせセットをドローンが届ける
敦賀市は総人口64,425人(2021年9月末)、面積は県内3番目の251.41km2で、地理的に典型的な扇状地形であり、市街地が中央に位置し、放射状に山間地域が広がっている。今回は物資や商業施設が集積する市街地と過疎化が進行している愛発地区への「市街地・過疎地連結型ドローン物流」を想定し、愛発地区内にて、住民の理解度向上、定期飛行に向けた課題の洗い出しを目的として仮設のドローンデポとドローンスタンドを設置して実証実験を実施した。
実証実験では市街地から離れた愛発地域に住む交通弱者等への買物支援を想定し、住民がSkyHubアプリで注文した地元スーパーの食料品の詰め合わせセットを仮設のドローンデポ(愛発地区公民館)から愛発地区の3ヶ所の仮設ドローンスタンドまで(往復距離約1.4km~2.3km)ドローンで届けた。
20日の報道関係者への公開時には、前川さんがSkyHubアプリで注文した「ごはんセット」が、約5分後には奥野地区疋田会館までの片道約0.7kmをドローン配送され、前川さんの手に届けられた。
今後は市街地と愛発地区が結節する地点に各社荷物等を集約化するドローンデポを、愛発地区内にドローンの着陸地点となる複数のドローンスタンドを設置し、地上配送と将来のドローン配送を想定した買物代行サービスを来年度を目標に開始する予定。
今回の実証実験は昨年11月に敦賀市、セイノーHD、エアロネクストの3者が、敦賀市がめざす水素・再生可能エネルギー・ゼロエミ物流等の脱炭素化の取り組みによる高齢化や過疎化等の地域課題の解決に向けて締結した包括連携協定に基づき、次世代高度技術の活用により新しい物流のビジネスモデルの構築をめざし、敦賀市の地理的特徴を考慮した「市街地・過疎地連結型ドローン物流」のモデルケースとするべく実施。また、実証実験は一般財団法人環境優良車普及機構より、令和3年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金交付対象事業(社会変革と物流脱炭素化を同時実現する先進技術導入促進事業)として採択されている。
3者は今後も包括連携協定に基づき、相互に連携、協力し、市の課題や市民のニーズに沿って、ドローンを含む次世代高度技術の活用による、地域雇用および人材教育・人材育成・産業基盤整備、持続可能な地域交通・物流の確保と住みやすい環境づくり、地域防災や地域の脱炭素化への貢献および新しい社会インフラの整備を推進することで、敦賀市における地域の活性化に寄与していく、としている。
福井県敦賀市について
福井県の中央に位置し、北は日本海に面し、他の三方は山岳が連なり、平野部を囲んでいる。面積251.41㎡に対して可住地面積は53.07㎡と平野は少なく山間部を多く抱えている。再エネ主力電源化に向けたバーチャルパワープラントや再生可能エネルギー由来水素の実証など、脱炭素に向けた取組みを展開し、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロとするゼロカーボンシティを宣言している。脱炭素の取組みにより、地域課題の解決を目指している。
福井県敦賀市愛発地区について
滋賀県境に接し、古くから近畿と北陸を結ぶ物流の要所。江戸時代初期には北陸地方などから米等を運ぶ船が敦賀港に入港し、敦賀港から愛発を経由して大阪に運ばれたことから物流の拠点として賑わいをみせた。また、敦賀琵琶湖間運河が計画され、19世紀にはその一部「疋田舟川」が開通した。明治時代には日本海側で最初に鉄道が開通し、現存する日本最古の鉄道トンネル「小刀根トンネル」や日本人だけで建設した当時の国内最長トンネル「柳ヶ瀬トンネル」が鉄道草創期の姿を今に伝えている。昨年、地区内にあったコンビニエンスストアが閉店し、買物が地域課題となってる。
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。